第15話 新入社員のマルクさんです

 家に戻ってきた私とヤシロはマルクに詳しい仕事内容と報酬、加えてこの世界について簡単に教えるため事務所にいた。


 「ほう...ここは儂のいた世界とは異なって魅力的だな」


 マルクは私達の世界に気に入ってる様子だった。


 「特にこのビール! 最高だな! 焼き鳥という物とよく合う!」


 酒と食文化が大変気に入っているようすだった。


 「仕事をした後に嗜むのが良いだろうな」

 「わかる~ へとへとの状態の酒とか体に染みるんだよね」

 「というより本当に良いのか? 依頼された武器の精製と、たまにの採掘だけでこんなに食料と酒を提供してくれるの?」

 「全然かまないよ、むしろ私としては少ないと思うし...何か必要な物があるならどんどん言ってくれても構わないよ」


 ヤシロは親指をたて頷いた。

 そんな話しをしていると玄関の扉が開く音か聞こえ、3人ぐらいの話し声も聞こえてきた。声の主からしてミユ ユウキ ユメのようだ。

 しばらくすると3人は会話をしながら事務所に入ってきた。


 「うっげー...負けちゃった」

 「お前...もしかして全部溶かしたのか?」

 「そんなわけ...ないと思う」

 「おい、目を反らすな目を」

 「ミユちゃん、ギャンブルはほどほどにね」


 そんな会話をしている3人に、私は挨拶もかねて「おはよう!」と言うと3人は私達の方に振り向いた。

 すると何故か3人は黙りこんで目を見開いていた。


 「「「だ、誰 そいつ!?」」」


 3人は口をそろえてそう言った。


 「だ、誰何ですか貴方! も、もしかして警察の方ですか?」


 ユメはそう言いながら持っていた斧を振りかざし構えた。


 「あー待って! 待って! マルクは警察じゃないよ! これには深い訳があって!」


 私は今までの経緯を話した。 炭鉱のダンジョンが出来た事とマルクとの出会い...そして。


 「というわけで新入社員のマルクさんです」


 そう伝えると3人は驚きと他に別の感情が入り交じっていた。

 ユメは恐怖と不安、ミユは期待と喜び...そしてユウキは。


 「何でお前ばっかりダンジョンができるんだよ!」


 ユウキはぶちギレていた。


 「ダンジョンが出来ただけならまだしも...アダマンタイトとかッ ミスリルとかッ オリハルコンとかッ 加えてドワーフがいるとか強運過ぎやしないか?」

 「え?...ドワーフってそんなにすごいの?」

 「凄いってもんじゃねーぞ! なんでアダマンタイトとかの武器や防具が高いのかは、それを加工できるのがこいつとかのドーワフだけなんだぞ」


 新事実を聞かされて私とヤシロは驚いた。


 「なんかよくわからんが凄いんだな儂って...改めて名乗らせてもらおう、儂の名はマルク、ドワーフだ。ヨウコに誘われて共に働く事になるが、よろしく頼む」

 「こっちらこそよろしくだよ! まさに鴨が葱を背負ってくるてもんだよ!」


 その表現の仕方はよくないでしょ...


 「かも? なんだそれは?」

 「気にするな、気にしたら負けだ」

 「そうなのか...ところで、ずっと気になっていたのだがお前が身にまとっているその衣類...ミスリルが織り込まれているのか?」


 マルクはそう訪ねるとユウキは「わ、わかるのか!?」と目を輝かせた。


 「繊維の間からミスリルがちらついているからな、それにしてもなんて繊細な...素晴らしい技術だ」

 (さ、さすがはドワーフ...というか見せたいッ 私の所持している装備たちを見せたいッ!)

 「...な、なぁ他にもあるんだが見てくれないか? ドワーフから見て、意見が聞きたい」


 そう言うとマルクは「構わん」と乗り気になりユウキは自身の装備を取りに行き直ぐ様戻ってきて装備をマルクに見せた。

 マルクは「ほう...これはなかなかだな」と感心していた。

 一方ユウキはいつにもまして生き生きしていた。

 そんな2人を眺めているとミユがよってきて不適な笑みを浮かべていた。


 「ど、どうしたの?」

 「どうしたのってw 新しいダンジョンができたって事はさw 宣伝しとかないといけないでしょw」


 多分遠回しに『撮影しよう』と言って、加えて撮影すると言う事は私が酷い目に合うのが目に浮かぶから面白がっているんだろう...

 私はほくそ笑みながら指を鳴らし「ヤシロさーん」と言うと、ヤシロはパソコンを出しミユに見せた。

 ミユは「も、もしかしてッ」と察した様子だった。

 そう...そのまさかだよ!


 「宣伝動画は撮影して編集してもらって投稿済みだよ!」


 私とヤシロはどや顔をして投稿した事を自信満々に見せつけた。 

 するとミユは「な、なんだってええ!?」と驚愕した。


 「ちなみに既に再生数は伸びていましてかなりの注目もあびています」

 「は、早すぎない!? 行動力もだけど拡散力も?」

 「私達も驚いたよ既に『このダンジョンに行ってみたい』て声もあるし」

 「まじか...じゃあ、次の段階として招待する客n」

 「こちらがあらかじめヤシロにリストアップしてもらった物です」

 「いやだから早くない? ダンジョン発見したの今朝だよね? 探索と撮影は両立したのはわかるけど、それでも昼間までかかるしょ!」


 ミユはそう言うと私はニヤニヤしながら「うちのヤシロさんをなめないでいただけませんか?」と言った。


 (こ、こいつムカつくッ!)


 日頃の仕返しである。ざまぁみろ!


 武器等で盛り上がるユウキとマルク 日頃の鬱憤を晴らしケラケラ笑うヨウコにそんなヨウコにムシャクシャしてるミユだった。

 そんな4人をユメとヤシロは苦笑いした。


 「なんだか僕達置いてきぼりだね」


 ユメはそう言うとヤシロは『やれやれだぜ』とため息をついた。

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