第60話 俺は兄ではありません、人違いです
――――【ブラッド目線】
俺の頭の中に浮かぶ童謡『森のくまさん』の替え歌……もちろんくまさんは愛さんに変換されている。
俺とフリージアの前に現れた前世の妹の愛。その出で立ちはまさに高校へ登校中のJKそのものだ。
「おにぃ!」
「変な格好をした珍妙な女かと思ったら、なにを戯けたこと……俺は貴様の兄などではない、人違いだ。俺にはジークフリートという愚弟しかおらん」
「う~ん、運命の赤い糸は半径三メートル以内におにぃがいるって示してるけど……。おにぃの性格から考えて、正反対のブラッドに転生するのはありえんしー。ん~、ん~」
そんな愛は左手の小指をぴんと立てたあと、腕組みしてうんうん唸っていた。あまり考え込むことなく、即断即決の愛にしては珍しい光景だ。
しばらく考え込んだかと思ったら、愛のアホ毛がなにかを閃いたときのようにまっすぐ上を向いて逆立った。愛は俺たちに向かって、結論を述べる。
「もしかして、おにぃ……フリージアにTS転生しちゃった!?」
どうしてそうなる……。
ゴリゴリだった俺が可憐な美少女であるフリージアに転生とか、それこそあり得ない。いやまあネタとしては面白そうではあるけど……。
「ああ……おにぃが女の子になっても愛のおにぃへの気持ちは変わんないよー」
「えっと、私はおにぃという方ではないのですが……」
愛は初対面にも拘らず、俺を差し置いてフリージアにハグしていた。
「おにぃ……前世の記憶が思い出せないんだね。フリージアちゃんはね、転生前は愛の大好きなおにぃだったの。愛が教えてあげるから、ちょっとずつ思い出していこうね」
思い出す ×
洗脳 ○
愛の表現にそんな違和感を覚えた。
愛はフリージアが俺だと壮絶に勘違いしている。
「でもなんでフリージアちゃんとブラッドが仲良さそうに一緒にいるのか分かんない。もしかして、
愛はフリージアの胸元に触れていた。
「こ、これは……!?」
「あっ、あっ、その手つき……そこを揉まれては……」
フリージアは愛におっぱいを弄られ、甘い吐息を漏らしながら悶えてしまう。だが揉んでいる愛の目は真剣そのもの。
「やっぱり間違いない! おにぃの逞しい胸板がフリージアにTS転生したことで巨乳という形で反映されてるんだ!」
どういう理屈でそうなるのか愛に問い質してみたいのだが、そんなことをすればすぐに俺がブラッドに転生したことが愛にバレてしまう。
「フリージアちゃん! 今晩愛といっしょのベッドで寝よ! いいよね、いいよね?」
「そ、そんな私は今晩もブラッドさまといっしょに……」
「じゃあ、ブラッドもいっしょでいいよー! 三人で川の字リバースリーピング、楽しみ」
なんだろう、今更ながら我が妹のコミュおばけっぷりに感心してしまう。三人で寝ようなんて言うあたり、愛は性的な面ではまだまだお子さまで兄としては安心した。
いやいや、それじゃダメか……。
もう彼氏くらい作ってもいい年頃だ。
俺が愛の心配をしていると兵士たちを起こしに行っていたリリーが戻ってくる。どうやらリリーは俺たちのやり取りを聞いていたらしく、愛の胸元に人差し指を突きつけて詰っていた。
「さっきからあなた、私のブラッドさまとお姉さまに馴れ馴れしく話してきて……いったい何者なんですか! 無礼にもほどがありますわよ」
「うわっ! リリーだ。やっぱり高飛車は変わらない、って……なんでリリーとフリージアちゃんがいっしょなの? 犬猿の仲だったのに……」
はい、ぜんぶ俺のせいだと思います……。
「リリーもフリージアに負けず劣らずかわいいね!」
「なっ!?」
愛はリリーの頭を小さな子をあやすように撫で撫でしている。リリーは驚いたものの……。
「そんなに撫でたり誉めたりしたいのなら、勝手にすればいいんです……」
「うん、そうする」
頬を膨らますリリーだったが表情はどこか気恥ずかしそうで愛に撫でられるのは満更でもない様子だった。
モンスターの正体は愛だったことに安心した俺。ほっとしたのでどこか一泊して帰ろうとしたら、リリーを撫でていた愛が切り出した。
「愛の知ってる村があるから、そこに泊まろうよ!」
かくして俺たちは愛の紹介する村へと移動していた。
――――【愛目線】
愛が間違えるわけないじゃん。すぐに分かったよ、おにぃがブラッドだってこと。
だけどね、あそこでおにぃがブラッドに転生したなんて言ってしまったら、おにぃは愛のこと……絶対に警戒するに決まってる。
だからおにぃを油断させておいて、まずフリージアとリリーを攻略ぅ。二人が愛の味方になってくれたら、おにぃと婚約からのおにぃと初えっち!
ああっ!
やっと夢が叶うって思っただけでうれしくなっちゃう。姿形はマッチョから悪役顔のキラキライケメンに変わっちゃったけどね。
フリージアもリリーも愛の理想通り!
ほおずきるなちゃんのキャラデザよりおっぱいが大きくなっちゃってるような気がするけどー。
―――――――――あとがき――――――――――
ブラッドの分からせ棒が愛たそに狙われているw
やっぱり元兄のブラッドと愛たそのいちゃラブは描いた方がいいですか? 四の五、言ってねえで作者は描けよ、と思う読者さまはフォロー、ご評価入れて頂けますとちゃんと描かせて頂きますwww
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