第8話 最強魔法使いと麓の村に知性魔神

岸本さんがくれた地図を頼りに私は麓の村まで下山しました。


実はそんなに距離はなく、私は同じところをウロウロしていたらしい。


真っ暗だったし仕方ないよね!と自分に言い聞かせるが


虚しくなってきた...


自分に落胆しつつも地図の通りに歩いていると木々が少なくなり、ついに麓の村に到着する。


そうして私は麓の村”ヤマニ村”を訪れた...のだが。


「・・・人がいないね?」


「キュウ?」


村の広場まで入った私だが別の村なら村人がいるであろうにそこには人がいなかった。


試しに人物探知サピス・サーチで探知してみると


ここの村人はみんな建物の中にいるようで出てくる気配はない。


なにかおかしいと感じるがとりあえず村人に話を聞きたいため


家を訪ねてみることにする。


コンコンコン。


「すいませーん。旅のものなんですけど少しお聞きしたいことが...」


村人がいるはずなのだが返事はない。


ここの人から少し帝国の話を聞きたかったのだがこれは困る。


ちなみにあの帝国騎士たちは木にくくりつけてそのまんま放置してきた。


殺しはしたくないし、かといって処理もめんどくさいので


放置してきたのだ。・・・だって本当にめんどくさいし。


そんなことを考えていたら人物探知サピス・サーチに新たな魔力反応が現れる。


この魔力は...


「人にしては歪で魔物にしては荒々しくない・・・知性魔物か?」


魔力には形がある。


人は雫形、魔物は鬼火形と大体はこんな感じだが


今回は雫とも鬼火とも言えない中途半端な魔力形。


この形は知性をもっている魔物か、ないとは思うが知性魔物の進化系である”魔神”か、


その二択になる。


でもこんな辺境の村に知性魔神は...よく考えたら帝国の周りにこんな山あったっけな。


木がたくさんある山なんて土地開発でほぼなかったはず…


う〜ん...あっまさか...


私は悪い予感がしてすぐに立ち去ろうとしたが時すでに遅し。


「誰だよ。お前」


さっきまで遠くに感じていた魔力が急に接近して私の真後ろにやってくる。


後ろからはすごい熱気が伝わってくる。


それは太陽のようにすべてを焼き尽くさんとするほどの殺意を帯びていた。


間違いない...かなりの手練れだ。


(このままじゃやられる…!)


加速ブースト!」


命の危険を察知した私は"そいつ"から高速で距離を放す。


加速ブーストは身体強化の魔法なのだが


普段は近づかれることはないので使う機会がない。


数十年ぶりの加速ブーストは結構疲れしまう。


そして敵とご対面だ。


そいつは頭が人魂のようで浮いており、


炎を纏っている。


しかもこの魔力は私と同等くらいのとんでも魔力だった。


参ったな…こんなことなら麓の村じゃなくて普通に山でキャンプの練習しとけばよかった…


こいつ片付けたら絶対キャンプする!


岸本さんに影響された私はキャンプに対しての情熱は既に岸本さんレベルにまで膨れ上がっていた。


そうして私は魔力を開放し戦闘態勢をとる…

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