魔合者
自分のスキル“脂肪”にサブスキルとやらいうものが一つしかないこと
に落ち込んでいる暇はなかった。金のプリンをぺろりと食べ終えた
私は、ファンじいさんに“アレ”をやってあげないといけない。
そう、“治癒魔法で腰痛を和らげてあげること”だ
「さあさあゴチちゃん、あの“魔法”を見せておくれ。なんといっても
ゴチちゃんはここらでは珍しく“魔法”を使うことができる子じゃ。
言っちゃあ悪いが、街のただの酒場に“
生まれるなんて、世の中、不思議なこともあるもんじゃのぅ。」
ファンじいさんが感慨深そうにそう言い放つと、
慌てた様子のお父さんがなるべく声を抑えて、それを止める。
「“ただの”酒場は余計です!それに、あまり大きな声でゴチの“力”については
お話にならないでください!まだ親しい者にしか私たち夫婦も話していません。
もしかしたら酒場の者たちの中にこのゴチを“利用しようと企む”者も紛れているかもしれません、、、!どうか、あまり言いふらさないようにしてください!」
「おおう、そうじゃったのぅ。もちろん、私からこのことを誰かに話したことは
ないはずじゃ。ただ、“勇者平定”からもう十年も経っておる。この平和な国に
そんな思想を持った者はいないはずじゃ。安心せい。はっはっはっはっ。」
余裕ありげなファンじいさんの返答にお父さんは少し苛立ちの表情を見せた。
私のことを本気で心配してくれてるんだ。
なんだか私は懐かしい気持ちになる。
この気持ち、それは“転生”前、まだ私が“盛山ミナだった頃の気持ちだ。
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