第6話 そこら辺の草を食べてみた!

 「よっちゃんの家ちょっとリフォームしたいんだけどいい? いいよね!」


 ファミレスから帰ってきて早々、突拍子も無い事を言われた。


 「私に拒否は無いのか!?」

 「あるわけないだろ! この犯罪者がッ!」

 「お前もだろうが! というかなんでリフォームするんだよ」

 「いやね、客が来た時にこんな人が住んでた感出てるの良くないと思うわけ、だからこの部屋だけをちょっと経営しやすいようにさ」


 なるほど、確かにこんなのでは印象が悪いよね。


 「なら仕方ないか」

 「お前、もう少し人を疑う事をしろよな」


 ユウキはため息をついた。

 するとミユは「そう言ってくれると信じてたよ!」とニコニコしながら3つのリュックを私達の前に置いた。


 私達3人は「「「何これ?」」」と口を揃えると「野宿セットと1週間分の食料です!」と細かい説明無しに勢いだけで言われて意味がわからなかった。


 「単刀直入に言われてもわかるわけ無いだろ、ちゃんと説明しろ!」


 ミユは鼻で笑い両手でやれやれだぜとしてユウキは思わず弓を引き矢を打とうとした。

 私とユメは必死で止めた。


 「リフォームに関してはやっさんにお任せするので安心してもろて」

 「...」ムフー


 いや、ぶっちゃけ不安でしかないよ、お前らが...と言いそうになったが、グッと堪えた。


 「まぁなんでも遅くても1週間程かかるらしくて」

 「え、1週間でとか早くない!?」


 何故かミユは「うちのやっさんをなめないでいただきたい」と誇らしげにした。


 「んで んで その1週間、更なる探索と撮影をかねて潜ろうと思いまして、色々あって少ししか探索してないからねw」

 「それでこの荷物か...少し確認するぞ」


 ユウキはリュックを開け中を見始めた。

 中にはテントとマット 寝袋 レインコート ロープ タオル 折り畳み式のテーブルと椅子にナイフ クッカーセット ソーラー発電式のランタン 火を着ける為のマッチとライター ホイッスル レトルト食品に水が入っていて豊富に揃っていた。


 「うわ...お前の事だからちゃんとしてないと思っていたが、ドン引きするぐらいにちゃんとしてるな」

 「ちゃんとするに決まってるじゃん! 私をなんだと思ってるの!」

 「主犯」

 「詐欺師」

 「えっと...その...意地悪」


 それを聞いてミユは気難しい顔をした。


 「この企業は誰1人として欠けてはならないんだッ...ちょっとした不注意でそんな事になってしまったら私は悲しいッ!」


 ミユは目に涙を浮かべながら熱弁した。私とユメはそれに感動して同様に涙してミユを神のように崇めた。


 「駄目だこいつら...私が何とかしないと」


 こんな事を言っているが久しぶりの長期滞在のダンジョンとその為の装備にワクワクが止まらないユウキだった。

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 準備が終わった私達は入り口に集まっていた。


 「それじゃあリフォームは任せたよ♪」


 ミユがそう言うとヤシロはピースサインをして『任せて!』と意思表示をした。


 「それじゃあ早速行こっか! よっちゃん先頭ね」


 そう言いながらミユはカメラを取り出した。


 「おいおい何カメラ構えてるのよ、もしかしてまた私が死ぬ事を期待してない!?」


 ミユは目をそらし口笛を吹きながら「ソンナ事ナイヨー」とカタコトで言った。

 期待してるッ! 絶対にこいつ期待してるよ!


 「ヨウコちゃん、僕が前に出ようか?」


 私の事を心配してくれるユメ...どっかの誰かと違って何て優しいんだ。

 ヨウコはユメの言葉に甘えようと先頭を譲ろうとしたが立ち止まった。


 「いや待てよ、もしまた入って即死なんて起きたらユメに申し訳ないから、やっぱり私が先頭に出るよ」


 ユメは感激して涙をホロリと溢した。

 ぶっちゃけユメの救出になったら役に立つどころか足を引っ張る気しか思えないからでもあるけれど...

 

 ヨウコは包丁を見てため息をついた。

 そしてヨウコは前回もあって恐る恐るダンジョンに入って行った。

マンイーターは...いない、ヨシッ!

 今回はモンスターに襲われる事はなくホッとした。


 「...ちっ」


 舌打ちした!? 舌打ちしたぞ、こいつ!!

