MMEI-0071 アンガーノック
今日の俺はひと味違う。
いつも撮影や配信でお世話になってる設備管理部をフォローする。感謝の気持ちと今後の活躍を期待して、全力で取り組む所存よ!
もし、それで設備管理部が実験配信をできるようになれば、俺は安全な場所からアドバイスをする特権を得られるに違いない。
燃えるぜ!
整備工作班で中川主任のチームが、全フェーズをこなしたモンスター娘がいるらしいので、まずは合流して、情報の共有と作戦会議をしなくちゃな。
「主任、こちらです。」
アキラに案内してもらう。
いっつもおつかいを頼んでしまっているので、他部署の場所や人員のいる所は、アキラのほうが詳しい。ほんと、お世話になってます…。
「あっ、ハメ撮り配信探検隊の!」
「本物はじめて見た~!」
えっ、どなたですかこの女の子二人組は?
こんな人、調査団にいたっけ?
「橘さん、お久しぶりです。この子たちは先々月、新入したんですよ。七海さんと栗原さんです。」
「ちわーっス!」
「よろしくお願いします!」
なるほど珍しいじゃないの。基本、むさい団体だったから、女子が増えるのは華やかでいいと思う。強行観察班の猪狩主任が喜びそうだな。
「中川さん、久しぶり。相変わらず主任研究員っぽさゼロよな。それで、今回配信をするのはこの二人ってことでいいのかな?」
「へへへ…。そうです。若い二人にお願いします。優秀なので、とにかく色々経験を積んでもらいたくって。」
そういうことなら喜んでお手伝いしよう。この二人がやる気になってくれれば、ますます俺の不労所得は安泰だ!
整備工作班の持っている機材とモンスター娘の情報、俺の持っている対モンスター娘の配信ノウハウを共有しあった。これらを踏まえてどのように配信を進めていこうか、作戦会議をしなくては。
「ハメ撮りって言われても、今回のモンスター娘は無理ですよね?どんなに硬い物でも穴をあけちゃうし、他に目立った行動しないです。」
七海さんはよく観察していて考えもはっきりしているな。まあ、ちょっと硬いと言うか、固定観念がありそうだが。
アンガーノックの実験結果報告書を見るに、本当に必要な事しかやってない。アドバイザーの千葉主任のスピード志向が垣間見えるな…。おかげで七海さんもそれに引っ張られてしまってる。今回の実験でそういった考えを砕いてやれればいいんだが。
「そもそも、硬い物の基準ってどうなっているんだろうな?俺が気になるのは、物質全体のなのか、物質表面だけなのかって事だ。」
「どういうことっスか?」
アキラ、例のものをお願い。そう思ったときにはスッと出てくる。さすがアキラだ。
「そこらへんに落ちてる石と、給養補給班に無理言ってもらった豆腐です。」
購買の生鮮食品は貴重だから、無駄にはしないぜ。だから財津さん、許して!
