第13話

あー部活だぁー嫌だー

僕は空に引っ張られ部室に行く。


ガラガラ……


空が扉を開こうとした瞬間、瑞雲みずも先生が出てきた。

「今日は、部活外でやるぞ」

えぇ……ますます嫌だ。外出て何するのさ

「だってさ、てるてる、着替えに行くよ」

え?外出るだけでしょ?

「まさか、てるてる、制服で走るの?」

え、走るの?

「今日の部活走るんだよ?」

「……聞いてないんだけど」

「言ってたわよ」

うおぉ、珠数木すずのきいつの間に……

しかも体操服に着替えてて、やる気満々じゃん……

「え、まて、なんで走るんだよ」

僕は足が遅いんだ。走りたくない。運動神経の悪さには自信がある。

「え、私たちオカルト部だよ?心霊スポットとかに行ったりしてさ、何かあった時逃げるでしょ?足遅かったら逃げられないじゃん」

え、ここそういう部活なの?初耳。

「そうなのね。てっきりドーナツとカブトムシを鍛える部活だと思っていたわ」

ほら、珠数木すずのきもそう言ってる。

「2人とも、そんなわけないじゃん。あくまで表向きはって話だよ。本当の目的は珠数木すずのきの言った通りだよ」

なんだよ。

「それで、なんで走らなきゃいけないんだよ。別に逃げたりする訳でもないんだし」

「あんた、頭悪いわね。体力づくりよ。体力がないと魔人になってしまうわ」


「おい、お前ら、雑談なんてしてないで早く始めるぞ」

やだ。どうにかサボる方法を……

「てるてる、逃げちゃダメ」

……しっかり空に捕らえられた。オワタ。

「とりあえず、外周20周な」

「え?」

「は?」

「はーい!」

聞き間違え……?

「ほらほら、2人とも、ポカーンってしてないで走るよ!」

え、まじで走るの?いやいやいや無理だって。日が暮れるよ?そもそも体力持たないし。

「あのー、休憩は?」

「「ないよ」」

ニコニコで言うけど、もしかして、間邪まじゃ家ではこれが普通なのか……?

「じゃ、お先に〜」

やだやだ。走りたくない。20周?やだよ。無理だよ。走れるわけないじゃん。

なんで珠数木すずのき納得してるの?なんでそれで走り出せるわけ?え、やだやだ。

「輝斗。20周なんて走り始めればすぐ終わる。頑張れ」

終わらない終わらない。持久走の2周でさえ長いんだぞ?その10倍あるからな?20周なんて走れるわけない。

「てるてる、ほら早く!私もう1周回っちゃったよ?」

え、速っ。どんなスピードで走ったんだよ。

……グズグズしてたら、ダサいよな。覚悟を決めろ輝斗。走ろう。頑張れっ!


「はぁ……無理……はぁ、無理だっ……て」

20周なんて無理だった。まだ5周目にしてきつい。無理だ。

「ほいほい、頑張れてるてる!下向かない!」

そんなこと言ったって、無理無理。

珠数木すずのきに抜かされた挙句、どんどん差が開いてく……

空にはもう何度抜かされたことか……

もうやめたい。絶対運動部よりキツイって。

「ほらほら、前よりも体力ついてるんだから、そんなに姿勢悪いと、逆に疲れちゃうよ?」

なんで余裕なんだよ。化け物め。


「むり……はぁ……はぁ……」

死ぬ死ぬ死ぬ。あと5周……。無理だって。もうここまで頑張った自分を褒めて欲しい。きつい。きついよ。スタート地点が見える。呑気に空が手を振ってやがる。あぁ、足が上がんない……

「あっ」

つまずいた……転ぶ……死ぬ……


……あれれ?

僕は空に支えられて転ばずにすんだ。

助かったぁ……

「てるてる〜もうちょい頑張ってよ。私なんてもう暇すぎて30周走っちゃったよ?」

嘘つけ。30周なんて走れるわけないだろ。ほんとに化け物だな。

喋りたいけど喋れない。きつい。

空に支えられながら後ろを向くと気づいたら珠数木すずのきが走ってきていた。

もうへろへろじゃん。

「きゃっ」

「えっ」

「あぁ!」

珠数木すずのきが僕がつまずいたところと同じところでつまずいた。

空がすごい速さで珠数木すずのきを支えに行く。

もちろん支えを失った僕は倒れる。


ズザザ―


「痛ぁっ……」

擦りむいたって。血、出たって。おい空。流石にその対応はないだろ。僕は空を睨む。


「私、男を支え続けるより、可愛い女の子の方がいいからね」

おお、最低だなこいつ……

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