第4話 いざ! ダンジョン探索!
「___ッ!?」
気がつくと最初に、目に入ったのは青繁った木々だった。
見慣れてはいないが見覚えのある景色...そう、ここは私の家に出来たダンジョンだ。
私はゆっくりと起き上がり辺りを見渡すと、ニコニコと笑うミユ 涙目になってるユメ あり得ない物でも見たかのように驚いてるユウキがいた。
「おっはよ~よっちゃん♪」
何故かモーニングコールするミユに戸惑いながらも「お、おはよ...」と返した。
「え...何この状況? というか私...死んだような気が」
もしかしてさっきまで見てたのは夢...いや、でもダンジョンに潜ってるよな?
そんな事を考えていると、ミユが「うん、死んだよ」と、さらっと言い思わず私は吹き出した。
「は、はぁ!?」
「ほら、あそこで倒れてる『マンイーター』がいるでしょ?」
ミユはそう言いながら指差す方を見ると花のような物に口と牙が生えた巨大なモンスターがいた。
そのマンイーターは根元の所が切られていて生き絶えている様子だった。
「し、死んだって...じゃ、じゃあ何で今生きてるの!?」
そう訪ねるとミユは「ふふ~ん♪」と笑い葉っぱのような物を突き付けた。
「よっちゃんは持ってるね~ これがあったから助かったんだよ」
「...はぁ?」
__________________
遡る事、数分前...
ヨウコがダンジョンに入った瞬間、ヨウコの頭を何かが貫いた。
「ッ!?」
「よっちゃん!?」
「よ、ヨウコちゃん!?」
ミユとユメは突然の事で混乱している中、ユウキは頭を貫いている物に注目していた。
(あれは蔓...という事は植物系のモンスターか!)
ユウキは咄嗟に弓と矢を持ち構え、弦を引っ張った。
矢を飛ばし見事、蔓に命中させた。
すると蔓は直ぐ様引っ込め、その拍子に貫いた箇所から大量の血が吹き出しヨウコはその場に倒れた。
「ユメ! そいつを引っ張り出s」
ユウキはユメにヨウコを回収するように指示を出そうとしたが、ヨウコの肉体は先ほどと同じ蔓に引っ張られ奥へと連れて行かれた。
「よ、ヨウコちゃん!?」
ユウキは舌打ちを鳴らし「行くぞユメ」とダンジョン内に入った。
ユメは動揺しながらもダンジョンに入り、ミユはカメラを回しながらダンジョンに入った。
中に入るとそこには蔓でヨウコを吊し上げているマンイーターがいた。
ミユは「な、何あれ!?」と驚いた。
「あれはマンイーターだ、動物とかを食う肉食植物だ、当たり前だが私ら人間も食うからな!」
それを聞いてミユは「ひ、ひぇぇ」と悲鳴を上げた。
「つ、つまり...このままだとヨウコちゃん食べられちゃうって事!?」
「まぁそう言う事だな、何とかして助けるぞ」
そう言うとユウキは弓を構えた。
「私が援護をするからお前は根元の茎を切れ、そこを切ればあいつは動かなくなる」
ユウキがそう指示を出すとユメは「わ、わかった」と斧を手に取りマンイーターに向かって走り出した。
こちらに向かってくるユメに何本かの蔓を差し向けた。
ユメは斧を振りかざし蔓を切りながら向かって行き、マンイーターは更に茎を差し向けた。
それでもユメは蔓を裁くが、それでも限界があり切り損ねた蔓がユメを襲うとした。
しかしそれをユウキが矢で貫き防いだ。
ユメはマンイーターの根元までにやってきて斧を振りかざした。
「ヨウコちゃんを返せ!」
ユメの斧は見事マンイーターの根元を切り落とした。
マンイーターは悶え苦しみながら倒れ、吊り上げられていたヨウコは地面に落ちた。
(わーお...動画でしか見た事なかったけど、これがモンスター討伐、凄い迫力...めちゃくちゃ良い画が取れた♪)
マンイーターとの攻防にミユは圧倒と興奮していた。
「よし、上手くいったな」
ユウキは小さくガッツポーズを取り、ユメは急いでヨウコのもとへ向かった。
