第44話 子作りしないと出れない部屋
「ジークフリート第二王子! ブラッド王太子殿下、殺害未遂の容疑で逮捕する!」
「ボクは悪くない! 悪いのはブラッドなんだ! みんなも見てだろ! ブラッドがボクをはめたんだーーーーっ!」
ジークフリートは駆けつけた衛兵に両手足を拘束され、引きずられるように連行されてしまう。
「せっかく愚弟に武功を譲ってやったというのにすべて台無しにするとは呆れて物が言えん」
かわいそうに、と心の中でつぶやくとブラッドは連れて行かれるジークフリートに吐き捨てていた。
ビスマルク八世にバレたらバレたで素直に認めれば良いものを……。お互いに譲り合えば、ビスマルクだって美しき兄弟愛とか言って、ほるほるしてくれたことだろうに。
わざわざ嘘をついて自分の手柄にしようとか、俺にはもう手の施しようがなかった。ジークフリートが連行されてゆくのを見届けるとビスマルクが俺を諭すように語りかけてくる。
「ブラッドよ、弟想いなのは分かるが、甘やかしが過ぎるぞ。ジークフリートはおまえに一言も感謝の言葉を述べることなく、自分の武功などと
俺も正直困惑している。
『フォーチュン・エンゲージ』におけるジークフリートはもっと利発で
あれじゃ、マジで
やはり俺がフリージアとジークフリートのフラグをバキバキに折ってしまったからだろうか?
俺は国王の執務室に呼ばれ、二人きりになり話していた。
「親父、ジークフリートの処分は……」
「うむ……我が国の法に従うなら王族殺しは否応なく断頭台送り……」
プレジデントデスクに中世風の装飾を加えた机の後ろに座っているビスマルクは腕組みして、椅子に背中を押し付けるようにして背を反らし、天井を見上げていた。
いくら愚行を重ねたジークフリートと言えど、ビスマルクの息子ではある。我が子を断頭台送りにするのは忍びないのだろう。
「俺はジークフリートごときに殺されてないが?」
別に庇うつもりはないのだが、ジークフリートの非生存だとフリージアが逆ハーエンドを迎えられなさそうな気がしたのだ。
「おまえは自分を殺そうとした弟を許せると言うのか!?」
「許すもなにも、愚弟の挑戦を完膚なきまでに叩き潰し、長幼の序を分からせるのが兄の役目だ。また奴が馬鹿をすれば、俺が分からせてやる」
「余が不甲斐ないばかりにブラッドには世話をかける……」
俺の手を取り、涙するビスマルク。
国王と言えど、やっぱり人の子らしい。
後日。
「ジークフリートの王位継承権を剥奪し、二階級降爵の上、辺境の地ヴィンターラントに追放する!」
ビスマルクは死刑の次に重い刑をジークフリートに下していた。
俺が恩賞の受け取りを拒否しているとオモネールたちがビスマルクに呼び出されていた。
「ブラッド殿下が恩賞を受け取らないのに、、どうして私が受け取ることができるとお思いですか!」
「恩賞は! 殿下がー受け取るべきー!」
「ボフゥ、殿下のおこぼれを頂戴したいですぞ」
武功はすべてジークフリートにくれてやるつもりでいたが、彼がやらかしたことで宙に浮いてしまう。オモネールたちも俺が恩賞を受け取らない限り、受け取るつもりはないらしい。
「面倒くさい奴らめ! ええい、仕方ない。親父、その恩賞はもらってやる。ただし、四等分できる物でな!」
「分かった、用意しておこう」
オモネールたちは畏れ多いと言っていたが、ほとんど彼らが活躍したのだから、当然だろう。
翌日、学院へ戻った俺。
いつもは鬱陶しいくらいフリージアが俺の部屋を訪れてくるのに今日に限って静かだった。
――――【フリージア目線】
ついにスキルの獲得に成功しました。聖女が持つ特殊な技能【
ああ……部屋に閉じ込められ、
何故なら致さなければ、私たちは一生外へは出られないのですから!
―――――――――あとがき――――――――――
ああ、次回はブラッドとフリージアがシちゃうんですが、がっつり書いちゃうと運営さまにお叱りを受けますので……。サポ限公開だけにしてもいい? ダメという読者さまはフォロー、ご評価たくさん入れてね♡
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