第77話 テントの中でズボンのテント張る
「ブラッドさま、お疲れになられていませんか?」
「いやまったくだが。それがどうかしたのか?」
フリージアは俺を気遣い、わざわざテントまで訪ねてくれたらしい。俺が返答すると彼女は胸に手を当て伏し目がちになる。
「お父上であるビスマルクさまは行方知れず……、血のつながった弟であるジークフリートさまと対峙される心痛をお察しするといたたまれなくて……」
フリージアは感極まったのか、まぶたに真珠のような滴を浮かべていた。彼女も異母妹とはいえ、血のつながったリリーと長い間仲違いしていたから、同情してくれているのかもしれない。
だが俺は転生した人間なので、父親であるビスマルクは別としてもジークフリートと対峙することに関して、まったく躊躇はない。
ただフリージア……強いては俺の死亡フラグ回避のためだけにジークフリートを死亡させないように動けばいいだけのことだ。
はっきり言ってジークフリートと仲良くする必要はない。
もちろん、そのメリットもだ。
「私にできることと言えば、これくらいしかございません……」
ちょっ、おま!
いつ誰が急に訪れるのかも分からないテントの中でフリージアは背中にあるドレスのボタンを外し、脱ぎ始める。
「俺は疲れていない! 貴様がただ俺と寝たいだけだろっ! 止めろ、ここで脱ぐなっ」
「はい、ブラッドさまに三日もお預けされ、私の秘密の花園は雌犬のように発情しております」
蕩けた瞳で俺を見つめるフリージア。ボタンが外されたことでドレスの生地が形を保てなくなりフリージアの肌からこぼれ落ちた。
それによりぽろんと彼女のたわわに実った乳房が俺の目の前に晒される。
うん、いつ見てもナイスおっぱい!
じゃなかった。
「なにをしている! 早く肌を隠せ、何度も言っているが俺と貴様はもう婚約者でも恋人でもないのだ。こんなところを誰かに見られれば、勘違いされてしまうっ。そうなったら貴様は他の男から淫乱聖女などと揶揄されてしまいかねん」
自分でもなんでここまでフリージアのこと想い、気遣っているのか、わけが分からなくなるがどうにも危なっかしい彼女が心配でならなくなる。
転生前は彼女より年齢は一回り以上違ったので親心みたいなものだろうか?
「でしたら早く私を抱いて、その猛りをお鎮めください」
なるほどち○ちんだけに鎮々ってか?
くやしい……、いくら賢者のようなことを言っても身体の反応は真逆でフリージアの美しい半裸に俺のご子息はすっかり逞しくなってしまっている。
俺の力は自慢ではないが、並みの者にそうそう負けることはない。それは相撲のようなレスリングにおいてもだ。
だが乳出しフリージアに迫られ、お胸の先っぽをピタリと当てられ、彼女の吐息混じりににじり寄られると俺の足はじりじりと後退してしまう。
俺の踵が土の窪みに引っかかった。
テント全体に絨毯が敷かれてあるが土の凸凹のすべてを均すのは難しい。絨毯の上には就寝用のマットが置いてあって、フリージアに迫られていた俺はバランスを崩して倒れてしまった。
「またブラッドさまと一つになれそうでうれしいです」
「なっ!?」
いつの間にか俺のズボンと下着は脱がされており、フリージアは微笑んでいた。恐らく倒れる前にフリージアはズボンのウエストに手をかけており、俺の倒れる勢いに任せて、するりと剥いていたのだろう。
この娘……手練れ過ぎる……。
フリージアは俺の身体をまるでバイクのシートにでも跨がるかのような仕草で座ろうとしている。彼女専用のバイク(俺)のシートにはMT車のようなシフトノブがついているが……。
実に器用なことにフリージアは下半身でマニュアル操作を試みようとしている。
「ブラッド殿下! ご報告が……」
ひっ!?
テントの外からオモネールの声が聞こえたので、俺は慌ててオフトゥンを掴みフリージアへと被せた。
「いいぞ、入れ!」
「失礼いたします」
出入口にかけられたシートを暖簾のように潜り、オモネールが入ってきたときだった。
「申し訳ございません、お休み中でしたか」
「んほぉぉぉぉーーーーーーーっ!?」
「殿下! どうされました!?」
「いや、なんでもない……構わん、続けろ」
いいぞ、入れ! はオモネールに向かって言ったのであって、断じてフリージアに言ったことじゃない。にも拘らず、フリージアは……。
「では失礼いたしまして……大変申し上げにくいことなのですが、ジークフリートさまが和睦したいとこちらに参られています。お通しして構いませんか?」
「いや、いま……俺は仮想敵との戦いに備え、脳内でシミュレート中だ。少しあとにしろ、と愚弟に伝えておけ」
「畏まりました。ところでフリージアさまはこちらにいらっしゃいませんでしたか?」
「……来ていないな。そ、それがどうかしたか?」
「はぁ、それが愛殿がお捜しになられていましたので……」
「そうか、見つけたら愛のところへ戻るよう伝えておく」
「ブラッド殿下のお心遣い、誠に感謝いたします。それでは……」
もぞもぞと俺の腰の上で蠢くフリージアだったがなんとか難局を乗り切り、オモネールが立ち去ろうとしたときだった。
「ブラッドぉぉぉ!!! ボクがわざわざ来てやったというのに待たせるとは何事だっ!!!」
実に罰が悪いことにフリージアが俺の上に跨がっている真っ最中に、ジークフリートが俺のテントに入ってきてしまったのだ。
オフトゥンが捲れでもして、俺とフリージアがピーしてるところなんて目の当たりにしたらジークフリートは闇落ちするんじゃないか!?
―――――――――あとがき――――――――――
なんだと!? 蝸之殻がモダニアの可動フィギュアを出すだと……? しかも彼(ちしかん)シャツ仕様で……。そんなの買うしかないだろ!
DOROっぽいキャラを出してたから、メーカーでメガニケ好きな人がいるんだな、と思ってたらこれよ!
愛です 愛ですよ ちしかん
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