第21話 こじらせ王子
――――【ジークフリート目線】
うっくっ、フリージアァァァーーーーーッ!!!
ボクはブラッドの部屋の前で声にならない叫びを上げてしまう。
同時にズボンを汚してしまった……。
汚れたズボンと下着を渡すとき、ランドリーメイドのボクを蔑む顔ときたら……くそっ、次にそんな顔をしたら、分からせてやるっ!
ボクは嫌がるフリージアのその美しい口を無理やり犯すブラッドに怒りを覚えた。
くそっ!
薄幸なフリージアが実家に戻れないことを良いことに性欲処理に使うなんて……。ボクの愛するフリージアが……あんな淫らな姿にされてしまうとは……。
うらやま……けしからん!!!
――――【回想】
父上の使いでエルナー伯爵家を訪れた際にメイド服を着せられ、床掃除をさせられている女の子と出会った。
『まったく……本当に使えない子。掃除すらまともにできないなんて』
『申し訳ございません、お継母さま……』
『あはっ、フリージアお姉さまに期待されても無駄ですわ』
『それもそうですわね。リリー、あなたには期待しているわ』
『はい! お母さま! 私はフリージアお姉さまとは違いますから』
『『おほほほほほほ!』』
化粧が濃く、いかにも陰険そうな母親が女の子をいびる。その傍らにはピンク色で生意気そうな少女が幸薄そうな女の子の掃除した場所を白い粉を撒いて汚していた。
あれじゃ、永遠に掃除しても終わらないじゃないか!
エルナー伯爵は早くに妻を亡くされ後妻を迎えたと聞いたが、フリージアと呼ばれた女の子は前妻の子であることは幼いボクですら分かった。
そのときの彼女の銀の髪は輝きを失い、まるで灰を被ったように色あせていた。
だが今は違う。
生き生きとして燦々と降り注ぐ太陽の光を一身に受けているように輝いており、言葉を失うほど美しい!
彼女はボクの方が好きになったんだ。
なのになぜ、ブラッドの婚約者に持ち上がってしまうんだ? おかしいじゃないか!
憎むべきブラッドと愛するフリージアが、果てて賢者と化したボクの目の前で淫らな行為に及んでいる。
や、止めろ……!
そんなクズのブラッドのモノを咥えるなんて……。
キミはボクの物なんだ。かわいそうなキミをクズ親から救い出し、ボクのお嫁さんにする計画がブラッドによって台無しにされてしまったーーっ!
フリージア、キミはブラッドのモノなんて咥えちゃいけない。
ただボクのモノだけ咥えてほしい……。
もうこうなったらブラッドを殺るしかない。決闘にかこつけて無能の奴を殺せば、フリージアもリーベンラシアの実権もボクの物だ。
もうすぐ王立学院の入学式だ。その際の決闘の儀で序列が決まる。そこでブラッドに勝てば、情けないブラッドを見限り、フリージアはボクの腕の中で抱かれることになるはずだ!
仕方ない……。
決闘で勝っただけでは足りない。ちゃんとフリージアがブラッドを見限るきっかけを与えてやらないといけない。あいつを焚きつけて、ブラッドからボクのフリージアを取り戻す。
リリー、ようやくキミの出番が回ってきたようだ、ふふふっ。
――――【ブラッド目線】
「あっ、なりません。まだブラッド殿下にお訊ねをしておりま……」
部屋のドアがノックされ、部屋の前にいた俺専属のメイドさんが声をかける前に女の子が入室してきた。
「なんだ、貴様か。見て損をした……」
偉く不躾だなと思いつつも、顔を確認する。まあ、そんな非礼なことをするのは、どうせ弟のジークフリートか、もう一人しか思い浮かばない。フリージアの異母妹リリーぐらいだ。
「ブラッド殿下ですね! わたしぃ……フリージアの妹のリリーと申しますぅ。ずっとずっとブラッド殿下にお会いしたかったのですぅ。以後お見知り置きを」
蜂蜜に練乳を入れ、さらにメープルシロップで味付けしたような甘ったるい声で俺に呼びかけてくる。
アホっぽいピンク髪をツインテールにまとめた美少女、フリージアが美しいとすれば、リリーはあざとかわいいと言っていい。
ただし、性格ははっきり言って、ドブスだ。
なので俺はリリーに先制パンチを浴びせる。
「貴様が俺のことを好きではないことなどお見通しだ! だが俺の傍にいろ。演技でいい、フリージア除けには貴様はもってこいだからな! その代わり、貴様には欲しい物を与えてやる。あればなんでも言ってみろ」
「えっ? えっ?」
リリーは俺からそんな言葉が出るなどまったく思っても見なかったのだろう。ただただ混乱の色がありありと見て取れた。
―――――――――あとがき――――――――――
ダメだ……某所でMG スタークジェガンを見つけてポチっちゃいました。あとはあのコントロールレバーさえ揃えば、スタークジェガンごっこができる!(レバーは買いませんw)
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