「この二つだったら石のほうが硬いけど、例えば豆腐の中に石を入れた場合、中の石の硬さで効果対象が選ばれるのか、それとも表面の豆腐なのか。」
「あっ、確かにそれは試してないです。」
自然界にはこういうものが少ないから、要請実験の観点からは大体抜ける。千葉さんとこの林さんズみたいな変な人がいると、そこらへんフォローするような任意実験を申請するんだけども。
「たったこれだけのことだけど、特異能力の別の力だったり、その暴発を招いたりして、モンスター娘の無力化ができることがあるんだよ。」
「無力化って言ってるの? ハメじゃなくて?」
そこばっか気にしないで…。重要なのは見た目通りの能力に思えて、急に概念が絡むこともある点だ。アンガーノックだって、特異能力ありきで食事をするとは思えない。これは特異に見える普通の行動で、別に特異能力があったって不思議じゃない。
「じゃあ、実験用のゼリーの中に鉄を入れたものを使いましょうよ。これで配信のネタが出来ましたね!」
一つだけね。
一瞬で終わる可能性があるから、もっと欲しいところだけど。今回はドローン主体で試行錯誤があるだろうから、リスナーにはそれも楽しんでもらうってことで。
「ところで、この新型の操作端末は俺の所にはないの?」
「主任、両手で操作できないですよね。断っておきました。」
アキラ…。
どうやら左手で1台、右手で1台をそれぞれ運転できるらしい。俺抜きでも6台操作できるから、色々できそうだね…。
配信開始。
「皆さん、久しぶり。橘です。今日は拠点内から、ドローンを使った映像を中継してお届けするぜ。」
<近頃は出不精じゃん?>
<ハメ撮り配信探検隊!>
《150円》<橘さん♥>
<こんハメ~>
<その隣の子がモンスター?>
すっかりハメ撮りが定着したな。広報部もこれで売ってくって断言してたし、俺もそうするか…。
「早速ステッカーさんきゅな!隣にいるのは別の班の子なんだけど、今日はこの子らが実験してくれるぜ。」
「皆さん、七海です。よろしくお願いいたします。」
「栗原っスー。春ちゃん先輩に教えてもらってまース!」
<ギャルのモンスター娘だろ>
<かわいい>
<今日はもうこれで良くない?>
良くねーよ!
失礼な事ばっかり言いやがって。とにかく、全ドローン映像をリンクさせて…。それで別撮りの拠点内の音声を乗せてやれば、安全に配信ができるだろう。
「今日のゲストはアンガーノックだ。全身真っ青な鳥人間だが、餌を取る時に顔が真っ赤になっていく。マルサ樹海にいるからまずはそこまでドローンを飛ばすぜ。」
「上から見るとブロッコリーの森の海みたいっスね。」
「少しでも身体が出ていれば、真っ青だから気づけると思います。」
<ぶろっこーりw>
<マヨネーズつけたい>
<なんか賑やかになったな>
今まで一人で喋ってたから、すごい新しい感覚だな。ちょっと戸惑うわ。声が被らないようにしないと駄目かもな。
「あっ橘さん、いましたよ!」
丁度森から飛び立つ青い鳥が見える。七海のカメラ映像に切り替えてみると、確かに人型だ。
<マジで真っ青なのちょい怖い>
<食えるの?>
<なんか目がちかちかするわ>
遠くからだと気づきづらいけど、それでも縞模様が動くと目に悪い。映し方には気をつけないといけないな。
「このまま追いかけよう。降りた所で実験の準備だ。」
「了解です。」
アンガーノックはしばらく飛行していたが、特に何かするでもなく樹海に降りて行った。何か外敵から逃げていたのかもしれない。
「早速、鉄入りゼリーを落としましょうよ~。」
「脅かさないように近づいてからのほうがいいですよ!」
二人で考えながらやってくれているみたいだ。俺は解説やアドバイスに専念することにしよう。どうせ、ドローンの扱いも一番下手くそだからな…。
「アンガーノックは音を嫌う性質があるみたいじゃないか。ゆっくり近づく分には問題ないってところ、見せてくれよ。」
「かしこまりー!」
栗原がすぐに操作を始めたので、七海は止める間もなかったようだ。見るからに不満そうにしていたが、すぐににこやかになっていた。ううん、この二人がカップルなのは本当なのか…?
