第10話 彼女は犯されに来ている
「なぜ、貴様がここにいるっ!」
「王族専用の浴場にということでしょうか?」
「そうだ! ここは部外者の立ち入りは頑なに禁じられている」
「私はブラッドさまといずれ婚約をする仲となります。なので王さまと王妃さまにちゃんと許可を取り、こちらに参った次第にございます」
薄目でフリージアを見る。ロリいくせして、整った顔立ちに真っ白な肌、それこそ天使か、妖精かってくらい美しさだった。
こんなかわいい子を散々いじめて、婚約破棄したブラッドは本当に馬鹿なのか? と思ってしまう。まあそこはゲームだから仕方ないと言えば、仕方ないんだろうけど……。
「父上、母上が許可しようとも俺が許可するとでも思ったか!」
やけに俺に積極的に絡んでくるフリージアに違和感を覚えた。
だが俺は知っている。
――――【回想】
婚約破棄後にスパダリに溺愛されるフリージアに嫉妬したブラッドはスパダリを拘束し、その目の前で彼女を陵辱しようとしていたのだ。
『どうだぁ? 婚約破棄された俺に処女を奪われる気持ちは。愛する男の前で貴様が最も嫌う俺に犯される気分は』
ブラッドはフリージアの髪を乱暴に掴みながら、耳元でささやく。
『お止めくださいっ! 殿下、なぜこのようなことをなさるのですかっ!』
『うるさいぞ、貴様らが俺に当て擦るようにイチャイチャ、イチャイチャしてやがったからだよ! これは言わば天罰……』
『聖女であるフリージアにそんなことをすれば殿下に天罰がくだります! どうかご再考を』
『うるさいっ! オモネール、ソンタック、コビウル! そこの痴れ者の口を塞げ!』
『『『御意!!!』』』
リーベンラシアの騎士団長マクシミリアンが三馬鹿に身体を押さえつけられ、猿ぐつわをはめられてしまう。
『うぐーっ! うぐーっ!』
『なかなか良い働きだぞ! 俺が飽きたら、貴様らにフリージアを下賜ししてやろう。好きに扱え』
三馬鹿は顔を見合わせ、おぞましい笑顔を見せた。
『まずは上の口から犯すとしようか』
ブラッドはフリージアにパイズリフェラでもさせようと思ったのか彼女のドレスを剥いだところ、ミーニャが胸元から飛び出してきてブラッドは雄のシンボルを食いちぎられてしまったことを匂わせるテキストが表示されていた。
もしかしたら、フリージアはあのゲームと同じように俺を罠にはめようとしているのかもしれない。そう思ったら、ブラッド語で俺は彼女に言い放っていた。
「その手には乗らん!」
婚姻前の性行は固く禁じられている、というのが『フォーチュン・エンゲージ』世界の建前で、実に全年齢向けの乙女ゲーらしいところだ。
ファンの間でガチ叡智なTL二次の薄い本がたくさん作られたことから、このゲームはかなり人気が高かったようだけど。
フリージアの手を振り解き、湯船から出ようと立ち上がったときだった。
「あっ、ブラッドさまっ、行かないで」
フリージアが追いすがるように手を伸ばしていたようだったが、彼女はバランスを崩して倒れそうになる。転ばれて怪我でもされたら、俺からDVを受けたなどと触れ回られても困ると思ったのが間違いだった。
危ない!
「馬鹿者!」
俺は振り向きながら、フリージアの身体を受け止める。それと同時に彼女が体勢を立て直そうと掴んだのは俺が腰に巻いていたタオル。
結び目はフリージアが掴んで引いたことで解け、俺は彼女に婚姻前であるのにお披露目してしまっていた。
ごめん……。
「貴様を鳴かせ孕ます俺のシンボルだ!」
なに言ってんの!!!
俺はフリージアに謝罪しようと思ったのに、あろうことかセクハラ全開発言に置き換わってしまっている。
シンボルをしまっていないのに、しまっているとはこれ如何に?
人間はあまりにも直視したくないことがあると、ヤケクソ気味になってしまう。つまらないことを思っていたら、当のフリージアは俺のシンボルを直視していた。
「ブラッドさまの雄々しいシンボルが私を鳴かしてくださる……というのですか?」
目を輝かせて、俺を見つめるフリージアに俺はギョッとした。
フリージアの瞳はサキュバスの目だったからだ!!!
―――――――――あとがき――――――――――
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