第14話 ひと儲けしよう このダンジョンで!
ヨウコとヤシロは作戦会議をした。
「さてどうやって言いくるめる? やっぱりまずマルクの機嫌を取るべきだと私は思うんだよね」
ヤシロは深く考え私も考えた。
(こいつら2人はさっきから何をしてるんだ?)
するとヤシロは何かを思いついた表情をし私は「何か良い案が思い付いた?」と尋ねた。
するとヤシロはマルクから貰った包丁を見せつけた。
「これを使う...っ!? そうか、マルクの鍛冶屋としての技術力を褒めたらいいんだね!」
ヨウコは手始めにそこら辺の岩を切ってみた。
岩はまるで食パンをスーと切れた。
「すっごーい! 本当に岩も切れる、包丁でこれなら今まで作った武器とかもすごいよね!」
「そりゃあすごいぞ! 試しに使って見るか?」
「良いの!?」
「構わねぇよ、試してみたい物から勝手に使ってくれ」
了承を得て私は傍ら約1m程の双剣を手に持った。
「軽ッ!?」
あまりの軽さに私は驚いた。
大きさにたいしてこの軽さは本当に大丈夫なのかと疑いながら試し斬りをしてみた。
「こいつ...斬れるぞ!」
「軽いのはミスリルって言う金属を使っているからな」
ミスリルと聞いて私は真っ先にユウキの顔が浮かんだ。
確かミスリルも高価な金属のひとつだったような。
「身軽すぎて最初は慣れないが、慣れたかなり扱い安いぞ」
次に私は甲冑を身にまとってみた。 甲冑は貰った包丁と同じ黄金色に輝きオリハルコン製だとわかった。
「みてみてヤシロ!こんなにガッシリしてるのに軽いよ!」
よく見るとヤシロも甲冑を着ていて何故か自信満々にしていた。
「ちょw 何自慢気なのw ヤシロが作った訳じゃないでしょw」
私とヤシロは興奮してはしゃいだ。
(こいつら楽しそうだな)
そして次に私は始めに大きな剣を手にした。
それは 剣と言うには あまりにも大きすぎた
大きく ぶ厚く 重く そして 大雑把すぎた
それは 正に 鉄塊だった
重いけど全然持てないわけでもない。私はその大剣を持ち上げ振りかざすと、岩どころか地面に突き刺さっさた。
「やっべッこれ...めちゃくちゃ切れるんだけど!?」
「そうだろうな、アダマンタイトは武器とか防具にするのはうってつけだからな」
「え...これ全部、この炭鉱で取れたの?」
「ああ、そうだが?」
私とヤシロは目を見開いて驚いた。
おいおいおい、ここの炭鉱はとんでもない物ばっかり出るな。
「結構な頻度で採掘できるの?」
「ここに引きこもっているから時間の感覚はわからないが...多分半月でこれが出来るぐらいかな」
そう言うとマルクは1本のロングソードを出した。
半月でこれぐらいとれる...さっきヤシロが見せてくれた g単価を考えたら相当な金額になる...うまくいけば今の収益が倍以上になるのでは? やっべw 想像しただけでもにやけてしまう。
ふと見るとヤシロはニヤニヤと笑った。
「...発掘してみるか?」
マルクはそう訪ねると私とヤシロは目を輝かせた。
「え、掘って良いの!?」
「? 構わないだろ、ほらピッケル貸してるやからよ」
マルクは2人分のピッケルを渡してくれた。
「ヤッタァ!! 早速掘ってみようよ!」
私とヤシロはピッケルをブンブンと振り回しながら早速採掘しに向かった。
「おい、装備もまともじゃねぇのにうろちょろしてると危ないぞ!儂から離れるな」
マルクはそう言いながら斧を持ちヨウコ達についていった。
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しばらくして...
「全然出ないんだけど!?」
いくら掘っても出てくるのはただの岩ばかりだった...というより採掘ってこんなに疲れるの!?
ヤシロも息をきらしバテていた。
「お前らピッケルの使い方がなってないぞ? 全然掘れてないぞ」
「はぁ!? そんな訳ないでしょ! かれこれ1時間ぐらい掘ってるんだけど!」
「いや、よく見ろよ初めた時と風景変わって無いだろ?」
私とヤシロは辺りを見渡した。
た、確かに全然変わってない風景に私とヤシロはため息をついた。
するとマルクは「よく見てろ」と言い私のピッケルを奪い振りかざした。
するとさっきまで苦労して砕いた壁が『ドゴォン!』と簡単に崩れた。
う、嘘だろ...
「こうやっt...何やってんだお前ら?」
私とヤシロは抱き合い『プルプル』と震えながらマルクを見ていた。
「いや...あの...なんか生意気な事を言ってすみませんでした。マルクさん」
「いやなんで怯えてんだよ、言っとくがこれは力とかじゃなくてコツだぞコツ こうやって崩れやすそうなところを目掛けてッ」
マルクはもう再び壁をぶち壊した。
するとマルクは何かに気がついたのか壁の残骸をあさり始めた。
マルクの手には黒い岩のような物があり、私とヤシロの頭に『?』が浮かんだ。
「...ほれ、ちょうど今のでアダマンタイトが出てきたぞ」
「え!? それがアダマンタイトなの!?」
するとマルクはアダマンタイトと言う岩を投げて渡した。
「す、凄い...これが」
「時間はかかっただろうが、これはお前達がみつけたようなものだ」
つまり私達にくれるって事? こんな凄い金属を!?