「アンガーノックめっちゃみてるー!ウケる!」
「もう大丈夫そうね。地面に置いてあげましょうよ。」
アンガーノックはゼリーの周りをうろうろして警戒していたが、そのうち気にするのをやめて、ぼーっとしはじめた。失った体力を回復しているんだろう。
<これ、俺の事だ…>
<クチバシがないほうが好みだな>
<けっこう体つきしっかりしてるけど、飛べるんだ>
気になるやつには気になるよな。俺も最初は気になった。
「頭も胸もみっちりつまってて、体重は結構あるんだよな。それでも翼がデカいし、風さえ捕まえられれば飛べるみたいだ。減速すると頭から墜落するから、着陸はへったくそだけどな。」
アンガーノックは落ち着いたようで、また動き出した。ゼリーをじっと見てから、突き始めた。
「みてください!つっつきはじめましたよ!」
「花ちゃん、見ればわかるよ~。」
どうやら見ているのは表面だけではないようだ。これならもう一つの実験ができそうだな。
アンガーノックは一心不乱に首を前後させて、鉄の入ったゼリーを突いている。すこし粘性があるので、他と比べると突く速度が遅い。しかし、ゆっくりとだが顔が赤くなってきたので、特異能力は発動しているようだ。
<顔真っ赤で草>
<思った10倍はやい前後運動>
<これ、死にます>
どっちの事を言っているんだ…?まあ、もしあそこに人が近づいたら、頭蓋骨を割られて死ぬかも知れないが。
「アンガーノックの特異能力は、クチバシが届く範囲で一番硬い物を突いて穴を開けるものだ。穴が開くと中からクロアリが出てきて、それが餌になる。」
<意味がわからない>
<世界中穴だらけになるやん>
<硬いって何を基準にしてるんだよ>
いい質問だ。俺もそれを確かめたいと思ったところだ。
「石より鉄のほうが硬いって、考えているっぽいのはわかってまース。」
「今の実験で、物体の表面の硬度だけを見ているわけじゃないと分かりました。」
「特異能力の硬さの基準は、アンガーノックのクチバシの押し込みだな。クチバシが容易に入らない硬さを求めているように見えるぜ。」
アンガーノックがクロアリを見つけた。そのままパクリと食べて、また休息を始めた。
「毎回やってたら体力減りそうなもんだね~。」
ちょっとしてからアンガーノックが前傾姿勢をとって、白と黒のフンを落とした。
「消化と排泄が早いですね。見た目はどっちつかずですけど、鳥類みたい。」
<うんちすきだね~>
<うーん、茶色じゃないとなあ>
<じゃあ総排泄腔か>
排泄の事になると幼稚なコメントで溢れるが、それに紛れてこういった知識を持った人も現れる。トイレを流すに流せないような気にさせられるコメント欄だぜ。
「そうだ。総排泄腔を持ってるから卵生なのではないかと思ってる。ただ、雄や子供や卵を見つけたことがないので、断言はできてない。」
さて、最初の実験は終わったし、次の準備に取り掛からねば。特異能力の硬さに関する実験で尺をとらないとな。
「橘さん!どうしましょう、もう終わっちゃいました。」
「安心しなって、ちゃんと次の実験は考えてあるぜ。なっ、アキラ!」
アキラがぐっと親指を立てた。次に樹海に持ってきたのは、これまた鉄だ。今度はゼリーではなく、ケブラーで覆っておいた。
<対して変わり映えしないな>
<中に何がはいっているんだ?>
<接着剤だろ>
接着剤も面白そうだが、そんな大量に用意するのは時間がかかるな。今回はもっと入手が容易な、小麦粉と水を入れておいた。もちろん給養補給班に無理を言ってもらってきた。財津さん、ごめん!
「ゼリーはそのままでいいよ。こっちのをまた近くに置いておいて。全部終わってからまとめて回収する。」
「それはゼリーと何が違うんでしょうか?」
ゼリーはもう関係ないんだ。中身が隠れてても、ちゃんと認識してくれることが分かったから、鉄を、せん断増粘性を持つ小麦粉と水の混合物で覆ったんだ。
「小麦粉と水を混ぜたダイラタンシー流体ってやつだよ。力が加わると硬くなるから、アンガーノックはこれをどう攻略するかね~。」
「中の鉄を突こうとしたら、外の小麦粉も硬くなるんですね。」
そう。元の体積を維持しようとする強烈な抵抗力が生まれるはず。多分、アンガーノックは硬い物を削っていくことができるけど、硬くなる柔らかい物を貫通する能力はないんじゃないかと思う。
「面白そー!それでクチバシ埋まって動けなくなったらハメじゃんね!」
<ハメくるか!?>
<よっ!ハメ撮り屋!>
<フラグ立ったの笑う>
<お前そんな子にハメって言わすなよ…>
ちげーよ!勝手にそいつが言ったんだよ!
