第95話 妹と子作りしないと出れない部屋
――――リーベンラシア王宮。
華美な装飾が整い、瀟洒な調度品が揃い、復興なったリーベンラシアの王座の間に招かれた……いや呼び出されたと言った方が正しいか。ブリューナクの国王となったアレスが跪き、ビスマルクに肩を叩かれる。
リーベンラシアのレガリアである剣で。
「汝、アレスを我がリーベンラシアの騎士とする。その身を以て余の剣となり盾となり、仕えよ」
「身に余る光栄、感謝いたします」
同じ国王同士なのに騎士に叙勲されるなど、屈辱でしかないのに「身に余る光栄」とは……。アレスの心中は
おまえの国は俺の国の支配下に入りましたよ、と国外からの賓客を招いて、これでもかとアピールしたビスマルク。
突如としてリーベンラシアに侵攻してきたブリューナクは俺たちによって反攻され、リーベンラシアの属国となることで戦争は終結した。
ネモはお人形のような少女を抱っこしている。
「なっ!? ネモよ、そいつは……」
「はい、ドリアードちゃんです。私の守護聖霊みたいで……。愛ちゃんが見つけてきてくれたんです。この子がいなかったせいで私の聖女の力が不完全だったらしくて」
「ドリーなのだ。よろしくなのだ」
「ああ……」
思わず、ずんだもんとか言いかけたが、そんなことを口に出してしまえば俺が転生してきたとすぐに愛にバレてしまう。
森の精であるドリーは小さな手を俺に差し出し、握手を求めてきている。俺がドリーのサイズに合わせて人差し指を差し出すとドリーは俺の指をぎゅっと握っていた。
儀礼が行われている脇で俺とネモはやり取りしていたが……、
「次はブリューナク王国との和平に多大なる功績のあったブラッド・リーベンラシア殿下の叙勲式を行います、ブラッド殿下はこちらへ」
ジークフリート派だった内務を司るバリエ大臣が俺に媚びへつらうように儀礼の進行を読み上げる。
流石に急に態度を一変させるとキモいな……。
馬鹿王子と呼ばれていたブラッドである俺が確固たる地位を築いたら、これだ。そんなバリエ大臣をじっと睨んでいる者たちがいた。
オモネールたちだ。
ブラッドに阿り、忖度し、媚びを売ってきた年季が違うのだと言わんばかりに。そんな彼らを見て、バリエ大臣は畏縮していた。
「まさかリーベンラシアを復興させるだけでなく、ブリューナクと優位な形で和平へと持ってゆくとはな……」
「ククク……親父には早々に退位などしてもらっては困るからな。俺のために存分に働くがいい」
俺の意思に反して、こともあろうに父であり国王であるビスマルクに不遜な態度を取ってしまう。
「はははは! 言ってくれるわ。それぐらいでなければ、この偉業を成し遂げられのかもしれんな」
ただビスマルクは人間ができているんだろう。俺の無礼な態度にも破顔一笑で済ませた。
王太子の身分など投げ捨てて、フリージアたちから逃れ、搾精されないスローライフを実現させるためにはビスマルクに簡単に退位されては困るのだ。
かと言って、ジークフリートではポンコツすぎる……。
選択肢があるようでないのが辛い。
俺が元の位置へと戻ろうとしたときだった。
「あれが魔王と噂されるブラッド……」
黒髪碧眼の男がぼそりと呟いたように見えた。元の位置には愛がおり、男についてぼそりと呟く。
「ふ~ん、フォーネリアのあすたんも来てるのか」
あすたん? フォーネリア?
文献を読んでフォーネリアという隣国の名は知っていたが、詳しいことは文献の内容ぐらいしか把握していない。
愛は男の名前を知っているようでふむふむと腕組みして様子を見ていた。
「知っているのか、あの男のことを」
「まあね、『フォーチュン・エンゲージ3 推しの花嫁』のスパダリだからー。もしかしてブラッドきゅんは妬いてる?」
「ふん、この俺があの程度の男に妬くなどあり得ん」
「まあまあ安心して。愛の推しはフリージアちゃんだから」
――――学院寮。
リーベンラシアに平和が戻り、俺はまた学院生活を送っていた。
いや性活かな……。
「昨晩も俺から子種を搾り取ったというのに貴様はまた……」
背面騎乗位とはまた……。
昨晩もフリージア姉妹に【
フリージアの止まることを知らない俺への想い。いや性欲に辟易してのことだ。
「おにぃ、私、フリージアちゃんじゃないよ」
なっ!?
最も聞き覚えのある声に俺は目を見開いて誰なのか確認しようとしていた。
―――――――――あとがき――――――――――
目覚めたヤンデレモンスターwww
ついにおにぃは愛に食べられてしまうのか? 危険が危ないシーンをご希望という読者さまはフォロー、ご評価お願いいたします。
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