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 私達4人は前回行けなかった更なる奥地へと向かおうとしてた。

 私を先頭にユメ ユウキ ミユの順番で歩いていた。

 ミユは相変わらず何が起きても良いようにカメラを構えていた。


 「なぁずっとカメラ回してるつもりなのか? バッテリー切れとかにはならないか?」

 「ご安心よ、こちらのカメラは最先端のソーラー発電式でして、何の問題もございません!」


 『ふふ~ん♪』とどや顔をするミユにユウキは「あ、そう」と興味なさ気な態度をとった。


 「へいヘ~い、聞いておきながら興味失くすの酷くない?」

 「カメラ自体には興味ねぇよ」


 ミユは頬をプクーと膨らました。


 「何拗ねてんだよ...そんな事より動画の内容とか決まってるのか?」

 「ふーんだ! ゆうちゃんがいやらしいことしたから教えないよー 謝ってくれたら教えてあげない事はないけど?」


 それを聞いてユウキは嫌そうな顔をしながら「アーハイハイ、ゴメンナサイ、ゴメンナサイ」と軽くあしらった。

 ミユは軽くあしらわれた事にたいして不服そうになった。


 「森林ダンジョンなんだから『森林ダンジョン 攻略の仕方』で行こうかと思って」

 「まぁ無難だな、どんなモンスターがいるとかな」

 「そうそう...あ、そう言えば、あの後みんなは入り口周辺を見てたんだっけ?」


 あの時と言うのはミユとヤシロがやりやがった時の事であろう。


 「ああ、生えてる植物でどんな感じのモンスターがいるかのかわかるからな...なんだったらその解説動画でも撮るか?」


 ユウキは目を輝かせ説明したくてしたくてウズウズしていた。


 「うーん...ありっちゃありだけど、なんて言うからインパクトに欠けるんだんね...」


 ミユは腕を組み悩ませた。しばらく悩んでいると、ふとそこら辺に生えてる草に目がいった。

 するとミユは「これも薬草なの?」と何気なく質問するとユウキは「わからん」と即答した。


 「へーユウキでも知らない事あるんだ」

 「意外だよね...ユウキちゃんは何でも知ってるような感じだよね」

 「何でもは知らねーよ。知ってることだけ...というかダンジョンに生えてる植物はピンきりであるから、どちらかと言えば未登録の奴が多い」


 確か、前にダンジョンはまだ判明されていない事が多いと言っていたから、これも含まれているのだろう。

 咲は歩きながら理由を説明してくれた。因みにだが説明中のユウキは生き生きとしていた。

 まずダンジョンにある植物等には私達が暮らしてる世界とは異なる成分がある、何せ傷を瞬時に治したり死んだ者を蘇らせる事もできるから、そうと言えばそうか。

 科学者等がそのダンジョンに生えてる植物で研究をしているが、最終的には人間が接種しなければどのような効果なのかわからない...つまりは死を覚悟しなければならなく研究は難航している。


 「それだあッ!」


 ユウキの説明が終わた直後に大声で叫ぶミユに私達は驚きモンスターでも現れたのかと身構えてしまった。


 「お、お前!! 急に叫んでんじゃねぇ! モンスターでも現れたのかと思ったじゃねぇか!」


 ユウキが怒るのも無理もない、けれどミユは気にする様子が無いまま「私に名案がある!」と不適に笑った。


 「薬草なのか毒草なのか判別の仕方を教えるとかどうよ、実際に食べてさ」

 「お前話し聞いてたのか?」

 「聞いてるよ、だからこそ良いと思うわけ」

 「いや、良くねぇよ死ぬ確率が高いんだし、そもそも誰がやるんだよ」

 「そりゃあ、もちろんうちの代表のよっちゃんがしてくれるよ!」


 それを聞いて私は「はぁぁぁ!?」と絶叫した。

 そして何故かミユは「え? 不満?」と何故か不思議そうに言った。


 「不満に決まってるでしょ! 誰が好き好んで毒草を食うんだよ! 最悪死ぬじゃん!」

 「大丈夫 大丈夫、死んだらこの世界樹の葉で蘇らしてあげるから」

 「大丈夫じゃないよ! 死ぬ時絶対苦しいじゃん! 嫌だよ苦しんで死ぬなんて」


 するとミユは私の肩にポンッと手を置いた。


 「よっちゃん...これは偉大な事なんだよ、私達が病気になったり怪我をした時に飲む薬とかに入ってる薬草は初めの頃は薬草なのかすらわからなかったんだよ?」

 「何言ってるのか全然わからないんだけど?」

 「つまりはね...薬草だとわかったのはそれを食べた勇敢な人がいたわけで、その人のおかげ何万人の人が救われるわけ、私達は今まさにそれを行おうとしてる...大勢の人を救おうとしている勇者になるんだよ」


 勇者と言う言葉にピクッとなり私は前に思い描いた勇者像が脳裏に浮かんだ。


 「それにゆうちゃんかゆめっぴが食べて身動きが取れなくなった時にモンスターでも襲われたら最悪でしょ?」


 暴論だ! 暴論だがッ 納得してしまう自分が悔しいッ!


 「勇者に...なろうぜ☆」


 ミユの囁きに私はしばらく悩んだ...けれど勇者と大勢の人が救えるのでは? という期待に負け、私は頷いた。

 そんなやり取りを見てユウキとミユはドン引きした。

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 「ダンジョンに潜ろうと思ったけど、お金が無くて薬草とかポーションをケチってしまう時あるよね?」


 ミユはカメラを回しながら実況者のように喋りだし、その両サイドではユウキとユメが立っていた。

 一方私はみんなを真っ正面から見ている位置にいた。


 「しかもそんな時に限ってモンスターの攻撃で怪我してしまって泣く泣く退却しちゃう事あるよね? そこで! 今回は『薬草なのか毒草』そして『もし毒草を含んでしまった時の対象方法』を教えるよ☆」


 [ステップ1 薬草ぽい物を探そう!]


