第三話 ついに童貞卒業!?下剋上S○X!?
玉座に座る俺―そしてそれにひれ伏す周囲の美女たち。
向こうの世界では絶対的にありえない状況だ。実に優越感に浸れる。ただ…
「とりあえず何か羽織るものを貸していただけますでしょうか」
召喚術で呼び出されてからずっと全裸のままだったので、恥ずかしいのと若干肌寒かった。
「これは失礼しました!!」
色々と説明してくれた女騎士の人が羽織っていたマントを貸してくれた。
国王も片膝を付きながら頭を下げてきていた。
「先程は失礼致しました。どうか私の非礼をお許し下さい勇者様!」
非礼というか処刑されかけておいてなんだけど、このシチュエーションは悪くない。むしろ息子に効果覿面(こうかてきめん)だ。
ここは一つこの有利な状況を利用して…。
「今更そんなことを言われましてもねぇ。実際に殺されかけてる身としては、はいそうですかって話にはならんでしょ。誠意を見せて貰わないと誠意を」
「も、もちろんでございます。勇者様の望むことならばなんなりと」
なんなりと…つまりはなんでもOKって事ですよね?本当にいいんですか!
全裸でこんな異世界に来てしまってどうしようと思っていた中で、いきなり俺の時代来ちゃった!時代が来ちゃったんだね!
この際だから望むままの事を要求してしまおう。
そもそも俺はまだ童貞のまま。あいかさんに俺の初めてを捧げる前にこっちに来てしまったからなあ。
この最大のチャンスを無駄にしない為に、エッチな要求をタップリしてやろう!
それに、俺の初めてを誰に捧げるか、いや、与えようかを考えるべきだ!
どうでなら、高貴な人間の苦悶に伏す表情を観たいというのもあるなぁ~。ということで…
「うーん、では王様に俺の夜のお供をしてもらおうかのう」
国王はすくっと立ち上がった。
「やはりこの男を処せ!」
目の前の女騎士たちが一斉に剣を抜いた。
「っていうのは冗談ですよ。ハッハッハー!まさかそんな無礼な事を勇者と同じスキルを持っている私がいう訳ないじゃないですか~」
国王は俺に疑いの目を向けていた。
「まあまあ、とりあえず俺はまだこちらの世界に来たばかりですし、この世界の事をもっと詳しく教えて頂けませんか?その初代魔王を倒したという勇者の事とかも」
「ですね。とりあえず、貴殿の部屋と服を用意させましょう」
国王が≪パンパン≫と両手で音を立てると、玉座の間の扉が開き、メイド服姿のこれまた綺麗なメイドたちがぞろぞろと入ってきた。
俺はメイドたちに部屋に案内された。
部屋に到着するなり俺はメイドたちに服を着せてもらった。
そして俺が服を着終わってしばらくすると、部屋の扉が開き、銀髪のメガネを掛けた長身美女が入ってきた。玉座の間では見なかった顔だ。
「お初にお目にかかります。私は国王陛下の補佐をさせて頂いている、大臣のメルディナーデと申します」
この世界に来て初めて名乗られた。
「先ほどは国王陛下共々、あなた様に対し行た非礼をお詫び申し上げます。つきましては、私の方で先程ご要望のあったこの世界についてお話をさせて頂かせてもよろしいでしょうか」
メルディナーデさんはバカな俺でも理解できるようにこの世界について話してくれた。話してくれた内容は以下の通りだ。
この世界には昔から、マナと呼ばれる目に見え合いが確かに存在しているエネルギーがあり、そのマナを使い魔法で様々な物質や現象を生み出す事ができるのだという。
魔物に関しても、そのマナの影響により、発生しているのだとか。
この世界の人々はそんな魔法を使って文明を築いてきたのだとか。
ちなみに、マナは魔法だけではなく、身体的な能力にも影響するらしく、男性に比べ、女性の方がマナを体内に蓄積できる量が多いとの事で、この世界では男性よりも女性の方が身体的にも、潜在的な能力にしても高いのだという。こんな言い方すると向こうの世界だと男性の方が優秀みたいな語弊が生まれるかも知れないが、俺は別に女性差別をしている訳ではないので悪しからず。
で、肝心なこの世界のお困りごとの魔物についてだが、本来知性を持たず、群れることもないはずだが、300年前に初代魔王が現れてから、魔物は群れを成すようになったり、特定の種の中で知性を兼ね備えた存在が見られるようになったとか。
初代魔王に関しては、勇者と呼ばれる異世界から召喚された人間によって、討伐されたらしいが、今から50年程前に魔王を名乗る存在が現れてから、再び魔物たちは群れを成したり、知性を持った個体が増えてきたのだという。
そこで、人類は召喚術を使って初代魔王を討伐した勇者の代わりになる人間を呼び出しているのだとか。俺もその一人って訳だ。
ちなみに、今まで召喚された人間は100人を超えているとの事。召喚される人間によってステータスは様々だとか。大体はSSだとか、Sとかの潜在能力を備えているらしい。
俺はというと…。
「という訳で、あなた様には現魔王を討伐して頂き、この世界に平和を取り戻して頂きたいのです」
「話は大体分かりましたが、俺は召喚される前の世界では戦士とかじゃなく、ただの一般市民だったので、魔王討伐とか死にに行くだけのような気がするのですが…。潜在能力も低いようですし…」
「まあたしかに潜在能力は低いですが…」
あ、そこ正直に言っちゃうんだ…。
「それでも、あなた様の持つSSSスキルのイマジンは初代魔王を討伐した伝説の勇者様と同じスキル。必ずや現魔王も討伐できるかと思います」
「そもそも、そのSSSスキルのイマジンってのはなんなんでしょうか?」
「我々も、古い文献でしか知らないのですが、イメージした物体や、事象を現実に生み出したり、発生させることができるスキルだとか」
なるほど、さっぱり分からないが、簡単に言うと想像したことを現実にする事ができる能力ってことだろうか?それだとさっきの魔法の説明と若干被るような…。
「マナを物質や事象に変換する魔法に関しては、この世の理を越えて作用することは叶いません。しかし、イマジンの効果はこの世の理を超えた神の如きスキルだというのです」
神の如きスキルね…
って最高じゃねえか!
もしかしてさっき急に国王が俺の事をいじめてみたくなったってのも、俺の妄想が作用した影響なのだろうか。となればなんでもありだな!
という事は、この目の前にいるメルディーナさんにあんな事やこんな事をすることも…いや、して頂く事もできるって事か!
「メルディーナさん…」
「はい、何でしょうか」
俺は頭の中で妄想を膨らませた。
胸はそれほど大きくはないが、長身でスラっと伸びたあの足で、俺の息子を踏み踏みして頂きたい。さあ、踏み踏みするのです、俺の息子をさあ!
「ん?どうかなさいましたか?」
何も起こらない。
これはどういう事なのだろうか?
聞いた話と違うじゃないか!
「失礼ながら、今私の体を見ながらよからぬ事を考えてはいませんでしたか?」
「いや、そんなことは決して…」
変な空気が流れた時、部屋の扉が勢いよく開いた。
「大臣!魔物の群れが王都の外壁まで攻めてきました!」
「なに!」
大臣と伝令らしき女性が俺の方に目をやった。
俺は目を背けた。
「暫定勇者様!さっそく出番です!」
俺は果たして死ぬ前に童貞を卒業できるのだろうか…
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