人生結局は、運
33
第1話
もうやめてやる、と何度もこころの中で嘯きながらぐずぐずと生きている。
変わらない毎日。終わらせる勇気を持てない自分への嫌気だけが日々増してく。
鬱陶しい限りだが、人並みに腹は減るのでコンビニへ向かう。外に出ると雨がしとしとと降っていた。曇っていたので気が付かなかったが陽は傾いていた。10分ほどの道の途中に小さな公園があり、そこには桜の木がある。桜は散ってしまったが、新緑の葉は雲の上の太陽に向かって伸びている。高い木の上で生命は循環しているようだ。
コンビニに着くと僕は値段を見ながら弁当を選ぶ。腹と鈍った味覚が満たされることと引き換えに身体のどこかがじわじわと悪くなる弁当。これを開発している人たちの食卓にはオーガニックとかの食材が並んでいるのだろう。僕は彼らがオーガニックを食べるためにコンビニ弁当を食べる。
買い物を済ますと来た道をただ戻る。来るときに見た桜の新緑は地面に生える草には目もくれず、ただ上に向かっている。公園にある公衆便所は桜の木から離れた奥まった場所にひっそりと佇んでいて、その脇にひっそりと草が生えている。その草は桜の木からは位置的に丁度見えず、ただ汚い感じがする公衆便所しか存在しない。草は伸びることを諦めたように枝垂れている。
家に着くとレンジで先ほど買った500円の唐揚げ弁当を温める。温まる間にテレビをつけて録画したアイドル番組をつけながら、ペットボトルの水を少し飲む。そして生ぬるくなった弁当をレンジから取り出し、意味のない食事をする。
アイドル番組を見始めたのは5年ほど前、20代後半になってからだった。それまでは全くといって良いほどにアイドルに興味はなかったが、好きなお笑い芸人をYouTubeで漁っていたら、その芸人がMCをしているアイドル番組に行き着いた。最初はただ垂れ流していたが、次第にハマっていき今では毎週欠かさず録画している。完全に運営の魔の手に落ちたわけだ。
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