第136話 無自覚に策謀破り
――――【ブラッド目線】
ユーセミリアの身の上話をじっくり聞きたいところだったが、それよりも俺の子を身ごもっているかもしれないフリージアのことが気になる……。
王子妃選は貴賎こそ問わないが処女であることが最低限の条件、なのに王子であるアスタルが連れてきたフリージアが処女どころか、毎夜俺に種付けを求めてくる性女であると知れば、奴は発狂してなにを仕出かすか分からない。
ジークフリートよりマシそうに見えて、リサーチも碌にせずにフリージアを誘拐してしまうような奴だ。かといって、未だにフリージアを俺から寝取ってもいないという悲しき男……。
アスタルのヴァイオレットへの接し方を聞くに、俺の奴への評価はただ下がりだ。惚れた女のために妹を差し出すとか、あり得ねえ……。
――――ヴァイオレットの寝室。
ヴァイオレットとフリージアの今後について協議しようということになったのだが、呼ばれた先がどうも彼女の寝室くさい。
いやヴァイオレットは臭くはないし、逆にミントを思わせる爽やかな香りがしている。
「グラッドさまにお見せしたいものがあります。見ていてくださいませんか?」
「なんだ? もったぶらずに勝手にやればいい」
「はい……」
ヴァイオレットはまとっていた甲冑を一つ一つゆっくりではあるものの脱いでいった。ついにはすね当て、ブーツを脱ぎ終えて、一人で脱げたもんとでも言いたげな表情をしている。
甲冑を脱いだヴァイオレットを見て俺はあ然とした。甲冑のなかには薄いチェーンメイルを着込んでいたようなのだが、よく見ると肌着どころか下着もつけていない……。
そんな格好で外にでも出れば姫さまご乱心ととられ、塔の上へ幽閉されかねない。俺の心配をよそに痴女姫さまはチェーンメイルも脱ぎ捨て、全裸で俺に身を寄せた。
「駆け落ちしても兄の追っ手に捕まれば、私は魔王ブラッドへの貢ぎ物として捧げられる身。であれば私は愛しいグラッドさまに初めてを捧げたいと思います」
「なっ!?」
いや……俺に捧げても、ブラッドに捧げても変わらんから!!! 同一人物だかんね!!!
だけどヴァイオレットに正体を明かすわけにもいかず……。
「キスだけだぞ、それ以上はまかりならん」
「ありがとうございます。こちらへその逞しいものでキスしてくださるんですよね?」
「お、おいっ!」
ヴァイオレットはおあいことばかりに俺のズボンを剥いてしまい、ヴァイオレットの晒す美しい柔肌に興奮を覚えたご子息が露わになってしまう。
すでに痴女のような格好をしていたヴァイオレットはどうやら恥ずかしかったようで股の間を涙で濡らしてしまっていた。
「こちらのお口にキスしてください……」
「それは……」
「キスまでなら大丈夫でしたよね、確か……」
「うう……」
言ってしまった以上、俺は責任を取ることにした。
――――【フリージア目線】
(ヴァイオレットがグラッドに報告する前のこと)
「うっ」
ブラッドさまへの想いが募っていると急に胸が痛くなり、気分が悪くなってしまいました。
「失礼いたします……」
「あなたは……?」
ノックもほどほどに入室してきたのは
そんな騎士さまがヘルムを取ると長いブロンドの髪を棚引かせておりました。
「まあっ!?」
「リーベンラシアではいらっしゃいませんか? 女騎士という者は……」
「そうですね、かなり珍しいと思います」
二言三言のやり取りを交わすと騎士さまは私のまえで跪いて、名乗られます。
「お初にお目に掛かります。私、ヴァイオレット・フォーネリアと申します。かの有名な聖女、フリージアさまにお会いでき光栄です」
私も彼女に自己紹介を済ましたあと、気になることが……。
「フォーネリア……もしかしてあの男から監視役を命じられたのですか?」
「あの男……ああ、兄ですか。いえ、そうではありません。私は兄から疎んじられておりますので。あなたの身を案じるグラッドさまの願いによりこちらに参った次第です」
グラッド……?
誰か分かりませんが
「私が愛するのはブラッドさま、ただ一人です」
「やはりフリージアさまは聖女です! たとえ攫われようとも愛する男性を一途に思う、はああ……私、感動いたしました。私も実は好きな方がいて、その方と添い遂げたいと思っているんです」
「まあっ! それは良いことですね。心ばかりですがヴァイオレットさまの願いが叶うようお祈りを捧げますね」
「ありがとうございます。聖女フリージアさまに祈っていただけるなんて、自慢にしたいと思います」
あら……ヴァイオレットさまにお祈りを捧げると甲冑を身につけていらっしゃるのにおへそとお股の間が輝いてしまっていました。
詳しくは分かりませんが、なにか呪術のような妖しさを感じます。ブラッドさまの力強い種付けを思い浮かべ、祈りの強さを最大限に高めます。
「はうっん!」
ヴァイオレットさまは甲冑をまとった凛々しいお姿から想像できないほどの色っぽい声をあげると口角の端から涎を垂らし、とろんとした瞳へとなられていたのです。
「はあ、はあ……さすが……聖女さまです……祈りですらこんなにも人を居心地よくさせてしまうなんて……」
「は、はい……どういたしまして」
―――――――――あとがき――――――――――
塩かず○こ先生……つい先日アニメ化された作品のイラストやV tuberのママもされてるのに、大人のおもちゃのイラストまで手掛けられるとか神過ぎる……。
小説で例えるなら芥川賞を受賞したのにノクターンで書くみたいなwww 違うか……。
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