第3話 最強魔法使いと河原の日本人

私は今帝国から逃げるために辺りには木しかないどこかの山奥に転移していました...


「どうしよ・・・」


ガチで困っていた。だってこれは意図して山奥に転移したわけではなく、


あの王様バカを煽ってた時に頭で唱えていた魔法文である


瞬間移動テレポートのイメージが乱れて暴発してしまったために、


どっかに飛ばされたのである。


そういえば説明していなかったが、この世界...クロフガルトで


魔法を使うには”魔法文”と呼ばれる”魔力文字”の文字列を唱えなければならない。


”魔力文字”は魔力を帯びた文字のことで、


使いたい魔法に関する特定の文字が魔力文字になる。


例えば炎の魔法が使いたかったら、”火炎”や”獄炎”、”焼き尽くせ”等々などの言葉が


魔力文字だ。そして”魔法文”はその文字を組み合わせた文章のことを指す。


魔法文は口頭で唱えると魔力文字が発動魔力をある程度負担してくれる。


そのため一般的には口頭で唱えられるが、


別のの方法として頭の中で唱えても発動はする。


でもその場合、口頭ではある魔力文字の魔力支援はなくなるため


すべて自分負担になるから、魔力が多くないと頭での詠唱はできない。


それに魔法文は魔力文字を短縮したり伸ばしたりできる。


短くすればするほど発動時間が短くなるが消費魔力は多くなり


伸ばせば伸ばすほど発動時間は長くなるが消費魔力は少なくなる...


しかも魔法文の最低詠唱文字数はその人がいかにその魔法をイメージできるかで変わる。


そこら辺のバランスが難しい。


例を上げるとするならさっきの瞬間移動テレポートだろう。


私は”どこか辺境のむらに行く”イメージで短縮魔法文を唱えたのだが


王様バカを煽った時に”辺境のむら”というイメージが消えて、


”どこか行く”って言うイメージしかなくなったため


ランダムでどっかに飛んだ結果こんな山奥に飛ばされた。


大体は感じである。でも結局は魔力消費のどうたらこうたらなので


魔力がほぼ無限にある私には関係ない。


そんな魔法のややっこしいことはさておき、


とりあえずこの状況をどうにかしないといけない。


私はハムスターを肩に乗せ、夕日の光に当てられる鬱陶しい木々を通って


山の麓まで歩いて行こうとする。


瞬間移動テレポートは魔力を結構使うため一日一回と決めている。


...結構疲れるんだよね。あれ


そうしてハムスターと共に彷徨っていること2時間...


よほどの山奥だったのか夕日がそろそろ沈みかけていると言うのに


まだ木々に囲まれ、迷走している最中だった...


一応鮮明暗視クリア・ダークを使っているので暗闇でも周囲が見えるのだ。


疲れたなら疲労回復すればいいじゃん。魔法でと思うかもしれないが


疲労を回復する魔法はなく、そういうのは”波動”と分類される。


この世界での”魔法”というのは魔力の変化する性質を用いて相手を攻撃する技のことで


”波動”は魔力の性質をその人に合わせて変化させ、人体の欠損などを回復する技のことを指す。


鮮明視界クリア・ダークみたいな便利技の区分は一応魔法扱いになる。


波動も魔力を使うが魔法とは違い”神聖文”を使う。


だが魔法文の波動バージョンなのであんまり...というか全く変わらない。


波動は神父やシスターなどの神聖職が扱うものなので当時図書館で魔法文集を読み漁っていた私は


全然学ぶのがめんどくさくて学ばなかったが今になって学べばよかったと後悔している。


「まだ麓に出ないの・・・もう疲れた・・・」


「キュウ?」


ハムスターは全然元気そうだ。


「お前は元気だな・・・」


と独り言を言いながら最初の歩き方は全く違う千鳥足で前に進む。


その時、森と格闘していかにも倒れそうでフラフラしている私は一筋の光を見つけた。


私の先にはきれいな水が流れている川と小石の河原が見えていて


さらに河原には不思議な建物...というには程遠いものが周囲が暗い中で光っている。


おそらく人がいるのだろうと考えた私は棒になりかけている足を奮い立たせ


河原の石をジャラジャラと言わせながらその”もの”に近づいていく。


すると不思議な”もの”の扉らしきものが開き、中から人が出てきた。


出てきた人...その顔立ちは懐かしみを覚える”日本人”の顔だった...

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