第92話 孕み腹ちゃん【ざまぁ】
おやゆび姫ならぬ、おやゆび王子となってしまった俺。だが馬鹿げた筋力はまったく変わらなかったようで、俺を強力なデバフで小人にしたリッチを地面に叩きつけていた。
小さくなってしまった俺だがゆっくりと身体が大きくなってゆき、元に戻った。『フォーチュン・エンゲージ』では術者が気絶や死亡すればデバフが解除される。
「オラオラオラオラオラッ!!!」
元に戻った俺は目の光りが弱まったリッチをひたすら殴りつけていた。あまり飛び散らないように勢いをつけず、押し潰しながら……。
ある程度潰れたので捏ねて、餅状になってきたときだった。もう少しでスライムリッチが完成するというのに……。
「そこまでよ。いくら魔王のあんたが強いったって、大事な大事なこの娘を人質に取られりゃ、手も足も出ないでしょ」
アンメルツがフリージアの首にナイフを突きつけていたのだ。
「フリージアちゃん!」
「お、お姉さまっ!」
愛とリリーがフリージアに駆け寄ろうとするがアレスが二人のまえに立ちはだかる。だがアレスはアンメルツのやり方に思うところがあるようで……。
「樹李亜……こんな卑怯な戦い方は騎士道精神に反する……もっと正々堂々とした戦い方があるのでは……」
「うっさいわね! 大体あんたが無能だからあたしがムカつく岡田にいいようにされてるんでしょうが! 自分のダメさ加減が分かったなら、そいつらがこっちにこないようしっかり押さえておきなさい」
「……」
アンメルツに言い返され、アレスは黙り……。
勝ち誇ったドヤ顔を俺たちに見せるアンメルツだったが、フリージアはまったく屈することはない。
「ブラッドさま、私に構わずこの者たちに罰をお与えください」
「うるさいっ! 大人しくしてなっ」
パッシーーーーーーーーーーーーンッ!
フリージアの服の襟を掴み、正面を向かせるとアンメルツはフリージアの頬を強く叩いた。フリージアはよろよろと姿勢を崩して床に横座りしてしまう。
座り込んでしまったフリージアにまたナイフを突きつけたアンメルツは大木を叱責していた。
「大木っ! てめえ、さぼってんじゃねえぞ、カスが! さっさとこいつらを片づけて! もう使えないあんたしか残ってないんだから!」
「分かったよ……横田さん……」
大木はしぶしぶ了解した振りをするが……、
「てめえ、あたしにさまをつけろって言ったじゃ……あん?」
アンメルツはフリージアに突きつけていたナイフを持つ手に目をやる。
アンメルツの手首から先が消えていた。
「きゃ、きゃぁっ! て、手がぁぁぁぁっ!!」
アンメルツのような女でも女性がゴキブリを見たかのような高い声が出るんだと思ってしまう。
「樹李亜ちゃん、教えてあげるよ。ボクはね、キミよりも大恩のあるブラッドさまに忠誠を誓うことにしたんだ」
大木はブラッディベアを召喚しており、そのブラッディベアの口がナイフを持ったアンメルツの前腕を咥えていた。
「食べたいのかい? いいよ、食べちゃって」
大木の下に寄り、猫のように身体を擦り付けるブラッディベア、大木はそんな魔獣の頭を優しく撫でている。
もう一体のブラッディベアが涎をアンメルツの頭のうえで垂らしており、大木から声が掛かるのを待っていた。
大木は俺とトレーニングしたおかげで体力がつき、魔獣を一体でなく一度に複数召喚できるようになっており、ブラッディベア以外の魔獣がアレスたちと交戦している。
そんな混戦のなかで無くなった前腕を押さえながらアンメルツは大木に懇願する。
「お、お願い! 大木、いいえ大木さまっ、どうか命だけはお助けくださいっ! いくらでもやらしてあげるからっ! ねっ! ねっ! 悪い話じゃないでしょ」
アンメルツの懇願に大木は俺の方を向き、決裁を求めた。
「ブラッドさまっ! お願いがあります」
「ん? なんだ?」
「ボクの今回の功績のご褒美として、ブラッドさまが遊び飽きたら、この女をもらいたいんです、よろしいでしょうか?」
「構わんがそんな腐れまんでいいのか?」
「はい! ありがとうございます!」
俺と大木の話を聞いていたアンメルツは信じられないことにまだ余裕があるのか、上から目線で大木に接する。
「あ、ありがとな! 大木」
「ごめんね、樹李亜ちゃん。ボクはもうキミみたいにクズまん女と付き合わなくてよくなったんだ。それに樹李亜ちゃんとスると病気もらっちゃいそうだし、遠慮しておくよ。あっ! でも安心して! 優しいボクは樹李亜ちゃんのためにキミの卑しい性欲を満たしてくれる子たちを用意してあるんだ」
「えっ!?」
大木の後ろに控えていたゴブリン、オーク、コボルトたちが口を開けてにやついていた。大木は操るモンスターの孕み腹としてアンメルツを飼うことにしたらしい。
―――――――――あとがき――――――――――
ブキヤの性癖への攻撃が止まりませんw なんとYouTubeに画像をアップすると怒られそうなハンケツ猫耳娘を出してしまったのです。
け、けしからーん!!!
あ、作者はばっちり予約しましたwww
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