第30話 足扱きデート
「食べられません……」
「なにを言いだすんだ。貴様の腹が減ったから食事を取りに入ったのだぞ」
フリージアから腹の虫が鳴く音が響いてくるのに彼女は食事に手をつけようとしない。
「ブラッドさまの逞しいものだと思うと食べられないのです……」
ぶふーーーーーーーーっ!
口に含んだ水を思わず吹き出してしまう。
「ふざけるな! 俺のモノがその程度と思ったか……貴様の中に一度入れば、抜けなくなるほどデカいからな、はははははは!」
確かに小さくはないが昼間から婚約者とはいえ、女性を前に盛大にセクハラしてるんだよ! って思ってしまう。
俺はフリージアに食事はちゃんと取って欲しくて、腸詰めをナイフで切る。すると焼けた皮がパリッと弾ける音を立てて割れた。そこから挽き肉の肉汁が滴り落ちている。
薫製肉の香ばしい匂いは俺の食欲を刺激してきていた。
溜まらず一口。
「旨いっ!!!」
頬張って、一噛みすると皮が弾け、肉汁が一気に口いっぱいに広がった。塩、胡椒のシンプルな味つけながら、清涼感のあるハーブにより肉の臭みはまったくない。
俺がテーブルで旨さをアピールすると厨房に戻っていたガイルが親指を立てていた。三分の一ほど食べ進めたところでフリージアのお皿を見るとまったく手がつけられていない。
「冷めない内に食え。食わないとまた貴様の貧相な身体を見ないとならなくなってしまうからな」
言い方ァァァ!!!
もうちょっとモラハラ抜きの発言ができないものかと頭を抱えそうになるが、俺の言葉にこくりと頷いていた。一本丸ごとフォークで刺したフリージアは、神に愛されたかと思うほど美しい口元へと運ぶ。しかし噛むことはない。
くそっ、なんか股間に来る!
レロレロレロォォ……。
腸詰めの先っぽをちろちろと舌で舐めていた。
フリージアは顔を傾けながら腸詰めの下側を丹念に舐め、ジュルルルと卑猥な音を立てながら、垂れそうになっている脂を啜っていた。
ジュポォォォォッ! ジュポォォォォッ!
口腔に腸詰めが当たり、まるで頬がナニに押されて一部分だけ膨らんでいる。甘ったるい吐息と共にフリージアは一言漏らした。
「あひゃ、やっぱひブラッドしゃまのひょうが大ひいん……ちゅぱちゅぱぁぁ……」
その情報、いる?
腸詰めを口に含んでフリージアはストロークさせる。貴族の令嬢とは思えぬくらいド下品なマナーにどん引きしそうになるが、俺の下半身はフリージアの立てるリップノイズのせいで元気になっていた。
「腸詰めから溢れる肉汁がとっても美味しいです」
今晩ばかりは精気吸い取ってもらわないとまともに寝れそうにない。何も知らない振りをして、フリージアにお任せするのがいいんだろうか?
いかんいかん!
そんな邪な想いがむくむくしてくるのを脳内天使が、煩悩を抑えるよう自制してきていた。だがそれを吹き飛ばすようなことが起こった。
俺の股間になにか柔らかい物が当たったかと思うとズボンの前立てに沿い、上下に撫でられていた。
まさかフリージアが!?
「ブラッドさま……今晩寝室へお伺いしても構いませんか?」
「好きにしろ。どうせ断っても勝手に部屋に忍び込むつもりだろうからな」
「ありがとうございます」
フリージアに目線をやると彼女は唇の上に人差し指を置いており、目尻の下がった妙に艶めかしい表情をしている。そう、フリージアは靴を脱いだストッキングの足で俺の股間を撫でていたのだ。
彼女に欲情してはダメだ! と強く念じれば念じるほど俺の股間はタケノコの里。
「か、帰るぞ」
「あっ、ブラッドさまお待ちになって」
せっかくの旨い腸詰め料理だったが、完食してすぐに席を立った。なんだか亭主関白なんて時代錯誤の声が聞こえてきそうだ。
まだ席を立っていないフリージアを待つために振り返ると彼女の顔の異変に気づく。
「涎が顎についているぞ。少々盛ったくらいで貴族の身だしなみを忘れるな。仮にも貴様は……」
次期王妃と口に出そうになるが噤んでしまった。ブラッドなら口にしてしまいそうなんだが、言えていないということは、もしかしたら婚約破棄の死亡フラグが立つことが確定してしまっているのかもしれない……。
ポケットからハンカチを取り出して、どエロい食べ方をしていたフリージアの口元や顎についていた涎を拭った。
「ありがとうございます、ブラッドさま……まさかブラッドさまに拭いていただけるなんて思ってもみませんでした。まるで夢の中にいるようです」
「ふん、貴様は大げさ過ぎる。この程度のことくらい望めばやってやる」
「では今晩は私の蜜のあふれた下の口を拭って……」
ぽっと頬を赤くして、お腹に手を当てるフリージア。俺は透かさず声を遮る。
「ふ、ふざけるなっ!」
やはり原作のフリージアと別人だとしか思えなかった……。隠語のようなことを連発する彼女に翻弄されながらもハンカチを乱雑にポケットへ。
カウンターにいたガイルに告げる。
「馳走になった。お題はいくらだ?」
「いらねえよ。さっき言った通り、お礼だから」
「そうか、なら上客が来るよう口コミしておこう」
「ああ、そうしてもらえると助かる」
ガイルの店を出てふと思った。
俺……なんかマクシミリアンとフリージアのデートイベントをこなしてなかったか?
一つ違うことがあるとすれば、フリージアの好感度がMAXみたいな顔をしていた。マクシミリアンだけに。
―――――――――あとがき――――――――――
※マクシミリアンの愛称はマックス(MAX)
夜はブラッドの腸詰めがフリージアの下のお口にぱっくんちょ不可避か!? いちゃラブが見たい読者さまは是非フォロー、ご評価お願い致します。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます