反発

海から遠く離れて

雑然とした霧が瞳に泳ぐ

ここは砂漠だった場所だもの

多分いつかは、海の底で死骸を溜め込む咳をはらってるのさ

                  風が

時間が振動する


ここに白い蛇を囲う

老人が山を呼んで焚き火をもってきて

小さな群れを率いて水を探す象の目は深く澄み続けるのだ 人間の子供にも興味を持っているだろうか

映像と描写は逆転するだろう


単純な労働が

この身を溶かすのに、夕焼けは常に美しい

想像の見地は、儚い女の衣装の襞

過去の針は山の端に詰め寄る鳥籠の足桁を映す。小津映画よろしく


戦場の死は、三途の川の忘却に向けた たちのわるい再生にたじろぐ 

明日への意志は

グループ分けも考えの器に入りきらない


無人島の孤独なパーマの男にも

卑しいこと以外にも、楽しみはある

 沈む遠浅の、砂浜に腰下ろし

 今は亡き友人が

 叫び走る、上裸で海辺を蹴り上げ

 全身で飛沫を、腕を満杯に広げ愛する

 今の2人を、こっちに語りかける

 聞こえていれば良かったが、彼は人生の

 喜びを短さを、教えて去ってしまった。


孤独な海、今も夕焼けが海面に煌めく

男は、

月光蝶の鱗粉を身に纏って海に入る(黒い無地のスキニーに筋ができることがある)

鬼が拾っていく金切り島の赤子は、

自然のおおらかさと空想のdeep blueに眠りをかこち、男の悲鳴と私のぼんやりを握りつぶして波の声を聞いている。



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春の習作 夜鷹掌 @Hokerikon

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