第52話 黒幕

 リリーを大人の淑女としたところでフリージアの作った監禁部屋から解放されたのだが、未だに二人は俺の部屋から帰ろうとしない。


「なんだ、貴様ら……。責任を取れということならば、俺の財産は欲しいだけくれてやろう。それでは不満か?」


 一応俺にも爵位と領地が与えられていて、公爵ではあるらしい。二人に分割して渡しても十分遊んで暮らせるだけの財産はある。まあ堅実なフリージアなら安心だが、リリーは放蕩の限りを尽くす可能性があるので心配が残るけども……。


 俺の問いに二人は大きく首を振る。


「はい、まだブラッドさまから十分にいただいておりません」

「私もよ! あれくらいで足りると思って?」

「金ではなく、名誉か? リリーはともかく、フリージアも俗物だったか」


「私もそんなもの要らないわよ!」

「私もです。欲しいのはブラッドさまの子種……赤ちゃんです」

「うんうん」

「は?」


 俺が戸惑っていると、フリージアは俺とリリーの前で脇を締めながら、腰を左右に振る。するとどうだろう、まさにたわわに実ったと言うに相応しい彼女のおっぱいがぷるんぷるんとプッ○ンプリンのように揺れていた。


 それをみただけで俺は前屈みになる。


「リリー、ブラッドさまはおっぱいがとても大好きなんです。かわいいですよね」

「貴様の乳房が魅力的過ぎるだけだ」


 リリーは慌てたようにフリージアと俺を見て、フリージアの真似をし始めた。


「わ、私だってお姉さまに負けるつもりはありません! 見て、ブラッド殿下」


 ぷるっ、ぷるっとリリーのおっぱいが揺れる。


 二人の美少女が俺の目の前でたわわなおっぱいを揺らしていて、俺の頭の中は煩悩まみれになってしまった。


 二人に手を引かれ、ベッドへと寝かされる。


「ブラッドさまの濃いミルク、私たちのおっぱいでお搾りいたしますね♡」

「気持ちいいって言うまで止めてあげないんだから」


 あろうことか俺のご子息を二人のおっぱいで挟んでしまっていた……。


―――――――――自主規制―――――――――


 搾乳中 搾乳中 搾乳中 搾乳中 搾乳中


―――――――――自主規制―――――――――


 あまりの気持ち良さからか、ベッドの天蓋にまで飛んでしまったミルク……。掃除が大変だろうな、と思いつつも二人からのプレゼントを甘受していた。


「ブラッド殿下……これで終わりなんてことはありませんよね?」


 リリーはイったばかり俺の顎を撫で、挑発してくる。


「すぐに俺に分からされてしまう雑魚まんのくせして……貴様がその気なら、よかろう。俺も本気出すとしよう」

「うそっ!? 今まで本気じゃなかったのっ!?」


「リリー、ブラッドさまの大きな愛は私だけじゃ受け止め切れなくて、あふれ出てきちゃうの。だから二人で頑張りましょうね」


 フリージアは俺にかわいいおしりを見せて、誘ってくる。リリーはフリージアへの対抗心からか、同じくおしりを向けてしまっていた。


「ちゃんと種付けしてよね。ブラッド殿下の童貞はお姉さまに先を越されたけど、妊娠は私が先なんだから!」


 なにを競ってるんだ! と俺は言葉でも、身体でも突っ込みを入れていた。


―――――――――自主規制―――――――――


       姉妹丼うまうま!


―――――――――自主規制―――――――――


 強制力が働いて婚約破棄をフリージアに宣言してしまったが、あらかじめ用意していたリリーとの偽の関係を絶つことで、事なきを得たと俺は思っていた。


 だが……。


「ブラッドさまぁぁ……」

「ブラッド殿下ぁぁ……」


 にゃんこのように甘く鳴き、俺にすり寄るフリージアとリリー……。まさか姉妹丼になってしまうなんて思ってもみなかった。



 俺の無尽蔵とも思える体力でフリージアとリリーをイキ疲れさせ、気絶させておいた。


「貴様はどこまで知っていた!」

「ミャッ?」

「とぼけるな! 俺は貴様が人の言葉を理解することを知っている。見え透いた演技は止めろ」


 テーブルの上で呑気に欠伸をしていたミーシャに訊ねる。ふざけた態度を取り続けるミーシャに迫ると本性を表した。


「はあ……これだから勘のいい人間は嫌いなんだよ。せっかくモフモフとしてフリージアに愛でてもらおうとしていたのに。ぼくがしゃべれることをフリージアに言ったら、キミを容赦なく殺すから」


