第七話 欲求不満熟女たちと億万長者

 俺がシスターガーターベルトもとい、シスターエリエッタに助けられてから2週間が経った。

 俺はシスターと心優しいハゲ神父の紹介で、この村唯一の商店の雑用として働いていた。主に商品の品出しや、力仕事等だ。

 何せこの村は近隣のゴンザレラ共和国の命により、男手は殆ど兵士として徴兵されてしまって、女性ばかりだというのだ。

 だからなのか、随分俺に対して色目を使ってくる女性が多いと感じたのはそういう事だったのだ。と言っても、色目を使ってくるのは50代過ぎの熟女ばかりだが。

 ちなみにいうと、俺は熟女も行ける口だ。最初に言ったような気もするが。


 ちなみにいうと、自分のイマジンってスキルについても色々と試してみた。

 どうも人の心や事象に干渉する程の変化に関しては、死に直面した時ぐらいの必死さが必要なのだと分かった。

 それ以外の簡単な構造の物質を生みだしたりはそこそこのイメージで可能だった。

 とりあえず試しに俺が作ったのはこれだ…。


 某シマシマパッケージで有名なオ○ホだ。

 色々と試行錯誤して感触などは調整し、今や俺の息子に最適された状態のものに仕上がっている。

 よくある異世界転生モノであれば、チートスキルで生み出した物を売ってオレスゲーをするところだろうが、オ○ホを商材にしてどうにかなるとは思えん…。


 と言っても、それ以外の向こうの世界の便利グッズはイメージに掛ける情熱が足らず、上手く生成出来ない…

 はたしてどうしたものか…


 この世界では戦争が起こりそうって状況らしい…それをこのオ○ホでどうにか…オ○ホ…オ○ニー道具…

 男手が足りない…


 ん?


 閃いた!!!



 この村に来て更に一週間が経過し、村は異常なまでの活気に満ち満ちていた。

 特に村の女性たちはツヤツヤとしていて、ムンムンとフェロモンを放出している。


「最近村の皆さんが元気ですね。これもテツさんがこの村に来てからですよ」


「いえいえ、シスターが俺の事を助けてくれなければ、今の俺はありませんから、シスターのお陰ということでしょう」


「そんなご謙遜を…」


 この村には男手がいない。つまりはムンムン熟女の皆様は日々欲求不満状態なのだ。だから、唯一の若い男である俺の事をエロい目で見まくっていた。

 一応は優しいハゲ神父もいることはいるが、ハゲ神父はどうやら女性には興味がないらしく、村の女性たち同様、俺の事をいやらしい目で見てきていたぐらいだ。


 そんな欲求不満な女性たちに俺はあるものを提供する事にした。

 それはというと、察しの良い方にはもう想像できていると思うが…。


 バイブである。


 正式名称バイブレーター(振動機器)


 棒状の形状に、中にはモーターが入っており、そのモーターのお陰で棒が振動する事で絶妙なマッサージ効果をもたらすのだ。あくまでもマッサージ機器である。表向きは…。

 そんなマッサージ機器を雇ってもらってる商店で置いてもらったところ、口コミで売れに売れ、今では村の奥様型の必需アイテムになっている。

 先日、シスターエリエッタの部屋にもあった事は誰にも内緒だ。要らない情報だが、ハゲ神父の部屋にもあった…


 俺は日々改良に改良を重ね、様々なタイプの物を生成した。

 動力源は電池を生成出来れば早いが、この世界で電池を安定的に供給するのは難しいので、この世界に元々あるエネルギーを使うことにした。

 そう、俺のバイブはマナで動くのだ。

 マナという不思議な力をこのような形で利用しようとした人間は俺を置いていないだろう。


 そんなこんなで村で大流行しているバイブは近くの街でも知られるようになり、ある商人が俺を訪ねて来た。


「お初にお目にかかります。私ここより東に行った場所にある街“サランサ”で商人をしている“ビジネ=スウーマン”と申します」


「初めまして、テツと申します」


 今迄にないタイプの美女だ。

 黒髪短髪で片方だけのメガネを掛け、知的なイメージを漂わせる大人の女性と言った感じだ。ビジネススーツ風の恰好なのに、何故か胸の部分だけ谷間前回なのがまた妄想を書き立てる。


「こんな小さな村にそのサランサの商人様がなんの御用で?」


「私はこの村の商店のハーブラ様と取引がございまして、そのハーブラ様より、テツ様が作成した魔法道具が実に興味深い品だと聞いて、是非お話をさせて頂きたいと思いご挨拶に参った所存です」


 魔法道具ですか…確かにマナをエネルギー源にしているからそうなるのか…今迄に無いほどの魔法道具だろうな、エロ同人とかではありそうだけど。

 この世界の人はもしかしてエロに飢えているのか?


「今迄にも女性向けのステータス向上アイテムは存在しておりましたが、テツ様の生み出した物は今迄の物とは比べ物にならないぐらいのものとお伺いしております。是非とも私の商会でそちらの商品を取り扱わせて頂けないでしょうか!」


 ん?ステータス向上アイテム?それはどういう事だ?

 俺が作っているのはマナを使ってただ振動して、欲求不満の女性の心と体を満たしてあげるだけのアイテムなのだが…。どうも話が変な方向に言っているような。


「我々もハーブラ様から先行して譲り受けた魔法道具を使用させて頂いたところ、全てのステータス値が100以上も上昇しておりました!更には今この村で出回っている品は私が使用した初期型から更に性能が上がっているとか!是非ともこの商品を我々スウーマン商会で取り扱わせて下さい!」


 バイブを使ってステータス上昇!?

 そんな効果を付与したつもりはないけど、もしかして動力源としてマナを使っているのが原因なのだろうか?

 ただ、100って数字がどれほどすごいものなのかが分からないからなんとも想像しがたいが…。


 とりあえず俺は目先の欲に目がくらみ、ビジネさんの商会にバイブを卸すことになった。


 ビジネさんは手付金として、パンゲア大金貨100枚を渡してきた。

 ちなみに言うと、パンゲアでの貨幣の基準は以下の通りである。


 パンゲア小銅貨⇒十円相当

 パンゲア大銅貨⇒百円相当

 パンゲア小銀貨⇒千円相当

 パンゲア大銀貨⇒一万円相当

 パンゲア小金貨⇒十万円相当

 パンゲア大金貨⇒百万円相当


 つまりは、パンゲア大金貨100枚という事は、日本円でいう所の1億円相当という事だ。


 俺はいきなり大金を手にしてしまったのだ!

 こちらの世界に来た当初はどうしたものかと思ったが、こんなにもちょろいなんて!チートスキル様々だな!


 やはりエロは世界を救うって事か!ラブ&ピース!!


 なんて思っていた時期も俺にもありました…。

 その時の俺は、俺の生み出したバイブが世界を巻き込んだ事態を引き起こす事をまだ知らないのだった。

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