第4話 最強魔法使いと転移者岸本
月も出てない真っ暗闇に河原で不思議な光を見つけた。
私は人がいると思い近づくと中から日本人が出てきた。
ハムスターはビビって服の中に隠れる。
近くで見ると厚着をしており、顔が怖くて厳格そうな若い日本人。
でも地球の日本人がここにいるってことは...やっぱり”あれ”かな。
ある程度あたりをつけていると、
厳格そうな日本人のおじさんは私自身が疲労で気づかなかったであろうひっつき草がたくさんついているのを見るなり急に話しかけてくる。
「・・・嬢ちゃんひどい格好だ。それを取ってやるこっちに来い。」
そう渋い声で告げる日本人の顔は他の人からするととても怖いのかもしれない。…ハムスターからも。
でも私にはどうしてもそうは見えなかった。厳しいけど誰よりも人のことを思っている顔。
...やっぱり雰囲気が似てるからかな。
そうしてのこのこと不思議な"もの"の中についていくとそこには大人が二人くらいギリギリ入れそうな空間にいろんな物が詰め込まれていた。
そんなめちゃくちゃ散らかっている荷物から日本人のおじさんが変なローラーを取り出し、私の体をコロコロし始めた。
なかなかくすぐったいので目を瞑って我慢してたらあのコロコロの感触が消えたので
終わったのかと思い目を開けると...
なんと服についていたひっつき草が綺麗サッパリ消えているではないか!
このひっつき草は服の繊維に絡まるから手で取ろうとしてもなかなか取れない。
魔法で取ろうにも使う魔力がもったいないし
その上無数にひっつくので結構この草を取るのは結構めんどくさいのだ。
それを魔法を使わず変なローラーでほんの数秒で全部取ってしまう。
私はその魔法のようなローラーに興味を示し、日本人に聞いてみる。
「あなたのこのローラーすごいわね!あのひっつき草を一瞬で取るんだもの。それも"日本"のものなのかしら?」
すると日本人のおじさんはかなり驚いた様子で私の肩を結構強く掴んでくる。
「嬢ちゃん日本を知ってるのか!?この世界の住人はてっきり知らないもんかと…」
この日本人おじさんの思い込みも当たり前だろう。
私は日本人おじさんの思い込みはおおよそあたりだということを伝える。
「まぁほとんどの人は知らないわよ。だって私は"日本人"と"クロムガルト"のハーフだから知ってるだけで日本なんてこの世界の人は知らない。」
私の父は"地球"から"転移"してきた日本人だった。
だから地球の生物であるハムスターを知っていたし、地球の知識もそこそこある。
地球に行っても多分生きていけると思う程度には。
それでもさっきの草取りローラーやこの簡易的な建物?みたいなやつとか…
これは日本人の父から教えてもらってはない。
まぁそれはこのさっきからなんでか泣いているおじさんに教えてもらおう。そろそろ私の肩が外れそうだ。
「おじさん…そろそろ肩痛い…」
それを聞いたおじさんはハッとして結構強く握りしめてたことに気づき私の肩から手を外す。
おじさんいわく、"久しぶりに日本を知ってる人と出会えて感極まった"らしい。
…ほんとはこの人感情豊かなのかな?
そんな些細な疑問はそこの川に捨てておこう。
私はそんな感極まりおじさんに早速"例のこと"を聞くことにした。
「おじさん。聞きたいことがあるんだけど…この建物モドキみたいなやつとかさっきのローラーとかあれは何なの?」
感極まりおじさんは答えてくれるかと思ったら…
「おじさんじゃなくて私は岸本だよ。そう呼んでくれ。」
私はこういうところ話を逸らすところも父そっくりだなぁと思いつつ承諾する。
「わかった岸本さんね。ちなみに私の名前はカルナ·ラーナ。自称最強の魔法使いだよ★」
「知ってるよ。その魔力量はとんでもないからね、でも隠す技術も一流だ。近くまで来ないとわからなかったよ。」
ちょっとおふざけ程度に言ってみたのだが
岸本さんは私の魔力量だけでなく隠していたことまで見抜いていた。
私は普段無尽蔵の魔力を抑えて生活している。
父から習った"能ある鷹は爪を隠す"という言葉通りに。
それを見抜くとはやっぱり岸本さんも転移者なのだろう。
地球からの転生者や転移者はクロムガルトの人よりも魔力に敏感らしい。
父も人の力を見抜くのが得意だった。
話がだいぶ脱線したので私は本題に戻す。
「岸本さん…この散らかってる道具たちは何?」
それを聞いた岸本さんは長々と説明を始める
その説明は聞かなきゃよかったと後悔するぐらい長かった…
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