1 陽光

 シャムが器になみなみと注がれた牛乳を一息に飲み干すのを眺めていると、何見てんのさ、と口元を袖口で拭きながらその鋭い目つきで睨みつけてきたので、僕はなおさら頬を緩ませてしまう。

 今日は日曜日で、いまは朝食の時間。開け放たれた小窓から差し込む柔らかな光が木目調の床を照らしている。

 早々と器を空にして、今度は隣の皿のフレンチトーストを無造作に口に押し込んでいく。これが彼女の好物だと僕は知っていて、だから夢中で頬張る様は嬉しくもあり、ならばもっと大事に食べてくれと残念な気持ちも同時に湧く。

 皿から溢れそうなほどたっぷりとかけられたメープルシロップで口元をべちゃべちゃにするシャムに苦笑いを浮かべるが、そんな僕の気持ちを知ってても知らなくても彼女は一向に構やしない。彼女はクールなのだ。

 シャムを眺めながら、僕は自分のフレンチトーストを口に運ぶ。カリッと焼けたへたに、卵液のよく染み込んでふわふわな中心部が、美味しい。

 コーヒーを啜って、窓の外に目をやる。澄んだ青空に、絵筆ではいたような綿雲がゆっくりと流れている。

 シャムを誘って散歩に行こう。きっと面倒そうな態度をとるだろうけど、彼女は子供っぽいところがある。なんだかんだと言って、実のところ、こんな日は外に飛び出したくてたまらないと思っているはずだ。

 そっけない風で咀嚼し続ける彼女は、一つ、くしゃみをした。

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