第137話 姫騎士と秘め事
「くっ、グラッドさまがこのままキスして下さらないのなら私はここで命を絶ちます」
「なにを馬鹿なことを……早まるな!」
くっ、殺せじゃなく、自分から死のうとする姫騎士……。
喉に隠し持ったいたナイフを当て、俺を脅す。
しかもキスと言っても下半身の唇に俺のご子息を触れさせろ、という変態っぷりだ。
「いいえ、愛する者に拒絶されることほど辛いことはないのです!」
うっ。
恋愛と家族愛を同列に扱うのはどうかと思うが、もし愛から「おにぃ、嫌い」なんて拒絶されでもしたらヴァイオレットと同じ気持ちになってしまうかもしれない。
「貴様の気持ちは分かった。ただし、触れるだけだからな! それ以上のことをしたら絶交だぞ」
無辜の姫騎士を死なすわけにもいかず、俺は彼女の要求を飲んだ。
「はわわ……ついにグラッドさまと口づけを……いいえ、私の唇はそこではありません」
「お、おいっ! 約束が違うぞっ!」
突然俺のご子息を掴んだ姫騎士は……。
―――――――――自主規制―――――――――
ガシャコーン♪
―――――――――自主規制―――――――――
口づけって子宮口なのか!?
こいつはオークの調教済みなんじゃないかってくらい、俺は激しく搾り取られた……。
シーツはヴァイオレットの血でまみれていたというのに……。
「はあ、はあっ、ブラッドさまに子宮へキスしてもらえて幸せです」
「なんて奴だ……」
俺を騙して逆レ○プした姫騎士は満足そうに俺の首筋に頭を埋めた。よわよわとはいえ鍛えてるだけあり、ヴァイオレットは俺の精力をしっかり搾り取ってしまう。
約束破りは絶交だと言おうとしたときに涙交じりに訴えてくる。
「グラッドさま……お願いです。絶交などなされずに私ともっと性交してください……」
ヴァイオレットはイッたあと、処女だったくせにしっかり発情して、また俺の腰に跨がっていた。
事後、ヴァイオレットが俺の隣でしあわせそうな顔をして眠っていた。王族であるという重圧に耐えかね、駆け落ちを望んだ彼女……。
無抵抗で彼女に逆レ○プされる演技をしていた。それでちょっとだけでも彼女の気持ちが晴れるなら……という想いからだ。
俺があの憎むべき嫁ぎ先だと知ったら、騙していたと糾弾されるんだろう。それで彼女が俺から離れたなら、彼女が良い相手を見つけられるよう影から支援したい。
静かに寝息を立て眠るヴァイオレットの前髪を撫でたときだった。
ノックもなしにヴァイオレットの寝室のドアが開き、あの男がやってくる。
デリカシーのない俺でも愛の部屋に入るときはラインしてノックして声掛けののち、愛の許可が取れれば入室するのいうのに……。
「なにをしているかと思えば、若いツバメを連れ込んで淫行か? おまえの王族であるという自覚の無さには呆れて物が言えないな……」
若いツバメも何もヴァイオレットは十代後半でグラッドはローティーンだ。つまり二人とも若い!
アスタルに突っ込んでやろうかと思っていたら、奴がさっと手を水平に翳すと後ろに控えていた護衛たちがヴァイオレットのベッドを取り囲んでいた。
「魔王ブラッドを釣ろうと思ったら、ネズミが忍び込んでいたか……。まあいい、ブラッドへ使うまえにネズミで実験できたと考えれば良いのだからなぁ! 私の大切な妹に手を出した狼藉者を連れて行け!」
「グラッドさまっ!!!」
俺は護衛に無理やりベッドから引きずり出されようとしていた。喧騒で目覚めたヴァイオレットが寝具で胸元を覆い隠しながら、俺に手を差し出す。
「手荒に扱わないでもらいたいな、自分で歩けるのだから」
「このガキ! アスタル殿下の御前で……」
跳ねるようにヴァイオレットのベッドから降りた俺と目が合った護衛が言葉を詰まらせた。
「兄上、実験とはなんなのですか! 教えてください!」
「そうだな、婚約の前祝いに教えてやろうか。おまえと寝た男はディバインドラゴンの致死性の毒に冒され、まずは皮膚が腐り内臓が癒着、ついには脳が溶けて死ぬのだ」
「そんな……」
「魔王ブラッドは意外にも人を哀れむ心はあるという……。おまえの毛嫌いするブラッドに私の手に掛かり、愛する男が殺されたと話せばブラッドは無能なおまえを抱いて離さないことだろう」
はい、正解!
馬鹿なジークフリートと違い、アスタルは俺のことをよく理解していた。抱くかどうかは別として……いやもうヴァイオレットがかわいそうだったから不可抗力で逆レ○プされてしまったけど……。
「たとえ魔王ブラッドがどれほどの力を持っていようとも一度呪いが発動してしまえば、解呪は不可能。その少年は今晩にでも苦しみ出し、明日にはのたうち回り死ぬ! ヴァイオレット、私は寛大だ。おまえにはその少年の死に水を取らせてやろう」
――――フォーネリア王宮の地下牢獄。
後事はリリーに託してあるので俺が死んでもフリージアもヴァイオレットもなんとかしてくれるだろう。
これでようやくフリージアたちから毎日搾精される生活も終わるのだと覚悟していた。思い残すのは愛のことだ。せっかく異世界にまで追いかけてきてくれた愛に申し訳なく思う。
おかしいな……。
牢獄の上の方に開いた窓……隙間とも言う、から漏れ出た月灯り。
アスタル曰わく、今晩にも皮膚が……みたいな感じだったのに痛みどころか、すこぶる快調でひんやりした
訝しがる監視だったが別の者と交代する際に個体差はあるみたいな話をしていた。
俺に効かなければブラッドにも効かないと思うんだけどなー。
ベッドを足で挟んで鉄格子で懸垂しているとなにかがキラリと光った刹那、話し込んでいた監視二人の首が転がっていた。
「グラッドさま、お迎えにあがりました」
「ユーセミリア!?」
―――――――――あとがき――――――――――
ライトニングバスターの発売日だぜ~! というこで近所の家電量販店にまで出かけた作者でしたが、店舗到着時にはいつもの倍以上に並んでいてびっくりでしたね。買えるかな? と不安が過りましたが先に並んでいた方たちはACとトミカ目的だったようで、作者は無事ライトニングバスターを入手できました(≧▽≦)
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