 「まず手始めに薬草ぽいのを探そう! 図鑑とかがあればなお良し! 写真と特徴を見比べよう。それぽいのを見つけたら引き抜き綺麗な水とかで綺麗に洗おう!」


 私は予め指示された通りに、そこら辺の草を引き抜き、近くに流れていた川でその草を洗った。


 「ここでポイントとして引き抜いた際にもし手が荒れたり爛れたりしたらほぼ毒だから、止めておこう」

 「おい、それ先に言えよ!」


 [ステップ2 すり潰してみよう!]


 「ここからは毒なのかを見分ける簡単な方法を教えるよ! 手始めに綺麗に洗った薬草ぽいやつを汁が出るまで、すり潰そう!」


 草を包丁で刻み、そこら辺にあった小石ですり潰した。しばらくすると茶色と緑色を混ぜたような見るからにグロテスクな液体が出てきた。


 [ステップ3 皮膚に触れさせよう!]


 「出てきた汁を手の甲等に垂らしてみてしばらく待ってみよう、もし手が荒れたり爛れてしまったらすぐに手を洗おう!」

 「か、痒い...なんか痒くなってきた!?」


 [ステップ4 口に含んでみよう!]


 「今までの事を行った上で次にするのは口に含み噛んでみよう! 決して飲み込んだいけないよ! もし口の中に異常を感じたりしたら即座に吐いて口を濯ごう!」

 「え...口に入れるの? これ毒でしょ? 手痒いよ? かきむしりすぎて血とか出て爛れてるんだけど!?」

 「まぁまぁ、もしかしたら毒じゃないかもしれないじゃんw」


 へらへらと笑うミユを睨み付けながら渋々 私はその毒ぽい草を口に含んだ。


 「か、辛ッ!? いや違うッ...これは痛い! 口の中がチクチクして痛いッ! めっちゃ痛いッ!」


 [ステップ5 飲み込んでみよう!]


 「嫌だよ!? よく見ると手のひらも赤くなってるし、汁を垂らしたところは痒いし、口の中はまだ痛いし」

 「まぁまぁもしかしたら毒じゃn」

 「いや毒だろ! 毒要素全部当てはまってるんだから、絶対に毒だよ!」

 「食べてみないとわかんないじゃんw」

 「わかるわ!」


 明らかに毒である物を進めるとかサイコパスかこいつ!?


 「よっちゃん! 薬草の中には痛くなったり痒くなったりする物もあるんだよ?」

 「え...そうなの!?」

 「傷を瞬時に治す為の不可抗力とかなんとか」

 「そ、そうなんだ...」


 私は幾つか不安が過りながらミユの言葉を信じて草を飲み込んだ。


 「お前...こいつに騙されて犯罪者になった事忘れたのか?」

 「...あ」


 そう言えばそうだったと今さら思い出したが時既に遅し、草は喉を通り胃の中に入ったのがなんとなくわかった。

 やっべ...と内心思ったが口と喉がチクチクするだけで何も変化は起きなかった...


 「よ、ようこちゃん大丈夫?」

 「え、うーん...口の中が痛いぐらいで何にも...ん?」


 ふと私は辺りが橙色に染まっている事に気がついた。

 

 「なんかいつの間にか日が沈んでるね? 暗くなる前にテント建てた方がよくない?」


 私がそういうとみんなは「「「え?」」」と口を揃え辺りを見渡した。


 「何言ってるのよっちゃん?まだ全然明るいよ?」

 「ッ!? おいお前なんか顔色悪いぞ!?」

 「え~? それを言うならみんなの方こそ顔色悪いよ~? みんなブルーベリーみたいw」

 「よ、ヨウコちゃん!? 足元フラフラしてるよ!?」


 [ステップ6 毒だった場合の対象方]


 「おい!? 泡吹いて倒れたぞ!」

 「よ、ヨウコちゃん!?」

 「ちょうど良いじゃん、ゆめっぴ!よっちゃんの腹にめがけておもいっきりぶん殴っちゃって☆」


 突然の事を言われてユメは戸惑った。


 「そうしないとよっちゃん助からないよ!」

 「え!?えっとッ...ごめんねヨウコちゃんッ!」


 ユメは言われるがままにヨウコの腹を思いきり殴り胃の中に入ってた毒草と昼に食べた物を吐いた。


 「このように毒草を接種したらは腹を思いきり殴り吐かせましょう」


 「ヴォォエッ...ァ」


 ヨウコは吐いた後ぐったりし、白を目を向いて意識失ていた。


 「しかし、ソロだったり毒が全身に回った場合は助かる見込みはありません...ご冥福を祈りましょう」


 ミユはカメラごしで手を合わせて祈った。


 「よ、ようこちゃぁん!?」


 ヨウコ2度の死亡である...

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