第109話 ブラッド被害者の会(クズたちの同盟)

――――【クリスタ目線】


「ギャーッ! って、なんもなってねえわ!!! 驚かせるんじゃないわよ!」


 私はエクソシストみたいな人が放った青白い炎を浴びたんだけど、まったくなんともなかった。びっくりして大声で叫んじゃったけど……。


「そんな対屍霊に備えた最強魔法が効かないグールがいるなんて!」

「まだ威力が弱いんだ、もっと火力を上げろ」

「はい、殿下っ!」


 エクソシストが驚いてる横で残念イケメンの極みみたいなジークフリートが的外れな指示を出してた。


「グールじゃないからっ! ちゃんと人間なんだから! いい加減にしておかないと、あんたたちのこと許さないんだからね」

「人間だったのか、無駄な時間を取ってしまった。行こうか、フランドル神父」


 エクソシストみたいな人がジークフリートの言葉に頷いて、私に詫びの一つも入れずに立ち去ろうとしていた。


「ちょっと待ちなさいったら! 死んだら、どう落とし前取ってくれんのよ! 元王族だからって、やっていいことと悪いことがあるんだからねっ!」

「元王族じゃないっ! 今も王子だ!」

「やらかしの連続で勘当されたって聞いてたけど」


「う、うるさいっ! 平民のおまえにボクのなにが分かるってんだ。ボクはブラッドの罠にはめられたんだ。狡猾な奴はボクの才能に嫉妬して、父上や臣下たちにあることないこと吹き込んで、ボクを追放させたんだよ。すべて奴の企みだってことを証明してやるんだ」


 ジークフリートは拳を握り締め、鼻息荒く息巻いていたけど、どう見てもブラッドの方が一枚も二枚も上。これ以上ブラッドに挑んでも恥の上塗りのように思える。


 それに……。


 巷じゃ、これだけやらかしたジークフリートを処刑せずに見逃しているブラッドの情の深さと器の大きさを誉めそやす声がいっぱい耳に入ってきてる。


 んん? そういえば気づくと私は立ち上がって、ジークフリートと言い争いしてしまってた。あの青い炎に焼かれたのが良かったの?


 私とジークフリートが睨み合っていると止めが入った。


「殿下、醜い言い争いはお止めください。それこそ時間の無駄というもの。私に良い考えがあります。よく見れば、そこの娘はまあまあの器量。フォーネリア王子妃選に出してみるのも一つの手ではないかと」


 まあまあの器量ってね……。


 こんな絶世な美女を捕まえて、モブより少し上みたいに言われてもまったくうれしくともなんともないんだから。


「う~む、そちらで息絶えた娘の方がボク好みなんだけど……。その娘じゃ、明らかに勝てないだろ。あろうことか、ボクに楯突いてきて、フリージアみたいにお淑やかじゃないし」


 死んじゃってる子と私を見比べて、ジークフリートは額に手をやり眉根を寄せて、文句を垂れる。


 マジで失礼極まりない。


「ちょっと二人で勝手に決めないでくれる?」

「フォーネリア王子妃になればなに不自由なく暮らせますぞ。それに出自の貴賤は不問ときている……」

「ホントにっ!?」


 乗るしかないわ、このビッグウェーブにっ!!!


「仕方ない、この程度の女ならアスタルにくれてやってもいいかな」

「はあ? この程度!? ふざけんな」

「殿下! せっかく乗り気になってくれてるんです、逆撫でしてはいけませんぞ」


「くっ、フランドル神父がそう言うなら……」

「そうだぞ~、神父さまの言う通りだ、この残念王子!」


 私の味方をしてくれそうなイケオジエクソシストに媚びを売ろうと腕組みしようとしたときだった。


 エクソシストは素早い身のこなしで、さっと私を避ける。


「あ、申し訳ない。無闇に私に触れないでいただけるかな? 私は美少年しか好まないので。どこかに私好みの生意気そうな美少年はおりませぬかな? 親類縁者、ご存知なら私にご紹介ください、たっぷりと紹介料はお支払いいたしますから」


 うげっ!?


 見た目人格者っぽいくせにマジヤバい人じゃん!


―――――――――あとがき――――――――――

ブラッドのおしりに神父さまのビッグマグナムがロックオン! とりあえず、こいつらまとめてざまぁして欲しい読者さまはフォロー、ご評価お願いいたします。

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