第2話:謎のNPC
少しショッキングな光景を見た私は、訳もわからずとりあえずその場から離れなくてはならないと思い、一心不乱に走り続けた。
そして走り続けた私が行き着いたのは誰もいない廃墟エリアだった。
「ここは・・・・、ジャンクエリア?」
ジャンクエリア、かつては大手の企業がショッピングやゲームを行うために作られたエリアとされていたが実際は何も行われず、放置されているエリア。
「とりあえずいったんログアウトしないと・・・・・・・ってあれ?」
私はメニュー画面を開いて一度ログアウトするか元の場所まで移動しようと思ったがどういうわけだかログアウトも移動もできない。 今までこんなことはなかった。
私は仕方ないと思いながら元来た道を探して歩き始めた。 あるけどあるけどあるのはただの廃墟、いやこの場合廃墟に見えるデータの残骸と言った方が正しいのかもしれない。
しばらく歩いていると複数のNPCが廃墟前に立っていた。 NPCとプレイヤーの区別方法は頭上にわっかみたいなものがあるかないかで判別できる。 私はラッキーと思ってそのNPCに声をかけようと思って近づいた。
その時だ、突然メニュー画面のメールに一通のメールが来た。 私は足を止めてメールを開くとその画面に一言『それに近づくな!!』と書いてあった。
「変なの」
私はそのメールを無視して立っていたNPCに話かけた。
「すいません、ちょっと道を尋ねたいんですけど・・・・・」
声をかけるとNPCはこちら側に首を向けて私の顔をじっと見ていた。見た目は普通のNPCだがその目は赤く瞳はなかった。 それに首の後ろには見たこともない装置が付いていた。
「えっと・・・・・あの・・・・・?」
「aojsihdefivfb;ijfaedgvi@9weugf@iwetfoj4ewgfiagijvgi」
NPCは突然意味の分からない言葉を発すると拳を振るかぶってきた。 本来NPCにはこちらを攻撃するプログラムは一切ないはずである。 なのに拳を振りかぶる?本来はありえないことだ。 このまま殴られるのでは?そう思い目をつぶった瞬間だった。 どこからともなく大きな音が聞こえてきた。 私は恐る恐る目を開けるとNPCは拳を振りかぶったままその場で倒れて消滅してしまった。
私はそれに驚いているとどこからともなくコール音が聞こえた。 私たちが使うアバターのメニュー画面にはマップやメールのほかに親しい相手と音声で話せるコール機能が付いている。 どうやら誰かが私にコールしてきたということだろう。
「え? 突然なに? 相手は非通知?」
私は恐る恐るそのコールを取った。
「・・・もしもし?」
『早くそこから逃げろ!』
「え?」
『道は俺がナビゲートする! お前は俺の指示に従ってその場から逃げろ!』
少し戸惑っていると何かかが近づいてくる足音が聞こえてきた。
『くそっ! 気づかれたか! さっきの奴らが近づいてる!! いいから腰上げてそこから走れ!』
私はとりあえずその場から全力で走るのであった。
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