第11話 入学式ともだち100人できるかな
自室へと案内されドアを開けるとすでに準備が整っていた。
ベッドはシングルサイズのシンプルなもので柔らかそうなお布団が敷いてある。
勉強机もシンプルで備え付けの本棚とキャビネットと一体化してあり、とても使いやすそうだ。
テーブルとソファーも華美ではないがお茶を飲み寛ぐのにはちょうどよさそう。
クローゼットも完備されており、その中には母からもらった服や神殿からもらった服がかけられていた。
準備を完璧に済ませて待っていた二人にねぎらいの声をかけると、誇らしそうな顔をして別の部屋へと入っていく。
多分あっちはお茶を準備したりする従者用の部屋につながっているのだと思う。
入学式までしばらく時間があるとの事なので少しだけソファーに腰をかけると準備された温かいお茶が出てくる。
それを一口飲み、ふうと息を吐く。
前世では友達なんて幼稚園以来いなかったから、この人生ではたくさん友達ができるといいなぁ…
時間もそろそろということでドアがノックされ案内人がやってくる。
フィーリア達と部屋で別れ案内人についていくと同じ方向に向かう同い年くらいの子たちがぞろぞろと歩いている。
ソワソワわくわくする気持ちを抑え講堂のようなところに同じように入っていく。
広いところにずらりと椅子が並べられそこに順番に並んで座っていく。
ざっと100人ほどいるのかな?結構な人数がいたが、その人種は様々で耳の長いエルフ?と背のちっこいホビット?あとは動物とのハーフっぽい人、鳥の羽みたいなのが付いてる人もいる。
あまりきょろきょろするのもお行儀悪いと思い椅子に座って前を向く。
ファンタジーな知識は王道な映画くらいしかないので、初めて目にする光景にわくわくが勝る。
講堂の一番前に設置されている体育館のステージみたいなところに恰幅の良いおじさんが歩いてくる。
しん…と静まり返ったところでその男の人が口を開く。
「皆様、ご入学おめでとうございます。私は学園長のエイブラムといいます。さて、皆様にはこの学園にするにあたりいくつか心に留めておいてほしいことがあります。
一つ、習慣はその人を作るということ。後でいいやとと問題を先送りにしてばかりいると目の前の問題から逃げる人になる。逆にやるべきことから逃げず向き合える人は強い心を持つことができます。
二つ、人は平等であるということ。学び舎において身分は必要ありません、身分を振りかざし人を貶める人はこの学園に必要ありません。
三つ、自分の事は自分ですること。人にいつまでも任せていては成長できません。自分の身の回りのことは自分でできる人になりましょう。
以上の事をしっかりと心に留め、この学園を意義あるものとしてください。」
そういうと学園長は壇上から去っていく。
そのあと総務の人が出てきて学校生活のルールや、学園内の細かな説明をしてくれる。この後能力を調べて適正クラスに配属されるそうだ。
能力っていうか魔法のまの字も使えないし、武器なんてバットと包丁位しか持ったことないんだけど!?
あ。木刀は触ったことあるわ……
前の方の席の子から別室に案内され能力テストを行うようで、少しずつ減っていく。
能力テストってどんなことをするんだろう…
私の列の番が回ってきて別室に案内される。
そこからさらに個別に案内され小さな部屋に通される。
部屋に入ると球体の水のようなものが浮かんだ盃が真ん中においてあり、その周りに先生と思われる大人たちがいた。
「サリーシャ様ですね。規則なので一度能力を見せていただきますが、配属クラスはもう決定しております。聖女様にはまず魔術クラスに入っていただきます。」
「はい。」
「では、手をこの中に入れてください。」
言われるままにその球体に手を入れるとお風呂くらいあったかい温度でなんだか心地が良かった。
文字が球体の外に浮かび上がりそれを黒板のようなものに書き写している。
「聖女様で間違いはないようです。」
大人の一人がそういうと、おぉ…という感嘆の声が聞こえる。
もう大丈夫と言われ手を抜くが不思議なことに濡れてはいなかった。
入ったドアとは別のドアから出て、案内人について教室までむかう。。
よーし!配属クラスもきまったしこれからは楽しい学園生活をおくるぞ!!
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