第33話 変態ジーク狩り【ざまぁ】

――――【リリー目線】


 ああん! じれったいっ!


 ブラッド殿下に協力するよう持ち掛けられたときから、ずっとフリージアお姉さまを尾行している。途中でブラッド殿下に見つかりそうになったけど、上手く物陰に隠れて難を避けられた。


 くっつきそうで、くっつかない二人にイライラ、やきもきしてしまう。


 なんなよ! あのじれじれの姿は!


 あくキスしろよ!


 物陰から見ていて、思わず地団駄を踏んでしまう。お姉さまはブラッド殿下にぞっこんなのに、ブラッド殿下の煮え切らない態度は!


 ああ! このイライラを収めるには早くあの二人をくっつけないと……。


 って、なに私はお姉さまの味方してるの!


 私はお姉さまから将来有望株のブラッド殿下を奪い取らないといけない立場なのよ。


「リリーさま……」

「ご苦労さま。これは特別報酬よ」

「ありがとうございます!」

「だけど、まだ甘いわ。もっとブラッド殿下がフリージアお姉さまを守りたくなるようにさせないと」


「申し訳ありません……」


 お姉さまに面が割れていない召使いに命じて、二人の仲を進展させるように仕向けたけど、あんまりなのよねぇ……。


 せめて手ぐらい繋いで、帰りなさいよ!



――――ブラッドの部屋。


「きっも!」


 学院の男子寮に行くとクソジークがドアの隙間から部屋の中を覗いていて、あろうことか廊下で自家発をしてた……。


「ごめんあそばせ!」


 私は思い切りヒールを変態ジークの頭を蹴り込んだ。自分の貧相な竿を掴んだまま、ごろごろと転がるジーク。本当にこのリーベンラシアの第二王子なのかと疑いの目を向けたくなる。


 こめかみから、だらだらと血を流しているジークフリートが私を睨んで激高していた。


「なにをするっ! 無礼者っ」

「なにをするってね、殿下……廊下でナニをしてるとか、不審者と間違えてしまいましたわ」

「ふん、フリージアの妹だから、もっと聡明かと思ったが大したことないな」


「あら、お姉さまとは腹違いの妹ですの。一緒にされては困りますわ」

「なるほど。ではボクがこの国の王子であると分からせてやるっ!」


 ジークフリートがその粗末なモノを丸出しで、モンスターの灰色熊グリズリーのように両手を上げながら襲い掛かってくる。私はすうっと息を飲んで、吸い込んだ空気をぜんぶ吐き出すように叫んだ。


「きゃあーーーっ! 変態ぃぃぃぃ!!! おやめになってぇぇーーー!」


 私の叫びを聞きつけたのか、男子寮の部屋のドアが一斉に開いていた。一方、下半身丸出しになってるジークフリート殿下は顔を隠して走り去る。


「くそっ、リリー! 覚えていろよ」


 ホント、逃げ足だけは早いんだから。


 廊下で私はとある物を発見する。あとで動かぬ証拠として押さえておかないと。汚いから触りたくないのでトングを取り出し、袋にジークフリートが脱いだズボンと下着を回収する。


 寮の男子たちはジークフリートを変質者だと思ったのだろう。ぷるるんと粗末な物を揺らしながら逃げ回る彼を追いかけ回していた。


 でもそんな喧噪の中でも一つだけ開かずの扉がある。ブラッド殿下の部屋だ。


 邪魔者が消えたところで私が部屋の中を隙間から覗き込むと……。


「そ、そんな!? は、破廉恥な……」


 あの地味だったフリージアお姉さまがブラッド殿下に溺愛されてるなんて!


 清楚を通り越して、地味を極めたといって言いほどのお姉さまがブラッド殿下といちゃいちゃと……。


 胸なんて洗濯板のように真っ平らだったお姉さまだったけど、今はなんなの? くやしいけど私なんかより、ずっとずっと大きい! あまりの大きさにビスチェから輪っかが見えそうになってるじゃない。


 まさかあんなおっぱいモンスターになるとか信じられないわ。


 えっ!?


 初心うぶなお姉さまが服を脱いで、ブラッド殿下に乳房を見せている!?


 ああ、びっくりした!


 流石に恥ずかしいのか、腕で乳首を隠してる。



 でもお姉さまはなんだかうれしそう……。



 家では一度もあんな笑顔を見せたことなかったのに!



 ええっ!?



 やだ! ホントに?


 おっぱいであんなのを挟むの!?


 す、スゴい……。


―――――――――自主規制―――――――――


バナナをふわふわましゅまろでサンドエッチィィ!


―――――――――自主規制―――――――――


 お姉さまはブラッド殿下が出したえっちなゼリィをすすってた……。


『ブラッドさま、欲望のままに私を牝奴隷のように扱ってくださって構いません』


『ぶぁか者ぉぉぉーー!!! 貴様程度で俺の牝奴隷が務まるとでもと思ったか! 勘違いするなよ、貴様がいくらリーベンラシア……いやアルドア大陸で最も美しい女であったとしても、俺の夜伽を務めるにはまだ未熟! もっと性技を磨いてから来るがいい』


 ブラッド殿下はお姉さまを貶しているようで、さらっと持ち上げている……。そのことはお姉さまも感じているようで熟れたリンゴのように真っ赤になった両頬を手で押さえていた。


 そりゃそうよね、ブラッド殿下みたいに強くて逞しくて、照れ屋ゆえに悪態をつくイケメンから世界一の美女なんて誉められたら、全部捧げたくなっちゃうかも。


―――――――――あとがき――――――――――

相変わらず、どうしようもない自慰苦くん。リリーも嫉妬だったり、実はシスコンだったりとこじらせてますなぁ。まあ二人ともブラッドが美味しく頂きました、になるんですけどねwww

作者、あく姉妹丼書けよ! という読者さまはフォロー、ご評価お願いいたします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る