「なんだったら儂が作ったやつらもくれてやるよ」
「え!? 何で!? あんな高価なものを!?」
「なんかめちゃくちゃに気に入ってるようだし」
た、確かにめちゃくちゃ欲しいけどッ!?
「それにこの炭鉱で何かするつもりだろ? 鉱石目当ての」
図星だ! そんなに、顔に出てた!?
「た、確かにそれもあるけれど...でも嫌じゃないの?」
「いや? 利用するなら利用するで人の勝手だろ」
「あいや、そうじゃなくて...他の人達は不満じゃないのかなぁ? て」
マルク自身は良いかもしれないけど、ここを利用している人達は黙っちゃいないだろうし...何せアダマンタイトが出る炭鉱なんて、そう易々と手放すわけないだろうし...
「ここには儂意外には誰もいないぞ?」
衝撃の発言に私は思わず「え!?」と言った。
「だ、誰もいないって、そんな...」
「ん? あ、いや...モンスターがいるから儂だけではないか、訂正する」
「そうじゃないよ! 誰もいないって事はずっと1人だったの!?」
そう訪ねるとマルクは「ああ」と答えた。
「じゃ、じゃあ...この炭鉱は全部マルクが掘ったの!?」
「いや、この炭鉱は儂が来る前からあったから全部ではないぞ、それに隅々まで見たが儂みたいな奴はいなかったし」
私は「そうなんだ」と納得した。
「だから、この炭鉱は『今』は誰の者でもない...お前達の者にしたいなら勝手にしても構わないだろう」
そう言うとマルクはピッケルを私に戻し何処かへ行こうとした。
「え? ちょっとどこ行くの?」
「ここを出る」
「いやいやいや出るって、何でそうなるの!?」
「? お前達はここでアダマンタイトとかの金属を発掘したりするつもりだろ?」
「う、うん、まぁそうだけど」
「だったら儂は邪魔者のはずだ、こんな無愛想おっさんがいては炭鉱の発掘ははかどらないだろ」
マルクはそう言うと再び歩きはじめた。
マルクの後ろ姿が何処と無く寂しげにしていた。
私はその姿を見て「待って!」と呼び止めた。
するとマルクは少し呆れ気味に「なんだ?」と振り向いた。
「私達と ひと儲けしよう このダンジョンで!」
私は細かい説明もせず単刀直入に言ってしまい、マルクは「はぁ!?」と聞き返した。
「あ、いや...その...あ、あれだよ!自分は邪魔者だからって何処かへ行く事ないよ! マルクだってここの炭鉱で採った鉱石でまだ色々と作りたいでしょ?」
そう言うとマルクは「う、うーん」と言葉をつまらせた。
「お前達が欲しいのは鉱石だけのはずだ、儂はいてもいなくてもいいはずだ」
「確かに最初は鉱石目当てだったけど、マルクが作った物を見て私は感動したんだよ!」
「儂の...作ったやつ?」
「そうだよ! 鉱石を見つけたところで加工の技術がなければ、その鉱石の魅力は出しきれない...私達にはそんな技術ないから、その技術が必要なんだよ!」
「それ儂じゃなくても良くないか?」
「そのなりでメンヘラかよ!」
マルクはビクッとなった。
しまった...思わずつっこんでしまった。
「ともかく、私はマルクの技術力に惚れたんだ! マルクじゃないとヤダヤダヤダヤダヤダ」
私はその場で子供のように駄々をこねた。
マルクとヤシロはヨウコの様を見てドン引きした。
するとマルクはため息をついた。
「はぁ もうわかったわかったから、協力してやるから、そんな見るに耐えない行動をするな」
そう言うとヨウコは「本当に!? やったー!!」とはしゃいだ。
マルクは(まったくこいつは...)と呆れた表情をした...しかしその表情はうれしそうにしていた。
「それで? 話しから察するに儂のやることは今まで通りみたいだが、報酬は何をくれるんだ?」
「その件なんだけど、詳しい事は私の家...つまり、本拠地で話さない? 他のみんなにもマルクの事を紹介したいし」
「仲間がいるのか? なら確かにそちらで話しをした方が良いな」
私達は今後の事を話すべく私の家の方へと向かった。
この炭鉱とマルクの出会いは私達にとって大きな成果になるのだろう。
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私達はしばらく歩るき、そろそろ着く頃だと言う時にマルクが不思議そうに辺りを見渡した。
「うーむ...確かに大蝙蝠の姿が見えないな、いままでは縄張りだったと言うのに、どういうことだ?」
「そんなに変なの?」
「大蝙蝠は1匹だけでも厄介に加え群れで行動する奴らだからな、奴らの縄張りでは無くなると言うことは群れのボスが他のモンスターにやられたということ、つまりは大蝙蝠より強いモンスターがいる...ん?」
するとマルクは何かに気がついたのか、とある岩影に視線を向けた。
そんなマルクにヤシロは不思議に思い同じ方向に目線を向けた。
「こ、これは...『マーキング』だ、恐らく大蝙蝠のボスを倒したものに違いない、しかも最近のものだ」
マルクとヤシロは大蝙蝠を倒したであろう『何か』の『それ』を興味津々に見つめていた。
「しかし何のモンスターかわからないな...見るからに儂らに似たモンスターではあるようだが」
マルクとヤシロは謎のモンスターにたいして頭を悩ました。
一方ヨウコはと言うと...
(し...死にたい)
何故か白目を向き冷や汗がダラダラだった。
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