第15話 イケメンの嫉妬はダセぇ

 俺がフリージアの後ろから見た光景を一言で表すと【粗チンフルバースト】だ。


「ブラッドぉぉーーッ!! フリージアになにをしたっ!! 彼女を泣かすことだけは許さないっ!」


 確かにあの光景を見たら俺がフリージアに脱ぐよう命令して、彼女を泣かしたように見えなくもない。


 だが今はどうだ?


 ジークフリートはフリージアの前で、ズボンはおろかパンツまで脱いで自慰しようとしていた変質者になり果ててしまっているのだから。


「ぐっ! なんだこの岩みたいに動かない身体は」


 変態から手が伸びてくる。ジークフリートは俺の肩をドンと突いて、部屋に押し込もうとしたんだろうな。不思議と俺の身体は微動だにせずにフリージアとジークフリートの前にある。俺の寝間着はランドリーメイドさんにお願いして捨ててもらおう!


 つか、その粗チンしまえよ。


 俺がフリージアを泣かしたことで頭に血が昇っているのか、ジークフリートは半ズボンを下ろしたまま、「ぱおんちゃんこんにちは」したままだった。


 イケメン無罪なゲームではあるものの、粗チンを堂々と小さな淑女リトルレディの前で晒すのはいささか苦言を呈したくなった。


「貴様ぁぁ……私の本気を見せてやる!」


 ジークフリートは両手で俺を押し込もうとしてくる。


「汚い手で触れるな!」


 さすがにぱおんちゃんを擦っていた手で触れられるのは、我慢ならないとばかりにサッと避けるとジークフリートは俺の部屋に顔面から思い切りダイブしていた。


 今度はおしりを俺たちに晒して……。


「くそっ、くそっ、くそっ! クズのブラッドにしてやられるなんて!」


 悔しがるのはいい。だけど、本当に俺の部屋で脱糞するのだけは本気で止めてくれ。


 フリージアはけつ丸出しのジークフリートには目もくれず、俺の胸元に顔をうずめた。


「ブラッドさま……ありがとうございます」

「なんのことだ? 俺は貴様になどなにもしていないぞ」

「いえ、俺のフリージアに汚い手で触れるな、と仰ってくださいました」


 いやいや、どんだけ都合の良い解釈してるんだよ、この娘は! 俺は一切【俺のフリージアに】なんてことは言ってない。


「なにを勘違いしてるんだ! 俺はそんなこと一言も……」


 反論しようと思ったのも束の間、フリージアは俺の唇に人差し指を当てて言論を封殺する。


「そうやってご謙遜されるところに私は魅かれるのです……」


 フリージアは目を閉じ、腕を俺の背中に回していた。なにかお気に入りのぬいぐるみをハグするかのように。


「私をあの変質者ストーカーから守っていただいたこと、一生忘れることはないでしょう」


 たぶん、向こうジークフリートはすぐに忘れて欲しいと思っているだろうけどな。


 百歩譲って覗き見るまでは良いとしよう。ホントは良かないけど……。


 なんで脱いで自慰しまうかな、この残念イケメンは!


「フ、フリージアぁぁ……ボクを嫌いにならないでおくれぇぇ……」


 泣きながら腰をへこへこすな!


 思わず怪しすぎる挙動をするジークフリートに心の中で俺は突っ込んでしまう。


「叩きたい……あのおしり……」


 えっ? 


 俺はフリージアから漏れた声に驚いた。


―――――――――あとがき――――――――――

いくらフリージアがBSSされたからって、こじらせすぎな自慰苦フリートきゅんw 『フォーチュン・エンゲージ』の借りは智が返しにいきます。ざまぁがもっと見たいという読者さまはフォロー、ご評価お願いいたします。

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