第2話
若かりし頃はアイドルなんて必要としていなかった。アイドルにかける時間と金があるならば自己投資して自分を高めていくべきだ、と盲目的に本気で信じていた。
だが年を経るごとに嫌な思いをし、また自分のしていたことを悟り、傷つきやすくなり、相手に対して利己的な行動が段々できなくなり、思想が拡大するのに反比例して行動は制限され、精神は日々病んでいった。世間は病んでいる自分にはとても追いつけない速さで進んでいた。そんな時、アイドルがふと現れた。
まずこの世の摂理として美しいものは人のこころを癒す。ここに合理性などなく、そういうものなのだ。美しい芸術、美しい景色、美しい人、これらは視覚などで体感することで心が昂ったり、癒される。才能なのだ。
色々な性格があるように、美しさも千差万別である。美しさとは相対的なもので美しいと受容する人がいなければ成立しない。そして受容される美しさは様々ある。ゴシック、ルネサンス、バロックやロココなど美術様式も様々あることと同様で、ゴシックが好きな人がいれば、ロココが好きな人もいる。また人とはとてもいい加減なもので受容する美しさは変遷する。バロックを好きだった人が平気な顔をしてロココを好きになったりする。また2つの美しさを同時に受容することもできる。ルネサンスとバロック、さらにマニエリスムも好きかも、という具合に。
しかし稀にそんな浮気こころを超越する美しさが現れたりする。それは表層的なもので発露するかも知れないし、(自分が思っている)内面的なものと合わせてかも知れない。俗にいう「推し」だ。僕はどちらかと言えばたんぽぽのタネのような嗜好の持ち主だが、彼女にこころを奪われてもう幾年が過ぎた。
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