第108話 前世の人の元カノ【ざまぁ】

――――【クリスタ目線】


 ザザー♪ ザザー♪


「ううう……」


 まぶたが開くと砂だらけの光景が広がってた。耳には波の寄せては返す音が響いてきている。私は国王たちの罠にはまり、追い詰められて断崖から飛び降りたあと、どこかの砂浜へとたどり着いみたいだった。


 私はただ生きるために努力してきたのに、なんで酷い目に遭わなくちゃならなかったの? こんなの理不尽すぎるよ。


 それもこれも智くんのせいだ。


 彼が私を大事にしていれば、別れ話なんてしなくても良かったし、課長にも騙されずに済んだんだよ。


 仕事で忙しいなんて理由をつけて、絶対に妹と遊んでたんだ。あの子の私を見る目はおかしかった。 こいつは敵! って、明らかに敵意を剥き出しにしてきてたし。表面上は気怠そうに装ってたけど、「愛のおにぃ」に手を出したら殺す! って殺意すら感じた。


 美紗子には懐いていたくせに……。


 それにだいたい課長も課長よ!


 美紗子に相手にされなかったことを私のまえで言うとか、私は美紗子の代わりかよ、って。智くんが私の相手してくんなくて、寂しくて課長に靡いちゃったけど……。


 ちゃんと奥さんと別れてからじゃないと中出ししちゃダメって言ってるのに、ばんばん出しちゃうとかマジあり得ない。だから赤ちゃんできた、って嘘ついてやったんだけど、まさか首を絞めて殺してしまうなんて……。


 まあそんな課長は間違いなく地獄行きだね。


 はあ……ホントついてない。


 せっかく転生できたのにモブ中のモブ、村娘とか有り得ないから。なんにも良いことないだけならまだしも、下手したら死んでしまうような危機が襲ってくるとか聞いてないよっ。


 神さまが出てきて、なんか人生イージーモードみたいな恩寵とかないの?


 はあ……マジ死にたい……。


 次に転生するときは何不自由なく暮らせるお姫さまがいいっ! それ以外の転生とかぜんぶ却下だから。


 あ~もう、このまま一生起き上がりたくないんですけど……。


 うつ伏せのまんまでいると砂を踏みしだく音がしてきて、


「殿下! あそこに人が倒れています」

「ん~、そんなの放っておこうよ。珍しくもない溺死体だろ~。ボクはアスタルに見合う女の子を見つけて、その報酬にリーベンラシアの王子として返り咲くんだよ」


 なんか物凄くムカつくんですけど! 誰かが私のところに歩み寄ってきて、様子を見てる。


「殿下、どうやらこの者は若い娘のようですが……」

「なにっ!」


 殿下って言うことは王子さまよね?


 ……はいっ! キタこれっ!


 王子さまの熱いキスで目を覚ました私は玉の輿ルート確定!!!


 権力のある王子さまだけじゃく、強い騎士さま、お金持ちの商人の令息、ミステリアスな吟遊詩人に他国の王子さまと秘密の関係を持って、人生を楽しむ……。


 ああっ、素晴らしいわ。


「大丈夫かっ!」


 大丈夫じゃないわ。私は王子さまの愛に飢えているの。早く助け出して、私に権力を、お金を、優雅な暮らしを提供して!


「ダメだ……事切れている」


 いやいや生きてるって!


 なんなら今すぐお持ち帰りしてもらって、すぐにえっちも可能よ! 種付けチャレンジからの着床、妊娠、王子妃確定してもいいからね。


「今日のところは諦めて帰ろう」

「はい、収穫なしでしたね」


 えっ!?


 声が私から遠ざかっていくんですけどっ。


 ひっ!?


 薄目を開けて覗くと私の隣に青い顔して、目をかっと見開いた女の子がいた。たぶん浜辺に来た人たちは彼女に声をかけたけど、私はスルーしたんだと思う。


 このまま座して……いいえ、伏して死を待つより入れて活路を見いださん!!!


 王子さまのアレを入れて、種付けチャレンジされれば勝利は私のもの。


「ううん……はあ……なんだか種付けされたいキ・ブ・ン」


 私は殿下と呼ばれた人に向かって寝返りを打って、スカートを捲り下着を見せた。


「いまなにか動いたようだが?」

「気のせいでしょう。他にリーベンラシア奪還の策を練り直した方が良さそうに思えます」

「そうだな……」


 一瞬、立ち止まったかのように見えたけど召使いがたしなめたことで、再び浜辺から去ろうとする。


 いやあり得んし!


「ちょっと待ってよ! 私が誘ってんのにスルーするとかなに考え……」


 私は死力を尽くし起き上がって声をかけたことを後悔した。


「げっ! ジークフリートっ!?」

「うおっ!? グールが目を覚ましたぞっ!!!」


 驚いたジークフリートは召使いと思われた隣の男の肩を叩いた。クレリックっていうの? あんな人たちが持つ杖と衣装を着た人が私に向かって、なんか唱え始めてる。


「天から注ぐ陽の光よ、我が目の前に立ちふさがる穢れた骸を持つ者に神罰を! 【聖炎ホーリーファイア】」

「なに考えてんのっ! 私は生きてるからっ!!!」


―――――――――あとがき――――――――――

本日(8/24)、ついにガールガンレディというバ○ダイの黒歴史が塗り替えられるときが来たのです。そうメイド衣装が生まれ変わって、30MSのオプションボディパーツ タイプMD01[カラーA]に実質バージョンアップして復活を遂げたのです。

ん? それだと黒歴史も引き摺って……。作者はそんなことないと信じてます。ドルフロしかり、メガニケしかり、世はガールガンレディの時代なのですよwww

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