第58話 王国乗っ取り2
――――【横田目線】(王宮庭園襲撃前のこと)
ドゴッ!
あたしが大木の腹を蹴ると足が脂肪に包まれた肉に埋まる。蹴られた大木は片手で腹を押さえ、もう一方の腕はあたしを制するように向けられていた。
「痛いっ!!! や、止めてよ……樹李亜ちゃん……」
「樹李亜ちゃんって呼ぶなって、何度も言ってんだろうが、クソゴミが!!!」
あたしはここぞとばかりに大木へ制止もお構いなしに蹴りを何発も放っておく。止めようとしてきたヲタ男子どもを睨んでやると奴らはそそくさと身を退く。
「さっきの威勢はどこいったんだよ。なっさけねえな! おまえらタマアリタマナシタマタマナシかよ!」
うずくまって亀になった大木をガンガン蹴っていると堤から声を掛けられる。
「お、おい……横田……」
てっきり暴力を止められるかと思っていたが……。
「き、着ろよ……。そんな格好でうろつかれたら、目に余る……」
はっ!?
怒りから大木をガンガン蹴っていたけど、あたしは完全に下着姿だったことを忘れていた。思い出すとみんなの前で晒したことが途端に恥ずかしくなる。
膝を両腕で抱えて、うずくまっていると堤はぼろぼろになってしまった下着しか身につけてないあたしを見ないように顔を背けてた。そうしながらフード付きロングコートを脱ぎ、あたしに突き出して渡してくる。
「ありがと」
「礼には及ばない」
「そういうわけにいかないって。ちょっと着替えたいから。部屋までボディガードしてくんない? ヲタどもが復讐しに来るかもしんないし……」
背中で手を組み前屈みになって精いっぱいかわいさをアピールしつつ、上目遣いで訊ねると、堤は軽くと咳払いすると返答してきた。
「し、仕方ないな……飢えた狼はたくさんいそうだし……用心に越したことはない」
「ありがと、堤くん」
あたしが堤の腕を取り胸を押し付けると、堤は左手で眼鏡のブリッジに触れ、位置を直していた。顔はあたしが抱きついただけですでに真っ赤だ。
童貞チョッロ!
――――横田の部屋。
一応個室ではあるものの、ビジネスホテルというより簡易宿泊所と言うのが相応しいあたしに与えられた部屋に堤を招き入れる。
「狭いし、そこ座ってて。。着替えるから」
「ああ……」
堤はあたしのベッドに座っていたが身体を小さくしており、まるで借りてきた猫みたい。
「ちょっ、おま、横田!? なにを!?」
「狭いから仕方ないじゃん。嫌だったら見んなって」
あたしは堤に背を向けショーツを脱ぐと堤は慌てていた。
おもしろっ!
「あ、いや……確かにそうだ」
ブラのホックを外すとパチンと音が鳴る。その音を聞いたからなのか、同時に堤が息を飲む音が聞こえてきた。ぼろぼろになった下着を脱ぎ捨て、着替えることなくあたしは堤の隣に座った。
「ねえねえ、堤の
「オ、オレ? オレは賢者らしい……」
「賢者って、どんなことができるの?」
堤の胸を服の上から撫でるとドキドキしているのが手に取るように分かる。割とオラついてる男子でも童貞だと堤みたいに言葉数が少なくなってしまう場合が多い。
「……」
「ねえ、教えってってば」
「か、簡単な魔法は……もちろんのこと……攻撃も……回復も……いけ……る」
辿々しくあたしの質問に答えた堤。一糸纏わぬあたしの身体を堤に寄せると堤が緊張で固まっているのがよく分かる。
「ふ~ん、攻めも受けもいけるんだ。あたしといっしょ♡」
堤の服の中に手を入れ、えっちなパパみたいに素肌を撫でると、堤はくすぐったいのか「うう」と声が出るのを我慢していた。
「堤は女の子とシたことある?」
「な、ない……」
「あたしはねえ、男の子といっぱいシてる」
「……」
「ビッチって思った? そうだよ、パパ活やってるビッチ! けどイケおじしか相手しないの」
「そ、そうなんだ……人間、色々事情があるからな」
「否定しないんだ」
こんなこと話すと軽蔑するクソ男子ばっかだけど、堤は言葉少なに答えただけ。あたしは堤の眼鏡を取り上げ、顔をまじまじ見る。
「堤ってこうやって見ると結構イケメンだよね」
「そんなことは……ない。眼鏡がないと見えない……返してくれないか」
「い~や。堤があたしだけを見るようにしてあげる」
戸惑う堤をベッドに押し倒し、あたしは上になった。
「ふふっ、どう? 気持ちいい?」
「くっ、そ、それは……」
ズボンを脱がし、下半身を舐めると堤は悶えていた。
つつがなくイケメン童貞食いを終えたあたし。
「オレはもっと清純な子と……だがセックスがこんな気持ち良いものだったとは……」
当の堤は賢者になりながら、ぶつぶつつぶやいてたけど。
そういえば堤のモノがあたしに入ってきたときに頭ん中に文字が浮かんできて、女の声で再生されてた。
―――――――――――――――――――――――
男性と肉体関係を結んだことでスキル【
堤一慎は横田樹李亜の下僕となります。
―――――――――――――――――――――――
あははは!
堤と肉体関係になって守ってもらおうと思ったけど、まさか堤自体を意のままに操れるようになるなんてね!
それじゃ、根本みたいなカス女を優遇するこんな国乗っ取って、そのあとは勝手に出ていった岡田をぶち殺しに行こうか!
―――――――――あとがき――――――――――
これが公開される頃には、作者はとある作業の真っ最中だと思います。上手くいくのか、いかないのか……。
昨日の問いにお答えくださった読者さまへ
貴重なご意見をくださり、誠にありがとうございました。正直なところ、先行き不透明ではあるんですが、攻めたタイトルの多い作者ですので、結果的に読者さまを裏切ってしまうんじゃないかと悩んでいました。クライアントの意向に沿いながら、少しでも面白くなるよう頑張って書いていこうと思います!
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