第23話


「そこはいくらでもやり方はあるわよ。事前に決めておいたってことにしておけば誰も文句はないはずよ」

「……俺はいいけど、ソフィアの方のもう一人の女子は何か言わないか? そっちだって仲良くなりたい男子と一緒のグループになりたいとかあるんじゃないか?」

「あたしの方は大丈夫よ。戸塚さんには事情を話して、許可はもらってるわ」


 ……なんて根回しが早いのだろうか。つまり、ソフィア、戸塚、久喜の三人パーティーとなるわけか。

 皆、違うタイプの美少女たちであり、普通にしていたらまず俺なんかが一緒のパーティーに入れるわけがないだろう。


 とりあえず、さっきの案よりはこっちの方が無難だ。

 というか、恐らくソフィアもこれが本命で提案してきているんだろう。


「分かった。それじゃあ、あとは俺の方で高崎ともう一人に声をかけておけばいいってことだよな?」

「そうね……あっ、そっちもやってくれるの? 難しそうならあたしの方から声をかけるつもりだったんだけど」

「……いや、ソフィアに頼りきりじゃ情けないしな。俺にも、協力させてくれ」


 それに、これは俺にとってもチャンスだ。

 ……俺だって、友達を作りたい。


 今回のをきっかけに、声をかけた二人と友達になれるかもしれない。

 ソフィアを通してだと、そのハードルも上がってしまうだろう。

 せっかくの機会なんだから、自分で動いて、なんとかしたい。

 もちろん、弱い自分はすべてをソフィアに任せたくもなっていたが、それじゃあダメだ。


「……分かったわ。じゃあ、高崎くんとあと一人、お願いね」

「任せてくれ」

「もう一人のアテはあるの?」


 高崎と俺でメンバーは二人決まっているため、埋めるためにはできればソロで活動している人がいいだろう。

 ……それに、俺としても複数人で動いている人の中に突っ込んでいって声をかけるというのは精神的にきつい。

 ぱっとすぐに思い浮かんだのは、


「本庄だな」

「ほ、本庄くん?」


 ソフィアは露骨に警戒したような表情になった。

 確かに、本庄に関してはあまりいい噂は聞いていないことが多いだろう。

 見た目は茶髪で、ピアスなどをつけていて、露骨に不良な見た目だ。


 かなりの強面であり、噂では半グレのリーダーをやっているんじゃないかとか言われている。

 俺よりも誰かと話すことは少なく、常に周囲を睨みつけているような態度をしているため、皆一定の距離をとっている。


「ああ。うちのクラスだと完全にぼっちで行動しているのは本庄くらいだからな」

「ちょっと怖い感じの生徒よね?」

「いや、そんなことはないと思うけど」


 俺は別に、そんなに怖い人だとは思っていない。そもそも、うちの学校に合格している時点で少なくとも頭はいいのだし、明らかに常識ハズレな行動はしないだろう。


「まあ、優人が大丈夫っていうのなら、大丈夫なんでしょうけどね」

「ああ、任せてくれ。仮に本当に危険でも、俺が押さえるから安心してくれ」

「それは、確かに信用できるわね」


 一応、これでもずっと道場で鍛えているのでソフィアも安心してくれたようだ。

 とりあえず、打ち合わせは終わったので俺とソフィアは昼食を食べ始める。

 俺は用意してもらった弁当を、ソフィアは菓子パンだ。


 ……当たり前のように一緒にお昼を食べていたが、学校で一緒に食べるのは初めてだったな。

 この前のことを思い出す。食事を食べさせ合うなど、結構大胆なことをしてしまっていたな……。


「優人っていつもはお弁当なの?」

「基本的にそうだな。両親が仕事で忙しい時とかはコンビニとかになるけど」


 まあ、そういうときは前日の夕飯の残りなどを詰めて持ってくるのでほとんどが弁当になる。


「なるほどねぇ。それだけで足りる? この前、かなり食べてたわよね?」


 それは、ソフィアが注文したからであり……まあ、別にいいか。


「あれば食べるけど、なければ食べないからな」

「ちょっと分かるかも。あたしも、お菓子とか置きっぱなしにしてるとついつい摘んじゃって、気づいたらなくなってるのよね」


 ……ソフィア、結構バクバク食べるよな。

 一応、モデルだけど、その辺りは大丈夫なんだろうか?

 そもそも、ソフィアはかなり細いわけでもともと代謝がめちゃくちゃいいのかもしれないな。

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