第二話 異世界こんにちは。そしてさようなら…

「起きられよ…」


 かすかに聞こえて来る力強い女性の声。あいかとは違うような…


「目覚めて下され!」


 俺が目を覚ますとそこには甲冑を纏った美しい女性に囲まれていた。


「え!え!ここは!?」


 俺はさっきまで確かにラブホテルにいたはずなのに、ここは明らかに城!

 更には目算で20人以上の甲冑を纏った美女達!そして、一番奥の方で怪訝な表情を浮かべている玉座に座った長い金髪の美女!


「えっと、ここは?」


 俺を起こしたであろう女性が俺に簡潔に答えてくれた。


 300年前、突如として現れた魔物の王“魔王”は今迄群れる事の無かった魔物達を束ね、人類の国々に侵略を開始したのだという。

 人類は魔王の脅威に打ち勝つために、古代の魔法である召喚術を使い、異世界で死んだ魂をこちらの世界に呼び出しているのだという。

 召喚される際に魔法の源となる力“マナ”によって新しい肉体が生成されるとの事。


 なんて事の説明を受けている間に、玉座の間の扉が開き、バインバインのエロボディをしたメガネ美女が玉座の前まで足早に近づいた。


「国王陛下!召喚者の鑑定結果が出ました」


 召喚者の鑑定結果?一体なんの事なのだろうか?


「それであの者のステータスは?」


「はい、知能D、体力E、マナ値D、魔法特性E、運Eという結果でした。」


「…………」


 国王と呼ばれている金髪美女はメガネ美女の報告を聞き、黙ってしまった。

 しばらくの沈黙の時間が流れ、金髪国王は口を開いた。


「外れじゃな…その者を処せ」


 国王の言葉によって周りに待機していた美女たちが一斉に剣を抜いた。

 待て待て待てぇ~~~い!いきなりこちらの世界に来たと思ったらいきなり死亡展開って!!

 どうにかしようにも俺は素っ裸で何も身を守る物がない。


「ご希望に添えなかったのなら謝ります!だから命だけはお助けを!」


 先程この世界について説明してくれた女性騎士が再度教えてくれた。

 どうやら召喚術にはグランドマナストーンというのが必要らしく、それは世界に三つしかなく、この国には一つしかないとの事で、それは召喚された物の肉体を生成するために必要な核となっているのだというのだ。

 だから新しい召喚者を召喚するには俺の中からそのグランドマナストーンを取り出さないとならないのだという。

 ちなみに、グランドマナストーンが摘出されれば俺の肉体はすぐさま朽ちるとの事。


 いやいやいや!そんなのってありかよ!何か方法はないのかよ!!


 こんな時どうすればいいんだ!俺は持てる知識を巡らせて考えた。浮かんでくるのはエロい事ばかりだった。


 そんな中、ジリジリと剣を向けて迫ってくる女騎士たち。


 俺の頭の中はこんな絶対絶命の状況の中でも迫ってくる女騎士にエロいお仕置きをされる妄想が浮かんできてしまう。


「悪く思わないで下さい。これも人類のためなのです…」


 裸で追いつめられる俺。もうどうする事も出来ない。結局訳の分からない状態で、童貞のまま再び死んでしまうのだろうか…。


 おもむろに俺はあいかちゃんのことを思い出した。

 プルンとしたGカップのお胸。初めて生で見たお胸が脳裏を過った。

 その時、俺を取り囲んでいる女騎士達の鎧が一斉に外れ、あられもない姿をさらけ出した。


「ええええええええ~~!」


 おっぱいだ!右を向いてもおっぱい!左を向いてもおっぱい!後ろを向いてもおっぱい!360度おっぱいだ!


「キャー!!!」


 女騎士達は一斉に剣を落とし、両手で胸を隠しながらその場に座り込んでしまった。

 一体何が起こったのだろうか。


「これはどういう事だ?鎧が一斉に!」


 さっき色々と説明してくれた女騎士だけは凛として胸を隠す訳でもなく立っていた。そしてその胸はひときわ大きかった。

 それはまるで胸にメロンが二つ付いているようだった。眼福眼福。


「鑑定士よ、これはどういうことだ?」


 鑑定士(メガネ巨乳)が国王(金髪美女)に説明しだした。


「私の鑑定技術では各種のステータスしか確認する事が出来ないので、恐らくは何らかのスキルの効果なのではないかと思われますです!」


「なるほど…つまりは貴様はこの事態を引き起こした何等かのスキルを見過ごす可能性があったという事だな」


「ははは、はい!申し訳ありません!」


 鑑定士(デカパイメガネ)は全身を小刻みに震わしながら力いっぱい立っていた。


「まあいい、どんなスキルを持っていようともステータスはクソの役にも立たないという事を物語ってる」


 なんだか状況が変わるのかと思いきや、結局俺は処される流れになりそうだ。これはどうにかしないと、と思っても結局俺の頭の中はエロい状況しか出てこない。


 目の前にいるあのドS金髪美女に処されない程度にいじめて欲しいなんて妄想が膨らむ。


「お前たちが手出しできないのならば私自らの手でその者を処してやろう」


 ん?なんか流れが変わってきたような。


「国王様の手を煩わせるわけには!」


「良いのだ。それになんだかその者をいじめてみたいという衝動が沸き上がってきているのだ」


「それはどういう事なのでしょうか?」


「我にも解らぬ。なんだこの感情は…」


「もしやこの者のスキルの効果なのでは?」


 俺のスキルの効果?そもそもスキルってなんだ?

 そう言えばあいかちゃんにチンピンされてエレクチオンした時に変な声を聞いたような…確か…。


「SSSスキル“イマジン”って…」


 鑑定士(デカパイメガネ)が驚きの表情を浮かべた。


「SSSスキル!それにイマジンって伝説の勇者様と同じスキル!」


 周りの女性たちが全員驚いたていた。国王(金髪美女)も同様にうろたえていた。


「まさか初代魔王を倒したという伝説の勇者様と同じSSSスキル持ちだと!」


 なんだか分からないが、俺の前途は多難だという事が分かった。

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