第138話 クズ王子同盟

――――【ブラッド目線】


「どうして、ここに?」


「はい、お助けに参りました。実は寄親からフリージアさまを脅かすような妃候補や決闘人がいれば暗殺するように命じられていました。ですがそのたががなくなった以上従う必要などありません。ただ愛の赴くまま行動するだけです」


 ユーセミリアと話していると、ころんと転がった監視の首と目が合ってしまう。大声を上げそうになるが何とか抑えた。


 ユーセミリアの基準が殺さない者、殺す者の二つしかなそうでガクブルしてしまう。


「そっか、ありがとう。だけど俺はもうしばらくここに入っておこうと思う」

「なにか深いお考えがおありのようですね。分かりました、今日のところは引き上げます」


「せっかく来てくれたのに、すまない」

「とんでもありません……グラッドさまのお声を聞けただけで、ユーセミリアは幸せです」


「一つだけお願いがあるんだけど、いいかな」

「はい、一つと言わずいくらでも」

「このレンガをリリエルに届けて欲しい」

「グラッドさまの恋び……お姉さまですね。了解いたしました。命に代えても必ず」


 俺は少林拳のように指だけで逆立ちをこなし、鍛え上げた人差し指で、牢獄のレンガに文字をびっちり書き込んでいた。


 牢獄のレンガは指を鍛えてくれるし、暇があるときは文字を書いて遊べるので監禁生活は退屈せずに過ごせる。なにより女の子たちから逆レ○プされなくて済むのだ。



――――【ジークフリート目線】


 あのグラッドとかいう生意気なクソガキに嫌というほどボクの強さを分からせてやろうと思っていたのに、どこかへ消えてしまった。どうせ、ボクの強さに恐れをなして逃げてしまったんだろう。本当に情けない奴だ。


 その結果、ボクは他の妃候補の決闘人と対戦していたが、相手にならない。


「はははは! 弱い弱い弱い! ボクの手にかかればフォーネリア王国の者など雑魚ばかりだな。もっと手応えのある決闘人を連れてきてほしいもんだ」


 天才であるボクは前回の失敗を踏まえ正々堂々戦い、勝利した。


 というか正々堂々戦わないと評価が下がるとかフォーネリア王国のシステムは本当にクソだと思う。クリスタを妃にしたら、こんなふざけたシステムは撤廃してやろう。



 これでボクを見ていた婦女子たちは、ボクの魅力に気づき、婚約を申し入れに来るに違いない!


 なに? 婚約なんていいから、早くベッドで子作りしましょう? いいね! ボクのエクスカリバーから聖水をキミのなかにぴゅっぴゅっしてあげる。


「うわぁ!?」


 ボクが勝利の余韻に酔いしれているとフランドル神父の顔があり、イマジナリーワイフの姿は消え失せ一瞬にして萎えた。


「ジークフリートさま、フォーネリア王国のアスタル王子が会談したいと申しております。いかがなさいましょう?」

「ああん? アスタルぅ? そんの放っておいていいだろ、ボクは疲れてるんだ」


「馬鹿なこと言ってないで、さっさと行きなさいよ、この馬鹿王子!!!」

「はうっ!!!」


 クリスタがいきなりボクの引き締まったおしりを蹴り上げた。するとボクのおパンツは聖水塗れになってしまっていた。


 そ、そんな……ボクはドMじゃないのに……。



――――アスタルの執務室。


「フランドル大司教は私の家庭教師でね、彼には大変お世話になっている」

「え? フランドル神父が大司教アークピショップ? そんなこと一言も聞いていないんだけど……クリスタは聞いてた?」


「知らない、知らない」


 クリスタに訊ねるも彼女もなにも知らないらしい。


「ところでジーク、大司教って美味しいの?」

「ははは、クリスタは馬鹿だな。大司教は食べ物じゃないよ」

「あー! 馬鹿のジークに馬鹿って言われた! 酷い!!!」


「なにが酷いだよ、酷いのはクリスタの知能だろ」


「まあまあ、二人とも落ち着いて。世間はいまのお二人を見くびっているかもしれません。ですがアスタルさまと同盟を結び、にっくき魔王ブラッドを討伐せしめれば世間は手のひらを返して、お二人を賞賛することでしょう」


「なんだって!?」

「なんですって!?」


 低レベルのクリスタと同列に扱われるのは心外極まりないが、民草がボクを誉め称え、王と崇めるのは正直うれしい!


「じゃあアスタルがボクに頭を下げて、お願いしてくれるなら受けてもいいかな、この話」

「ちょっ、馬鹿なの? どう考えてもアスタルの方が立場が上だってこと分かんないの、馬鹿ジーク」


「なに言ってるんだよ! ボクはね、最愛のフリージアを諦めて、アスタルに譲るんだよ。これがどれほどつらいことなのか、女のクリスタには分からないんだよ!」


「はあ? アスタルからブラッドの囲ってる女の子はすべて与えるって言われたときのあんたのにやけ面ったらキモいにもほどがあるわよ」


「キミはなんて恩知らずな奴なんだ! ああ、ボクが拾ってやった恩を忘れるようなどあほうなのか、なら仕方ない」


「構わない。ジークフリート殿、どうか私と同盟を結んで欲しい。もちろんキミにとって利益があるよう最大限努力しよう。ブラッドが各地から攫ってきた婦女子の処遇はすべてキミに任せたいと思う」


 アスタルはボクに臣下の礼を取るみたいに頭を深々と下げていた。


「ははは! 分かったか、クリスタ! これがボクの人徳って奴だよ」

「なに言ってんの! ジークの器なんてスプーンより小さいでしょ、ちょっとはアスタルの器くらいになったらいいのよ」


 なんだよ! ボクの器が小さいとか……ボクの自慢のエクスカリバーを見せてやってもいいんだぞ!


 ま、まあいい。


 ハーレム確定だ。悔しいがブラッドのハーレムにいる婦女子はボク好みの美女、美少女揃い……。


 ブラッドの中古というのが少々不満だがボクのエクスカリバーで女の子すべて上書きしてやるんだからな!


―――――――――あとがき――――――――――

間違いなくざまぁフラグを立ててしまった自慰苦くん、そんな彼もおしりを蹴られて○精してしまうというスキルを獲得しましたwww

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