春、夏、秋、冬、切ない恋のうた 【短歌の部】二十首連作部門 

藤 ゆみ子

春、夏、秋、冬、切ない恋のうた

三度目の新しい窓開けたドア不意に止まった交わる視線


「おはよう」と名前も知らない君の目は頷くだけの私に笑う


青い風 春の始まりこの出会いまだ気付かない恋の芽吹き


少しずつ変化していくこの想い自然と追ってる君の姿を


君が好き気付いた時から決めている私の想いは伝えられない


触れた指 跳ねた心臓 ほてる頬 そらす視線に絡まる視線


「どうしたの?」答えられない焦燥に逃げ出す私掴まれた腕


「行かないで」汗ばむ額夏の午後 近付く君の真剣な顔


今はまだ知りたくないの君の恋知らないでいて私の想い


秋の木々染まる赤にのびた髪終わった夏に想いを馳せる


君の夢見つめる先に私はないせめて今だけ側にいさせて


図書室で少し離れて座る君時々目が合い頑張ってるよ                


二日前君が嫌いと言ったからバレンタインは買ったチョコ


用意した板チョコ四枚パキパキと頬張る私苦い胸焼け


ホワイトデー特別な箱と照れる君けれど言わない本当の気持ち


冬の街寄り添う肩と握らぬ手友達以上恋人未満


お互いに言葉にしない わかってる この関係はあと少しだけ


並木道並んで歩く最後の日桜見上げる君の横顔


最後まで伝えなかったこの想い後悔はない君との別れ


君と見る同じ景色を焼き付けるいつかここでまた会う日まで





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