第141話 妹の誘惑をスルーする鈍感おにぃ
――――【愛目線】
おにぃの命を奪い、自分の罪を擦り付けようとした真正のクズ……それが愛のまえに立っていた男だ。
「愛ちゃん、少し時間をもらっても構わないでしょうか?」
「あ、はい。どうぞ」
いつもはリリネルの後ろに隠れちゃうくらい控えめなエーデルワイスちゃんが愛のまえに出て、クズ男と対峙してる。
マクシミリアンのゲスい目つきとエーデルワイスちゃんの目元は前世の人とそっくりに見えてしまう。
愛にははっきりとは分からなかったけど、三迫さんとクズ男はなにか因縁があったっぽい。あまり趣味がいいとは言えないけどー、三迫さんはクズ男に騙されたかなにかで捨てられ、おにぃに助けられたんじゃないかと思う。
なにが起こったのかは推測に過ぎないんだけど、愛にははっきり分かってたことがあった。三迫さんはおにぃのことを愛してたと思う。
おにぃはとてつもなく鈍感だ。
愛は高校生になって一度だけおにぃと一緒に入浴した。
中学生三年まではずっとおにぃと入っていたけど、おにぃが愛は大人なったんだから一人で入れるよなって言われ、愛とおにぃの裸で触れ合いサービスタイムが終わってしまって目の前が真っ暗になった悲しみを忘れたことはない。
おにぃの背中を流すと言って、おっぱいにボディソープを塗りつけて、こっそりおにぃを洗っていたのにおにぃには気づいてもらえなかった。愛のおっぱいも中学生のときはちっぱいだったから、分かりにくかったかもしれないけど……。
おにぃが入ってくれなくなったのは愛のおっぱいが大きくなってきたときと被ってしまってるから、多分そうだ。
おにぃにおっぱいを押し付けているとおにぃが性欲を抑えきれずに襲ってきて、お風呂でおにぃに愛の初めてを捧げるえっちをするつもりだったのに……。
両親が出かける日に限って、ノーブラで谷間の見えるタンクトップとショートパンツでリビングのソファーで寝た振りをする。ショートパンツの下はもちろんノーパン……。
おにぃだけに見せる愛の姿。
なんにも知らないおにぃが入ってきて、愛のあられもない姿に気づいたおにぃが愛のおっぱいを揉みしだいたり、ショートパンツのなかに手を入れていたずらしてくれると思ったんだけど……。
おにぃの硬いものが入るどころか、おにぃは優し過ぎたの。
『愛……って寝てるか』
耳元で声掛けしてくれたおにぃが愛が寝てることに気づいた。
狼覚醒!!!
と思っていたら、おにぃはタオルケットを出してきてくれて『風邪引いちゃうからな』って、そっと愛に掛けてくれたの……。
うれしかったけど、中に出すなんて高望みはしてなかった。でも、せめておにぃのトロトロミルクを愛にぶっかけてマーキング。愛をおにぃだけのものにして欲しかったのに。
やっと異世界まで追い掛けてきて、おにぃと結ばれたけどそこまでしてやっとだった。三迫さんもおにぃに好意をたくさん投げてたはずなのにおにぃはことごとくスルーしていたと思う。
「私が死んでも、最愛の人だった岡田くんを奪ったあなただけは必ず殺します」
エーデルワイスちゃんは言葉遣いは丁寧なんだけど、言ってることがとても危ない。
「我が手に来たれ、【ホーリーメイス】」
えっ!? エーデルワイスちゃんは両手で棒を握るような仕草をすると光の粒が集まってきて、とても女の子が扱えそうにないメイスが現れ、構えてた。
【
「ま、待て! 話せば分かる! それに妃候補の私闘は禁じられてるんだぞ!」
レインボーカラーから成る聖なるオーラを炎のように燃やし強キャラ感をクズ男に見せつける。クズ男はたじろぎ両手のひらをエーデルワイスちゃんに見せて彼女を説得しようとしていた。
そこへリリーが追いつめられたクズ男をさらに絶望の淵へ送り込む。
「ざ~んねん、エーデルワイスは先ほど王子妃選を辞退いたしましたわ」
「なんだと!?」
「だそうです。あなたにもう罪から逃れる術はありません。覚悟をしてください」
リリーはすでにおにぃから伝え聞いていたことを実行していた。おにぃはアスタルがエーデルワイスちゃんに相応しい男じゃないって判断を下したんだろう。
エーデルワイスちゃんはメイスをいつでもクズ男をぶん殴れるよう肩に振りかぶりながら、ゆっくりと歩を進めてゆく。クズ男はそれに併せて後退するから一定の間合いが保たれている。
もうこれはクズ男はすり潰されちゃうしかないね……。
でもクズでもスパダリが死んでしまうと世界が崩壊しちゃうバッドエンドが確定!
ど、どうしよう!?
―――――――――あとがき――――――――――
愛たそがえっちになってしまったのはおにぃの責任ですね。鈍感なおにぃに振り向いてもらえるように頑張る愛たそが見たいからは応援ヨロシコです。
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