「フリージアに執着するのは、彼女に死にかけてるところを助けられたからか?」


「やだやだ、そんなことまで調べさせたのかい? キミって奴は馬鹿だと思ったら、人並みの知性はあるんだね。ぼくのキミに対する評価を改めておくよ」


「畜生の分際で人間さまを舐めるな。俺は貴様の呪縛から解かれ、自由に生きる。それまで首を洗って待っていろ」


「おいおい、ぼくがキミとフリージアとの仲を取り持ってやったのに、その言い草は酷いなぁ~」


「余計なお世話だ! 俺がせっかく苦労して、フリージアが推しと幸せになれるように努力していたのに、貴様のせいですべて水の泡だ」


「ふ~ん、ぼくはポンコツのスパダリたちよりキミの方がマシだと思ったんだけどなぁ。イヤなのかい、フリージアのような絶世の美少女と番になるのは?」


「俺は貴様の描いたシナリオ通りに運ぶのが嫌なだけだ。フリージアにはフリージアの人生がある。彼女の選択に貴様は介入するな! 俺が言いたいのはそれだけだ」


 触れた瞬間にミーシャのステータスを盗み見てやった。今の俺なら余裕で勝てる。


 しかし……ミーシャの死と共に起こる世界の破滅はとても防げそうにない。


 なんとかその方法を見つけたいのだが……。


 ミーシャに俺の決意を言い放つとベッドのオフトゥンがもぞもぞと動いていた。動きを察知した俺たちは口ごもる。


「ううん……ブラッドさま、それにミーシャ? 珍しいですね。一緒にいるなんて」

「ミャッミャミャッ」


 フリージアが目を覚ますと俺の手を離れ、ミーシャはフリージアに抱かれていた。そこには俺に上から目線で語っていた姿はない。ただのかわいいモフモフだった。



――――翌日。


「ブラッド殿下、聞きましたよ! フリージアさまとリリーさまを婚約破棄されたと」

「なのにー! 二人はブラッド殿下の下を離れないとかー」


「流石ですな! ブラッド殿下は仲の悪かった二人を仲直りさせ、しかも二人とも妾にしてしまったと持ちきりですぞ、ボフゥ」


 三人の耳がやたら早いことに驚きを隠せない。それだけ三人が優秀とも言えるのだが……プライベートはもう少し黙っておいてくれた方が助かる……。


「妾にした覚えはないな。勝手に二人が俺のところに来るだけだ」


 三人は素晴らしい! とかほめちぎっていたけど、なんか恥ずかしい。ただフリージアとリリーだけじゃなく、三人も自由にして欲しいと思い、俺は彼らに本心を告げていた。


「オモネール、ソンタック、コビウル。俺に臣下の礼を取る必要などない。貴様らの好きなようにしろ」


「はははは」

「くくくく」

「ぶひひひ」


 三人は腹を抱えて笑い出す。


 ようやく、それまでの俺のパワハラから解放されたんだらから当然だろう。


「ブラッドさま、私を見くびり過ぎては?」

「オレがー! ブラッドさま以外の主人を望むとでも? 酷いですって!!!」

「ボフボフ! ブラッドさま一の忠臣はこのコビウルにございます」


「はあ? このデブ、何言ってんだ! ブラッドさまの一の忠臣はオレに決まってるだろ!」

「こんなどうしようもない二人など置いておいて、今後の王位継承権について話し合いましょう」


「オモネール、てめえ!」

「そうそう、ソンタックは放っておこう。ボフボフ」


 なんだろう……ブラッドは三人から慕われてるじゃないか……。


「ブラッド殿下……どうされたのですか?」

「ただ目にごみが入っただけだ! 貴様ら……これから、こき使ってやるから覚悟しておけ!!!」

「「「御意ーーーーーーっ!!!」」」


 三人の忠誠心に心を打たれているときだった。


 俺の部屋のドアがけたたましくノックされていた。


「ブラッド殿下! 急報です! 謎の植物モンスターがグリューナク王国との国境を越え、進撃して参ります!」


 入室を許可すると一人の騎士が跪いて報告してきた。


「植物モンスターだと?」

「はい……そのモンスターは杉だと宣っていますが……」

「は?」


 目が点になる。


「植物モンスターなのに意志疎通が可能なのか?」

「いえ、こちらが止まるよう伝えても『あんたたち邪魔ー』との一言で、通行を妨害する砦や城を破壊しております」


 マクシミリアンをおねえに変えた特殊個体か!?


 俺もおねえにされてしまう危険は孕んでいるが、どこかで聞いたことあるようなしゃべり方が気になって、それどころじゃなかった。


―――――――――あとがき――――――――――

ミィべえ「ボクと契約して、聖女になってよ!」


まさか本当に★1000に届くまでご評価を頂けるととは……(汗

ありがとうございますーーーーーッ!!!

引き続き一般公開させて頂こうと思うのですが、なんとサポ限には作者のウザいあとがき宣伝ありませんwww よろしければそちらもどうぞ!

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