「とにかく!これを使って特異能力の限界のようなものを探るんだ。」
「了解です!」
アキラはゆっくりとアンガーノックの近くに鉄入り小麦粉水を置いた。さっき鉄から餌をとったばかりだから、しばらくは満足しているだろう。この間にバッテリー交換を済ませておいて、撮影ドローンの配置をしておく。
リスナーもだが、身内まであんな期待し始めたからプレッシャーだわ…。何も起こらずに終わってしまったらどうしよう。
「アンガーノックが動き始めました。」
「ちゃんと鉄のほう向くんだね~。」
アンガーノックが動き始めてすぐ、ケブラーに向けてクチバシを振った。しかし、浅かった。何度か突くのを繰り返していたが、全く進んでいなかった。
「上からのドローンで撮れる画、ヤバすぎ!」
栗原のドローンは、アンガーノックのすぐ前、頭上あたりに位置した。鉄の入ったケブラーの、丁度上のあたりだ。だから、そのカメラはアンガーノックの顔を全部映すことができる。視線やちょっとした表情などもわかるくらい近い。
真っ赤に染まったアンガーノックの頭が激しく前後する。一生懸命にケブラーへとクチバシを突き立てている。しかし、どれだけ早く首を振っても、奥に進めず浅いままだ。少し角度を変えて斜めからしゃくってみるが、それでも結果は変わらない。
一度、大きく離れて思い切り振り被ってから突くが、それでも貫通しない。ひどい脳震盪を起こしながらも繰り返していると、疲れて泡を吹いてくる。やがて口から、ぐちょぐちょという水音を鳴らしながら、情けなくだらけた顔のままで、首の前後を繰り返すだけとなった。
アンガーノックの体力が尽きてきて、動きが遅くなってくる。すると、力任せに突くよりも遥かに少ない力で奥へ奥へと進んで行けた。ほとんど突くと言うより押し込んでいた。ところが折り返して一旦抜こうと力むと、今度は全く抜けなくなった。口を離したいのに離せないのだ。
アンガーノックは息苦しくなってきて、身体全体を使って暴れるのだが、相手は一切離れず口を包んできていて、倒れ込んでくる始末だ。そのまま仰向けになって首を振っていたのだが、そのうち痙攣して脱力した。それでやっと、口が自由になった。溜まっていた涎が一気に噴き出した。
《1500円 ムホホハンター》<満点アングル>
<栗原プロについていきます!>
<ハメ撮り配信探検隊!>
<小麦粉に負けたモンスター>
《500円 のくと》<ごちそうさま>
<生ハメ始めてみたわ>
<ハメ撮りってそういう>
「めっちゃウケる!」
「栗原さんってば、調子に乗りすぎ!」
うーん、中川さんの言っていた通り、この子らは出来る奴なんだなあ。なんか俺の仕事全部とられちゃいそうで、急に怖くなってきたわ…。
「スパチャありがとーう!今回の映像も複数アングルで撮ってるから、
資料用の実験映像として販売する予定だぜ~。」
販促はこれで十分。小麦粉も豆腐も活躍したから、財津さんへの影響力も維持。万が一失業したらどこかの班にお世話になろう。
「橘さん、この子気絶しちゃってますし、捕獲できませんか?」
「付近に調査チームがいればと思ったけど、いないから無理だね。ドローンで空輸している最中に覚醒しそうだし、仮に確保したところで、穴を開けまくって逃げちまいそうだ。」
アンガーノックは翼を広げて大の字に倒れている。顔も真っ青になってしまって、悪いことをした。
「じゃあさじゃあさ、アームで弄ってみようよ。」
「弄るってどこを?」
「足とか頭とか、持ち上げてみて重量感?みたいなのわかんないかな~。」
言いたいことは何となくわかった。それなら覚醒した時に離れるだけでいいから、問題なくできるな。
「簡単な触診だな。ドローンに感覚はないが、ログに記録は残るだろう。ジャイロセンサの値を使って計算すれば、今よりか信頼できる数値が出る。」
「それじゃ決まりっスね!橘さん、よろしくっ!」
えっ、俺? どういうこと?ドローン操作もログ調査も全然うまくないんだけど…。
「掴めるようなアームついてるの、旧型のそのドローンだけなんです。」
「運搬はフックが頑丈で便利なんだよね~」
さいですか。俺たちは知らずのうちに旧型ドローンを重宝していたわけだ。実際すごい助かってるからいいんですけど、隠されてたみたいでショック。
「主任、僕が説明を聞いてましたから、大丈夫です!」
あっ、アキラが知ってたのね。そういえばそうだね、俺、面倒な事全部まかせてたもんね。でも心を読まないでね。
<橘さんがドローン使ってるとこ見たことない>
<あんま揺らすなよ 吐くぞ>
<旧型なら壊しても大丈夫だな!>
くそっ、好き放題言いやがって!というか、別に俺が操作しなくても端末を誰かに渡せばいいじゃないか。まあ、皆を見返してやりたいから、このままやってやるけども。
「旧型のアタッチカメラは使いづらいですよね。私たちが横で映像を映しますから、それを見てアーム操作してください。」
「どうしてもダメそうなら、いつでも交代しま~す。」
よーし、これなら何とかなるだろう。まずは足を持ち上げて、青と黄色の境目の当たりを接写したいな。肌の切り替わりがどうなっているのか気になる。
「主任、良い感じですよ!」
「もっと右っスよ右!」
<カメラはもっと下!下!>
<一緒になって体動いちまう~>
ええい、やかましい。集中したいんだよこちとら!
「あっ、結構すんなりもちあがりましたね。」
「まだ足部分だけだからな。太ももまで持ち上げる段階だとどうだろうな。」
アンガーノックの黄色い足だけ持ち上げられた。そのままもう少し上に引っ張ろうとしたところ、太ももが重くて持ちあがらずに、アームが外れて落ちてしまった。
<ビューリホー!>
《1000円 おしとね佐藤》<力なく投げ出される肢体が美しいでござる>
<蹴り上げて高く飛ぶタイプなんかな>
「うん、ナイス乳揺れ!胸部より上は良く揺さぶられるから、重量はそこに集中してるっぽい!」
「お腹から下は微動だにしていないので、硬い筋肉でしょうかね。」
へえ、よく見てるもんだ。そういえば、運搬用でもない通常のドローンだと、せいぜい5,6kgくらいしか持ち運べないんだったか。脚は太いからそれくらいあるのかもな。
「クレーンゲームみたいで面白い!」
遊びじゃないんだがなあ。まあ、楽しみながら仕事できることはいいことか。今度は太もものほうの肉を掴んで、そこから持ち上げてみよう。
「羽毛がうまく引っかからないと、結構滑り落ちますね。」
「私に貸してよ!」
ついに我慢しきれず栗原が手を出してきたので、端末の操作がおぼつかなくなった。
「「あっ!」」
そのまま太ももを滑ったアームが、アンガーノックの総排泄腔に突っ込んだ。
「アキラ!配信止めてぇ!」
「りょ、了解です!」
<既 成 事 実>
<アンガーノックはガチ!>
<ハメ撮り配信探検隊!>
《500円 ポルンガ》<いつかやると思ってました>
<ほんまもんや…>
<いや草>
《10000円 おっさん3》<男やん>
配信終了。
「ごめんなさい…。」
「いや、平気、大丈夫だ。」
あれは総排泄腔であって、厳密には性器ではないから、配信サイトの規約に引っかかることではない、はずだ。ただ、勘違いした人が騒ぎ立てるとまずいし、すぐに止めたという事実は残しておきたい。
「主任、広報部から連絡があります。」
「えっ、ヤダこのタイミングで…?」
こわい。
「すごい反響があって良かったので、次も偶然を装ってやってほしい。規約上、モンスター娘は規制物の対象外とのことです。」
「でもそれって今の所は、ってだけだよな…。あからさまだと今後規制されかねないし、チャンネル消えるかも。」
だから今の内にやれるだけやれってこと…?考え方が貪欲すぎて怖いなあ。
「結果オーライって感じですかね?良かった!」
「あのね、今回は大丈夫だっただけなんだから、気をつけないとだめよ。」
その通りです。
二人には罰として片づけを全てまかせてしまおう。連帯責任ってことで、そのほうが罪悪感も薄まるでしょ。
「実際、このようなことで命を落とすケースはあるから、気を付けてね。ドローンが突っ込んでくるだけで、俺達人間は簡単に死ねるよ。」
「「はい…。」」
それが強靭な体を持ったモンスター娘相手に起こったとしたら、まあまず、助かるわけがないだろうな。だから本当は四六時中、警戒してないといけないんだが、難しいだろう。
とりあえず、ハプニングが良い方向に転がったのでヨシ。ただ、見てくれが最悪なラストになってしまったので、素直に喜べねえ~…。
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応用実験部 配信実験班 橘春
実験結果報告書
識別名 : 怒髪天金づち
生息地 : マルサ樹海
サイズクラス : 標準
ウェイトクラス : 軽量
スピードクラス : 超俊足
ムーブメントクラス : 飛ぶ
フェロシティレベル : 普通
フレンドレベル : 敵対
フィーンドレベル : 有害
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特異能力 : 金剛ついばみ
発動条件
対象が空腹になること。
効果範囲
対象のクチバシが届く範囲内。
効果
範囲内で最も硬い物体に穴が空くまで突く。穴が空くと、その中に餌となるクロアリを創造する。中身がないと発動しないため、薄い物体は効果の対象外。周りに土と木しかない場合、人の頭骨が対象となるため注意。
人的被害レベル:中
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特徴 :
対象は、体長130cm程度の翼を持った人型モンスター娘である。全身が真っ青な羽毛で覆われており、濃淡によって横縞の模様が見える。体を動かす事でこの横縞の模様が動き、蛇のように見える。上半身には乳房があるが腕はなく、代わりに翼がついている。下半身は膝までが人に近く、その下からは鳥類の黄色い鱗状の肌を持つ。頭部には羽毛と違う髪の毛が生えており、顔面は薄い白い毛がある。クチバシは長く鋭く、中には体長ほどに延びる舌が隠されている。総排泄腔を持っており、食後すぐに糞尿を排泄する。現在まで卵や幼体が確認できていないが、卵生と思われる。
生態 :
対象は、扉の中の世界を飛んで好みの環境を探す渡り鳥のような性質を持つ。一度気に入った場所を見つけると住めなくなるまで滞在し、付近にある木や岩といったものに特異能力で穴を開けて餌をとる。ロッククリーナーやツリーフォージといったモンスターと共生関係にあり、岩や木の穴を修復してもらうことで地形環境を維持している。基本的に人には無関心だが、人の声を嫌っており威嚇行動を誘発する。人の声に対する反応には個体差があると見られるため狂暴化に注意。餌は特異能力の対象となった物体の硬さに応じて大きくなるクロアリ。このクロアリは生きているが、自然環境には存在しないため、特異能力による生物の創造が行われている可能性が高い。特異能力発動中は、突いた回数に応じて顔面が真っ赤に染まっていく。
その他:
顔が染まるのは限度がある。限界を迎える事で何か起こることはない。
特記事項:
掘削できない流体に弱く、硬い物をそれらで包むと無力化できる。
───────────────────
広報部から
※衝撃的な映像アリ、ご注意ください※
幸せを呼ぶ青い大きな鳥、アンガーノックでした♪
配信で見せた上からのアングルの他、下から見たものも販売中です。アンガーノックグッズ計画進行中!そちらもどうぞお楽しみに★ミ
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