第67話:探索
「おっ! 探索することになったんだな!」
洞窟に戻って俺が探索することになったと伝えると、真っ先にオルフェンさんが嬉しそうに声を上げた。
「探索したかったんですか?」
「まあな! 冒険者として、新しい発見は胸躍るもんがあるからよ!」
「それならそうと、先に言ってくれたらよかったのに」
オルフェンさんが探索したいということであれば、そのこともナイルさんに伝えられたのに。
「俺たちは客人みたいなものだからな。こちらの我がままに村のみんなを巻き込むわけにはいかないだろう」
「そうだよー! だけど、探索するとなれば話は別だよね!」
「よーし! そんじゃあ張り切って探索に乗り出そうぜ!」
目に見えて嬉しそうなオルフェンさんとミシャさんに加え、ガズンさんも顔には出していないがどこか嬉しそうな雰囲気を感じられる。
これが冒険者の本質なのかもしれないな。
「ミニゴレとゴレミはどうする?」
「「ゴゴッゴゴッゴー」」
「ここに残ってみんなの帰る場所を守るって?」
「「ゴゴー!」」
二匹とも、なんて健気なことを言ってくれるんだ!
「分かった! 絶対に戻ってくるから、ここのことは任せたぞ! ミニゴレ、ゴレミ!」
「「「「ゴッゴゴー!」」」」
「どわあっ!? ……え、ゴレキチに、ゴレオ?」
い、いつの間にここまで来ていたんだ?
「……まさか、一緒になってここを守ってくれるのか?」
「「ゴゴー!」」
ゴレキチとゴレオもいてくれるのであれば、この場は安全だ。
俺はミニゴレたちの活躍を見れなかったけど、ナイルさんたちの話では、魔獣がリディアルを襲ってきた時に大活躍だったらしいもんな。
「それじゃあ改めて……ここのことは任せたぞ! ミニゴレ、ゴレミ、ゴレキチ、ゴレオ!」
「「「「ゴッゴゴー!」」」」
こうして俺とレオとルナ、そしてガズンさんたちで、掘り当てた通路の奥へ向かった。
「警戒は怠るなよ、オルフェン、ミシャ」
「了解だ」
「もちろんよ」
「レオとルナも頼むな」
「ガウ」
「ミー」
ガズンさんの言葉にオルフェンさんとミシャさんが返事をし、俺の言葉にレオとルナが返してくれる。
洞窟の奥はひんやりとしており、肌寒さすら感じてしまう。
こちら側が暖かかったことを考えると、まだまだ奥がありそうな気がする。
新しい資源が見つかるのか、それとも危険と遭遇してしまうのか、どちらにしてもこれだけ警戒していれば大丈夫だろうと思いながら、先へと進んでいく。
地面はやや下の方へ向いている。
しばらく進んでいくと、勾配は緩やかとなり、水平になった気がした。
「……止まれ」
「……ガウ」
すると、先頭を進んでいたオルフェンさんとレオが立ち止まった。
オルフェンさんが右手を上げて制止を指示すると、俺を囲むようにしてガズンさんとミシャさん、そしてルナが陣形を組んだ。
「さて、いったい何が飛び出してくるんだ?」
最大限の警戒をしながら、オルフェンさんとレオがゆっくりと奥へと進んでいく。
俺たちも陣形を保ったまま、同じ歩幅で奥へと向かう。
すると――奥の方から何かが飛び出してきた。
「ガルアアアアッ!!」
――ガキンッ!
「うおっ!?」
何かが飛び出してきたのと同時にレオが前に出た。
お互いがぶつかり合い、激しい音を響かせると同時にオルフェンさんの声も遅れて聞こえた。
「オルフェン!」
「大丈夫なの!?」
陣形を崩すことなく、ガズンさんとミシャさんの声が響き渡る。
「レ、レオのおかげで大丈夫だ!」
「よくやった、レオ!」
「ガルルルルゥゥ」
唸り声を上げながら、レオは飛び出してきた相手を威嚇している。
全員の視線がそちらに向くと、俺は大声を上げた。
「……こ、小型魔獣だああああああああっ!!」
掘り当てた通路の探索の時に、まさか小型魔獣を見つけるなんて! 毎回毎回、予想外なんだよ!
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