第142話 バイバイ、クズ男ざまぁ!
――――【マクシミリアン目線】
オレは最大のピンチを迎えていた。
前世で大学生んときに五股していて、バレて壮絶な修羅場を迎えたことを思い出す。あのときはガチで簀巻きにされて埠頭に沈められそうになったが……。
そのとき偶然通りかかったオレの後輩だった美紗子に泣きついて助けてもらった。
『三迫じゃねえか! た、助けてくれっ』
『なにしてるんですか、一之瀬先輩。どうせ、二股でもしてて詰められてるんじゃないですか?』
『オレみたいな誠実な男を捕まえて、辛辣すぎるだろ! せめて消防に連絡しろ!』
五股かけてた女たちは共同戦線を張り、簀巻きにしたオレを蹴飛ばしたあと人気のない埠頭から立ち去っていた。
『仕方ありませんね、あなたみたいな人でも死ぬと寝覚めが悪いので連絡だけはしておきます。あとは自力で耐えてください』
三迫はスマホから消防へ連絡したようだが酷薄なことにいま正に水中へ沈みゆくオレを見捨てて立ち去ってしまった。
酷薄さはこの頃からだったな。
オレが死んだときのことだ。車で事故って炎上、閉じ込められた車内から出れねえと炎と煙に喘いでいると見捨てて去ってしまうところはまったく変わってねえ。
大学生んときは眼鏡掛けて堅物で正直冴えねえ女だったが、オレと同じ会社に就職してからは美紗子は見違えるように綺麗になりやがった。オレが仕事を教えてやったっていうのにオレに感謝するどころか、岡田にばっか色目使って感謝してやがった。
マジで岡田は許せねえ!
さらに腹が立つことに美紗子が岡田に気があるのはありありと分かったが、岡田の奴はモテるくせして鈍感ときやがる。
岡田に気のある女子社員はたくさんいたがあいつが鈍感なのをいいことに、相談する振りをして「キミみたいなかわいい子を相手しないなんて酷い奴だなぁ」と吹き込み、いっぱい食ってやった!
オレの嫁もその内の一人だ。
だが美紗子の奴だけは違った。岡田が和葉と付き合い、悲しんでいる美紗子を慰める振りをして優しく声を掛け、酔わせた美紗子を半ば強引にホテルに連れ込もうとしたら全力で抵抗しやがった。面倒くせえから全裸で山に捨ててやったがな!
美紗子の奴がなんで転生したのか分からねえが、前世の記憶を引きずり山に捨てたぐれえの復讐でオレを殺そうとかどんだけ心の狭い女なんだよ!
くそったれ! 女装までしてこの勝負に掛けてんのにこんなところで足踏みしてる場合じゃねえんだよ。なんせオレはフォーネリアの守護聖獣デバインドラゴンに種付けホースを復活をお願いするんだからな。
種付けホースが復活した暁にはグラッドとかいうクソうらやましいガキの女どもは上書きしてオレのハーレムに組み入れてやる。
だからオレは
「ま、待て! 話せば分かる! それに妃候補の私闘は禁じられてるんだぞ!」
「ざ~んねん、エーデルワイスは先ほど王子妃選を辞退いたしましたわ」
「なんだと!?」
「だそうです。あなたにもう罪から逃れる術はありません。覚悟をしてください」
美紗子はメイスの棘の先をオレに向け、敵意を露わにしていた。
「エーデルワイス、いや美紗子……ちゃんと聞いてくれ」
「問答無用です、あなたと話すことなどありません。それにしてもあのとき自業自得の事故で死んだと思っていたのに転生復活するなんて、まるでゴキブリのような生命力ですね」
「はあっ!? そりゃてめえだってそうだろうがよぉ!!! なに言って……」
ズガンッ!!!
「ひっ!?」
美紗子の振るったメイスが鼻っ柱を掠め、オレの横にあった岩にぶち当たった。破片が飛び散って、顔やらに当たる。岩はか弱そうな女である美紗子の一撃で粉砕されていた。
あんなもんが身体に当たってみろ、決して耐久力の高くねえオレはそれこそ木っ端微塵ってやつだ。
美紗子は馬鹿正直に突っ込んでくるがヒラリと躱してやった。いくら聖女とか大仰なこと言っても、所詮は女。おまえはありがたくオレのハーレムで牝奴隷になること確定!
オレが転生しても情けない美紗子をあざ笑ってやっていると……。
「ほごっ!? なにが起こったんだよ……」
オレはちゃんと美紗子の攻撃を避けたはずなのにメイスが土手っ腹にヒットして……、オレはぶっ飛ばされ、打球がバウンドするように何度も転がり身体が地面に叩きつけられた。
もはやどこが
「うそ……だろ?」
地面に横になってるオレは前腕がやたら赤いのに気づいた。だが腕はそんなに怪我してない。ゆっくりと目線を腹の方にやるとデカい穴が開いちまって、どばどば血が流れて止まんねえ!!!
―――――――――あとがき――――――――――
ソフィエラとPUNI☆MOFUのマオが届いてしまった……ブキヤめ、どれだけ美プラモデラーから搾り取ろうというか! あ、もちろん財布の中身ですからねw
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