諦めたけど、やめられない

「向いてなかったんだ」と思うようになってから更に熱は低下した。

創作に当たる行動が目に見えて減った。


そうやって1社会人として生きていく中、何かを見たり聞いたりしていると、やはり時々ふわっとしたものが自分の中から湧き出る瞬間がある。

この文章もそうだ。


具体的になっていないものを形にする。

久しくやっていなかった。


思い返すと、たまに友人知人の歌ってみたのミックスみたいな、音楽をやっていた頃に培った技術で可能な手伝いをすることもあった。


「クリエイター」をやっていた人間として、今まさに色々チャレンジしている友人に講釈をたれたりもした。


人のためになると改めて無駄じゃなかったな、と実感できた。


何かを作ることが嫌いなわけじゃないし、やめたわけじゃない。

なんだったら、多少形はいびつでも、本気だったころほどの完成度はなくても。

やめられない。


僕は結局、表現者にもクリエイターにもならなかった。

でも、何かを出力するという行為は心身に染み付いてしまっている。

もう完全に辞めることはできないだろうな、と感じる。


また何かモヤッとしたり、ふわっとしたものが浮かび上がってきたときには、形にしようと試みてしまうだろうと思う。


考えているうちに、今はそれでいいんじゃないかな、と思うようになった。

また完成させたくなったらさせればいい。


誰かのためにでも、自分の中で具体性を持ったなにかが現れたときでも。

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