乙女ゲーをぶっ壊す!
第100話 ハーレムなら5Pぐらいは……
――――王立学院。
ああ~、旨い。
「堪らんな、フォーネリア産の茶葉は」
ソーサーを左手に、カップを右手に持って、窓辺で寮から見える長閑な風景を楽しんでいた。遠くに見える麦畑で農夫たちが額に汗して、労働に勤しんでいる。
俺が紅茶の味をのんびりと堪能できているのも彼らのおかげだ。俺もいつか辺境で農業を営みながら筋トレに勤しみ、仕事終わりには紅茶を啜ってスローな生活をして過ごしたい。
そのためにはしかるべき人物を俺の代わりに王太子として擁立しないと。オモネールたちに王家の血を引く者で優秀な者はいるか、ピックアップさせている。
もちろん俺に代わる王太子候補などとは一言も話していないが。
スローライフへの憧憬とその計画を練っていると急に俺の視界が遮られる。まるで俺のスローライフへの道を阻止するかのように……。
「おにぃ、来たよ~」
愛が窓辺にいたのだ。
「ここは三階だぞ。どうやって……聞くまでもなかったか」
「そうそう愛の職種は杉だからー」
愛の足下を見ると彼女は枝に乗っており、枝の先にはしっかりとした太い幹が三階にまで伸びていた。
「貴様はいいな。実に自由で」
愛の奔放さは俺の憧れ。皮肉で言ったわけじゃないがブラッドのフィルターを通すと、どうしてもそのようになってしまう。
「んとね、じゃあ~、おにぃと愛とで駆け落ちする?」
「悪くないな」
恋人でなく、あくまで妹としてだけど。
「ホントに!?」
「だが俺にはまだやり終えてない仕事がある」
俺の答えに愛は驚くが、そのまえにフリージアたちのお相手探しが残っている。
愛とやり取りしていると妙に天井裏からゴトゴトとラップ音がしてきていた。
「お姉さま、私にも見させてください」
「いま良いところなのです。もうちょっと待って」
さらに聞き覚えのある声まで響いてきていた。天井の点検口の蓋が僅かにズレており、隙間から覗くとアクアマリンのような蒼い瞳と目が合う。
「降りてこい、フリージア、リリー」
「ああん、リリーが急かすから見つかってしまったではないですか」
「それはお姉さまが見せてくれないからです」
姉妹仲良く俺たちを覗きにくる二人を怒る気などになれず、むしろ微笑ましいとさえ思えてくる。
「まったく呆れた
俺が腕を伸ばすとフリージアがスカートの裾を押さえながら、飛び降りた。ふわりとした感触が腕に伝わったかと思うとフリージアは素直な気持ちをぶつけてきた。
「どこにもいかないでください。ブラッドさまなしでは私は生きてゆけません」
腕を首に回し、じっと俺を澄んだ目で見つめてくるのだ。
「お姉さま、ブラッド殿下から離れてくださらないと私が降りられませんわ」
まだ天井裏で降りられずに待ちぼうけを食らっていたリリーが急かす。
「い、いやです。もう少しだけこうしていないのです……」
珍しくわがままを言うフリージア。だが甘えるにしても昨晩もフリージアにきっちり搾精されているんだが……。
「あとで好きなだけ子種をくれてやる。その美しい容貌がアヘ顔ダブルピースするまでなっ! だから一旦、俺を離せ」
「は、はい……約束……ですよ。ん……」
フリージアは愛とリリーがいるにも拘らず、俺にキスしてきていた。誓いのキスが済んだらフリージアは満足したのか、俺の腕から降りる。ただ名残惜しそうに俺の腕に触れてから……。
「もうお姉さまにはこまったものです」
天井裏から飛び降りたリリーもようやく俺の腕へと収まった。俺が腕から降ろそうとするとリリーは目を閉じ、口をすぼめる。
「殿下、なにかをお忘れではありませんか?」
「ん? 俺はなにも忘れてなどおらぬが?」
「もう殿下の意地悪っ! 分かっているくせに……私にもお姉さまと同じようにキスしてください!」
やれやれ、姉妹揃って甘えただなと思い、リリーに口づけしたときだった。
「ブラッドさま、お菓子が焼けましたので……えっ!?」
ネモが両手でトレーを持って訪れてくれたみたいだが、愛とフリージアが俺の手をそれぞれの胸元に寄せ、リリーとキスしている事態に絶句していた。
ああもう幻滅されただろうな、と思っていると……。
「私も混ぜてもらっていいですか?」
俺は即座に〝混ぜるな危険〟と返したくなった。
「待て待て待て。ネモよ、俺は貴様が最も嫌う浮気男だ。穢らわしいと拒絶しないのはなぜだ!」
「ブラッドさまは他の男の子とはまったく違います。こそこそ隠そうなどとされていませんし、後ろめたい気持ちなど微塵も感じないのです。それにみんなをしあわせにしていますから。顔を見れば分かります」
女の子みんなの顔が紅潮してきて、目がとろんと蕩けてくる。さらに揃って服を脱ぎ始めて、全裸待機する気まんまんだ……。
ええっとこれって5Pになってしまう流れですよね。
鍛えた自信はある。
だが四人一気にイカせる自信は流石にない。彼女たちに搾精され、「何の精子も!! 残ってませんでした!!」になることを覚悟したときだった。
部屋のドアがノックされたので、俺自ら応対に出る。
「ブラッドさま、大変です。王都近郊にケルベロスが出没したとの報告が!」
普通ならオモネールたちか騎士団長が知らせにくるところなのに、今日に限って見たこともないような若い騎士が知らせにきていた。
「分かった。すぐ討伐に出向く。親父には俺が行くと伝えておけ」
「畏まりました」
知らせに来た騎士の北方訛り……俺はそれよりも5Pになる危機から逃れられることと強敵ケルベロスと戦えることで気にも止めていなかった……。
―――――――――あとがき――――――――――
作者、いまさらながらFigure-rise standardのルナマリアを素組みしましたぞ。えっとバンダイさん、変態さんですか? コト○キヤならいざ知らず、胸部パーツを柔らか素材に変えるなど淫魔の所業! いいぞ、もっとやれ~! 今後の発売が予定されているルナマリアと同じくパイスーのプルツーには期待をむくむくさせてお待ちしておりますw
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