第5話 最強魔法使いとキャンプの出会い

地球からの転移者である岸本さんの長々とした話は続いた・・・


あの散らかっている道具たちは”キャンプ”という山奥などで”テント”なる簡易建物設置して自然を楽しむ生活をするためのもので、岸本さんは”キャンパー”というものらしい。


長々とキャンプ道具なんかの話を聞かされた私は


森を歩いたときの疲労と合わさってもう泡吹いて倒れる寸前の状態になっていた。


そんな状態でもなんとか意識を保って話を聞いて3時間後・・・


日が昇り朝になってようやっと話から開放される。


瞬間、溜め込んでいた疲労が爆発し私はぶっ倒れてしまった。


・・・流石に森の中を彷徨って歩き疲れたところに長話を聞かされては気も失うだろう。


私は最強と言っても魔法使いで戦士みたいな体力は持ち合わせていないから...


そうしてぶっ倒れて数時間後の夜に私は意識が戻って目を覚まし辺りを見回す。


テント中央で”薪ストーブ”と呼ばれる暖房器具に岸本さんは薪をくべていた。


燃え盛る火に薪をくべ終えた岸本さんは私が目を覚ましたことに気づき心から安堵して具合を聞いてくれる。


「カルナちゃん。具合は大丈夫?私はキャンプのことになると熱くなってしまうんだよ...ごめん...」


「そうですね。身を持って体感しました...でもキャンプ熱は伝わってきましたよ。」


私は少しからかいつつも岸本さんのキャンプ熱は異常なのだと感じた。


でも意識が薄れていく中で話を聞いていた私は多分結構ひどい顔をしていて、


岸本さんへの印象が正しいのなら普段相手の不調すぐ気づくのだろう。


でもキャンプもことを話し出すと止まらないのでこういうのを”オタク気質”なのだろうか?


そんな疑問もそこそこにして、


さっきからやってしまった...と意気消沈している岸本さんにあることを申し出る。


その選択は私の人生に大きな影響を与える重要なことだった。


「岸本さん。私にキャンプを教えてください。興味が出てきたんです。」


その言葉を聞いた岸本さんはさっきのどんよりした目から一転、目をとても輝かせて承諾してくれた。


「もちろん!詳しく教えてあげよう!」


「...説明は短めでお願いしますよ。」


私の声はやけに気合を入れてる岸本さんを前に儚く散る。


このような経緯でキャンプを岸本さんに教わり始めた。


焚き火をおこしたり、テントの建て方などなど...


魔法を使えばすぐできることだってあるがそれに対し岸本さんは


”魔法を使うと面白くない。一からやることが楽しいんだよ。”と説明する。


確かに一からやると達成感があり気づけば私はキャンプの虜になっていた。


そうして今の状況に至る。


私が焚き火の前で温まっているとテントから岸本さんが出てきた。


岸本さんはここを移動して違うところに行くらしい。


ちょうど良かったので私もここを離れることを決める。


いつまでもお世話になってしまっては迷惑だしね。


それを岸本さんに伝えた瞬間!


森の中からゆっくり剣を携えた騎士が現れた。


「お前がカルナ・ラーナだな。王の命により貴様を処刑する!」

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