第13話 ダウナー系ヤンデレ妹の覚醒
――――【愛目線】(智の転生前)
「愛ちゃん、今日もかわいいね!」
「気安く愛ちゃんなんて呼ぶな! ね~岡田さん」
「なにが『ね~』だよ、きっしょ!」
「岡田、帰りにおれとデートしねえ?」
「抜け駆けすんなよ、クソが!」
「……」
登校していると男子たちが声をかけてくる。
そんなのぜんぶ無視~。
愛はおにい以外にの男の子に興味がなーい。
「愛……おはよ。今日もスゴいね……」
「ねーぽん、おは」
愛のリア友兼、ネトゲのフレの根本南美と彼女の家の前で落ち合った。玄関から出てきたねーぽんは愛の後ろについてきた男子の行列にあ然としてるー。
「愛はいらないから、ねーぽんにあげるよ」
「い、いいよ……私はかわいくないから……」
「ねーぽんがかわいくないとか、言う男の子がいたら一生口聞かない」
愛がねーぽんを馬鹿にする男子に向かって、言ったら、
「ねーぽん! かわいい!」
「ねーぽん! ねーぽん! ねーぽん!」
「デートしよう、ねーぽん!」
急に手のひらを返してくる。
「あんなのほっといて、いこ!」
「うん!」
眼鏡をかけて黒髪三つ編みのねーぽんは地味だけど、中味はかわいいのだ。それを見抜けない男子はアフォーだよ。
でもおにいはねーぽんのかわいさを分かってたから、出来る男はやっぱり違う。
本当はおにいの家で朝チュンしたかったのに、強引に帰される。おにいは優しいくせして、愛の気持ちなんて、まったく分かってない。
鈍感!
でもそんなところが、おにいのかわいいところ。好き。
愛からおにいを奪っただけでも万死に値するのに、おにいの良さを分からずに振った彼女なんて、罰が当たって死ぬべしー。
まあ別れてくれたから、またおにいとイチャつける。
あー、おにいのことを考えてるだけで、頭ハッピー、ハッピー、猫ミームぅぅ。
私わぁ、もふもふよりおにいが好きだけど。
おにいのぶっとい腕にがしっと抱き締められて、おっきな胸に顔を埋めるの。筋トレ後のおにいの汗とか嗅げたら、最高かもしんない。
「ねえねえ、愛ちゃん。学校なんてサボっておれと遊びに行こうよ」
「岡田は頭いいんだから、一日くらい休んでも問題ねえって」
こやつらはアーフォだ。
おにいは愛が学校をサボろうとしたら、愛のためを思ってダメって叱ってくれるのに、こやつらときたら自分が遊びたいがためにダメな方向に引きずり込んでくる。
おにいは愛にベタベタしてくんないのに、つまらない男子たちがあたしにハエみたいに集ってきて、ウザザザザァァ。
やっぱり、がきんちょ、いっぱいの高校生の中におにいみたいな芯の通った男の子なんていないね……。
席についても男子が見てくる。
こっち見んなぁ。
おにいは見てくんないのに……。おにいのためにパイ育に励んどるのに手を出してこないとか、愛に魅力ないんかな?
も、もしかしておにいは、おしり派? いやいや太股派だったりして……。
むう……やっぱおにいは手強いー。
どうすれば、おにいと幸せになれるのか、スマホに聞いてみる。異世界に行っても役に立つスマホなんだから、頑張ってよ。
スマホに入れたアプリにポチポチッと質問を入力した。
―――――――――――――――――――――――
●愛
兄と妹が結婚する方法
●GhatCPT
日本において、兄と妹が結婚することは法律で禁止されています。民法731~735条までの規定により、近親者間の婚姻は禁止されています。特に直系血族や三親等内の血族、及び姻族(義理の家族)の間での婚姻は無効とされています。
そのため法律上兄妹が婚姻する方法はありませんし、仮に結婚の意思があったとしたも、それは法律で認められない行為となります。
近親者間の結婚を合法とするためには、法改正が必要ですが、現在のところそのような動きはありません。また多くの国でも同様の法律が存在し、近親者間の結婚は禁止されています。
―――――――――――――――――――――――
禁止禁止禁止禁止うるさいの!
そこをなんとか知恵を授けるのがAIでしょ。
ホント、AIの役立たずー。
います、います、って中に人なんかいませんよーだっ!
【母】
《大変智が事故に遭ったみたい》
母からメッセージが届いて、スマホを掴む手が震える。
おにいが事故に遭った?
ううん、いつも私を守ってくれたおにいが事故くらいで、どうにかなるわけがない!
【愛】
《早退していい?》
【母】
《学校なんていいから早く戻ってきて》
【愛】
《わかった》
いつも学校をサボるなと口酸っぱく言ってる母が早退してもいいなんて、身体がわなわなと震えてくる……。
「病院過ぎたー」
「「……」」
愛が病院を指差すも、父母はまっすぐ前を向いたまま無言で、なんだか怖い。市内で一番大きな中央病院を過ぎて、父の運転する軽自動車は警察署に到着する。
「先ほどご連絡をいただいた岡田です」
「ご案内いたします」
警察署の中に入ると受付で父が一言告げると受付の婦警さんが愛たちを警察署の奥へ奥へ案内してゆく。着いたところは突き当たりで、人気がなく証明に照らされてるのにちっとも明るくない。
「うそ!!!」
おにいが事故ったと聞いていたから怪我でもしたのかと思ってた。それが遺体安置所って、意味が分かんない。
父と母は愛が混乱してるのに灰色の扉の部屋の中へ入ってしまう。
そんな! 嘘だよね。中に入ったら、おにいは元気でいて、愛たちが騙されたって笑うんだよね?
でももし、そうじゃなかったら……。
「愛!」
愛は部屋に入らずに気づくと警察署から飛び出していた。
――――智の社宅。
おにいの社宅に来ても、おにいの姿はなく部屋は暗いまま。仕事を休んでるって言ってたのに……。
「おにい……なんで先に逝っちゃうの? 愛のこと嫌いになったの?」
テレビの隣に置かれた写真立て。そこにはおにいと愛が一緒に写った写真があった。おにいは筋肉もりもりの腕で愛の頭を優しく撫でてくれている写真……。
おにいのいない世界なんて、生きてる意味がまったくナッシング……。
せめておにいと一緒に焼かれて死にたい。
胴体がアレなのにおにいの顔は葬儀屋さんが綺麗にお化粧してくれて綺麗だった。おにいは鍛えていたからね。電車なんかに負けたくなかったんだと思う。
あれ?
なんか光ってるー。
愛には分かる。
おにいは『フォーチュン・エンゲージ』の中にいるっ!!!
愛には不思議な力があった。それはおにセンサー。言っても父母ですら信じなかったけど、おにいだけは信じてくれた。
おにいが愛の半径十キロメートル以内にいるとすぐに分かってしまう。やっぱり愛とおにいは運命の赤い糸で結ばれいるんだよ。
そんなところに隠してもダメなんだー。
おにい……愛が絶対に迎えにいくからね。戻ったら、二人で結婚しよ♡
―――――――――あとがき――――――――――
ヤンデレ妹が覚醒しつつあるんですが、やはり異世界へ行った方がいいですよね? 異世界へゆけ~! と思う読者さまはぜひフォロー、ご評価お願いいたします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます