第9話 通販サイトでいろいろ犬用品を取り寄せる。そして……

すだちがやってきて、ケージやキャリーケースなどマロンが使っていたものでそのまま使えるものはすだちにも使おうと決めたのですが、何せすだちはマロンの半分ほどの体重しかないので、体躯も小さく、首輪もゆるゆる。服もぶかぶか。あらゆる物のサイズが合いませんでした。

歯磨きシートなどのケア用品も必要ですし、おやつも買ってあげたい。

あと、ハーネスも新しく導入するべきかな、などと考えて即日配送のAm○zonでいろいろ犬用品を購入することにしました。


そして……


同時にもう使わないであろう、マロンのものを処分するかどうか。これは迷いました。

母は、マロンが飲まなかった(飲めなかった)余った薬などを捨てるのには前向きでしたが、マロンが着ていた服、首輪、とっておいた健診の結果の紙……などを処分しようとすると難色を示しました。

母の気持ちが一番大切だと私も父も考えたので、母に一任することにしました。


エサ皿、水飲み皿などは消毒してマロンが使っていたものをすだちにも使わせることにしました。


あと、Kindleで成犬のトイレのしつけに関する本を何冊か吟味して選びました。読み放題で読めたので、Kindle Unlimitedに入っていて良かった、と思った瞬間でした。

(とはいえ、しつけで一番役に立ったのは読み放題では読めなかった、DOG SIGNAL という漫画でした。後にアニメ化もされたのでご存じの方も多いかと思いますが)


すだちは元繁殖犬。

辛いことも多かっただろうし、何よりもう成犬。多少の粗相は多めに見よう、ということで話はまとまりました。

トイレトレーニングは気長に行うこととし、普段は常にオムツを着用することにしました。(犬用オムツもAma○onで取り寄せることにしました)


はい……新しくやってきた、すだちは私の部屋で1回、リビングのカーペットに3回、おしっこをチー、しました。


生理現象だもんね。仕方ない。


私たちは苦笑いして顔を見合わせました。


そう、そんな粗相でさえも笑ってしまえるほど、生きた犬に私たちは飢えていました。


すだちがやってきて、家は明るくなりましたが、まだ濃厚に漂っていたマロンの気配が薄くなった気がするのは、気のせいでしょうか。


マロン。


いつまでも、居て良いんだからね。


心の中で呼び掛けても、あの子は夢の中にすら出てきてくれなくて。


すだちは、足を引きずりながら、刷り込みがされた雛のように、私のあとを後追いするようになりました。


それにしても、この子、ちっとも鳴きません。


「まさか声帯を切られてるんじゃないか?」


父が剣呑なことを言い、私と母は顔を見合わせました。

動物病院で調べなければならないことがまた増えた瞬間でした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る