第3話:鬼ごっこ

『そのまま走って400m先を左に入れ!』

「は・・・はい!」


 突然謎のNPCに襲われそうになりかろうじて命?は助かったが突然の声に導かれるがまま走り続けている。 一瞬後ろを振り返るとさっき見かけたNPCが3体アスリート走りでこちらに近づいてきた。


「ひぃ!」

『後ろを振り返るな!! そいつらに捕まったら最後、二度とこの世界に戻ってこれないぞ!!』


 そんな脅迫みたいな発破をかけられながら私は全力で走っている。 現実世界では運動神経皆無の私だがここでは辛うじて走れている。 それからも私はコールの主の指示のもとNPCたちから逃げていた。


『右の路地に入って建物の中に隠れろ!』


 私は指示に従って路地に入り廃墟の裏口から建物内に隠れた。 少しの間息を殺してNPCたちが過ぎるのを待つ。 少したってNPCたちが周囲を見回したり窓を破壊して首だけをのぞかせたが私は箱の陰に隠れてやり過ごした。


「はぁはぁ、もう何なのあれ!」

『とにかく落ち着け、少しの間なら大丈夫だ』

「落ち着け?! 落ち着けるわけないじゃない?! 私危うく殺されかけたのよ!!」

『その前に助けられてよかったよ。 まったくなんだってあんな所にいたんだか・・・・・』

「それは・・・・その・・・・・」


 言えるわけなかった仲が良かった男子が実は私をいじめていた女子と一緒にいた光景をみてその場から逃げたなんて。


「これからどうしよ・・・・」

『とにかく、やつらの姿がない事を確認したらまたナビゲートする。 もう少し待て』

「というかあれなに?」

『NPCだよ、お前さんがよく知ってる』

「んなわけないじゃん! だって・・・・」

『普通のNPCは攻撃できないんだから、か?』

「う・・・うん・・・・」

『それについてはこっちも不明だって、まずっ!』

「まずっ?」

『そっちに近づいてんな、取りえず建物の陰に隠れながらっておい!』


 どうやらさっきのNPCが近づいてるらしく私はあわてて正面から外に出てしまった。 その瞬間NPCたちはこっちを向いて近づいてきた、アスリート走りで・・・・。


「きゃっ!」


 私がその場にへたり込むと、また遠くから音が聞こえたと持ったら一体また一体その場で倒れ消滅した。

 しんと静まり返り残るNPCは後1体となった瞬間、ビルの上から誰かが飛び降りてきた。 飛び降りてきた誰かはへんてこな上着を着て両手には長い銃を持っていた。 

 すると誰かは私の前に立つと、銃をどこかにしまったのか、長い銃は消え、代わりに腰の銃を引き抜いた。


「ったく、もう少し待てって言おうとした瞬間これかよ・・・・」


 私はこの声に聞き覚えがあった、さっきナビゲートしてくれたあの声だった。


「あなた!男だったの!」

「驚くとこそこかよ! ってそんなツッコミしてる場合じゃなかったな」


 そういうと男は銃をいじるとNPCに向けた、NPCは少し止まってからこちらに向かってきた。 だんだんと近づくが銃を撃たない、私は一瞬目をつぶるとダァン!と大きな音がした。

 目を開けるとそこにはNPCが倒れて消滅していた。


「倒したの?」

「ああ、とりあえず出口まで案内するわ」

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バーチャルダイバーズ(仮) ken @k-02

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