砂漠の満月

怖いくらいに大きな満月が

宙に浮かんだ


干上がって

茫漠とした

不毛の地に

憎しみの陽炎かげろう

現れては消える


天地が開けてこの方

そして未来永劫へと

争いの遺伝子を

組み込まれたかのように

戦いを繰り返す人々


正体なきものを敵として

石を砕くように

人の住処を砕く


すべてが砂と化したとき

満月はさらに巨大化して

照らし出すだろう


憎しみがあまねく

幻であったことを


それからようやく

オレンジ色の砂漠に

神様の風が吹き始める


https://kakuyomu.jp/users/rubylince/news/16817330666490616315

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