「ヨウコちゃん! 大丈夫!?」
ユメは呼び掛けるがヨウコは目を覚ます様子は無かった。
「ど、どうしよう、ヨウコちゃん意識が戻らないんだけど!」
目覚めないヨウコにユメは戸惑った。
「まぁ頭を貫かれてる時点で即死だからな」
さらっと言うヨウコにユメは「そ、そんな!?」と驚きパニック状態になった。
「ダンジョンならよくあるから珍しくねぇよ『蘇生屋』に頼めば生き返らせてくれるから連絡すれば問題無い」
蘇生屋とはダンジョンで死んだ者を蘇生させる団体で、通常の蘇生には多額の金がかかるが保険等に入ればある程度まし。だが、それでも高い。
それを聞いてユメは「それなら良かった」とホッとした。
「別にわざわざ蘇生屋に頼む必要無くない? 適当にそこら辺の草とか葉っぱを食わせれば大丈夫っしょ!」
ミユはそこら辺に生えた木や草を引きちぎりヨウコの口にねじ込んだ。
「お、おいそんな物、口に入れても意味無いし時間の無駄だぞ」
ユウキはそう言うがミユはヨウコの口に草葉をねじ込むのをやめなかった。
まるで今すぐにでも蘇らせようと焦っている様子にユウキは不信感を抱いた。
「おい、いい加減n」
しびれを切らしたユウキはミユを無理やり止めようとした瞬間、ヨウコは目を開いた。
__________________
そしてヨウコは目を覚まし今に至る。
「___と言う経緯があったわけ」
「そんな事があったんだ」
...そう言えば口の中が何となく苦いというか、今すぐ口を濯ぎたいなって思ったのはそういう事だったんだ。
「まぁ何はともあれ蘇れて良かった♪良かった♪」
へらへらと笑うミユにたいしてユウキはため息をつき「良くねーだろ」と呟いた。
「普通あの場合は蘇生屋に連絡するのが最善だぞ!」
「まぁでも蘇ったんだし、無駄な出費も出なかったから結果オーライじゃん!」
ユウキは呆れながら「お前な!」と怒鳴ろうとしたが、それを防ぐようにミユが1枚の葉をユウキの前に突きだし不適な笑みを浮かべた。
「しかも今回ので思いもしなかった収穫も得た訳なんだしラッキーじゃん♪」
ミユがそう言うと何故かユウキは何も言えなくなり「ふんっ」とそっぽを向いた。
ユウキに突きだしている葉が何なのか興味が湧き「その葉がどうしたの?」と訪ねると、ミユは不適な笑みを浮かべた。
「さっきも言ったけど、よっちゃんはこれのおかげで蘇ったんだよ! この『世界樹の葉』のおかげで」
世界樹の葉とは死者を蘇らせる事が出来る代物で『蘇生の葉』と呼ばれており、希少かつ高値で取引されている。
「うぇぇぇ!? これがあの!?」
「流石のよっちゃんでもわかるよね! これの凄さが!」
「そりゃあもちろん!...ん? というかもしかしてここら辺に生えてる木って!」
「そう、そのまさかだよ!」
「うぉぉぉぉ! まじ!?」
「これで私達は億万長者になれるよ!」
ミユと私は嬉しさのあまり互いに両手を握りぐるぐると回り始めた...しかし次第に目が回りその場に倒れこんだ。
そんな2人を見て(何やってるんだあいつら)とユウキはため息をついた。
「2人とも嬉しそうで僕も何だか嬉しいよ」
「...ああ、そうだな」
幸先の良い事が起きた事にも関わらずユウキは何故か不服そうにしていてユメは(どうしたのだろう?)と思った。
「こんな事してらんねぇ! 今すぐやっさんに動画編集してもらって宣伝しなければ!」
ミユは急いでヤシロのもとへと向かった。
ワクワクが止まらない! ありがとう神様、私にダンジョンを恵んでくれて! 私の人生は薔薇色だ!
...と、思っていたが現実はそう甘くなかった。
私達がやっている、このダンジョン企業が『違法』だったと言う事実は今の私は知るよしもなかった。
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