#15 進むべき道
正に青天の霹靂──
全く事態を把握できずに頭の中でモザイク状に散らばっていたピースが徐々に連結し形を成そうとしている
が、頭が事態の全容解明を拒否しようとする
なぜ? どうして? いつからこんな事になってた?
てか、何で事前に相談の一つもないんだよ箕浦さん──
混沌を極める我が脳内をよそに、各々を招集した自身の責任を務めるが如く箕浦さんは続けた
箕浦「日本政府がどう考えるかは別として、アニメ産業は国家戦略上の主幹産業になるべきと自負しています。 その為には他力本願で手を
常軌を逸したサプライズをキメてきた箕浦さんへの憤りはあるものの、これだけの話をこれだけの面子を揃えてプレゼンをキメる人脈と実力には素直に驚く
普段の気の良い兄ちゃん的なゆるい雰囲気はそのままに、訴えかける力も抜群だ
箕浦「これら背景と目的を踏まえた上で、そのプロセスの鍵となるであろう一つがネットと広告です。 ご存知の様に今日の広告は従来の様な看板を出したりCMを垂れ流すものとは根本的に異なります。 主にネット広告、中でもSNSを活用した間接的な広告活動が費用面でも効果面でも主力と言えます。 拡散される事でゼロコストで延々と分化し、多くの潜在的消費者の元へ届きます。 また、これらは多くの副産物をも生みます。 コスプレやファンアート、同人誌等の二次創作を助長し、それらは興味関心のある者同士を結び付け、コミュニティを形成します。 そしてそのコミュニティが推し活の舞台となります。 グッズ販売や興行イベントの他、コラボ等の関連商品から投げ銭に至るまで、より直接的な販促に繋がります。 現に企業側はそれを意識したマーケティングを行っており、公式のSNSアカウント等は趣向を凝らされています」
ダン飯「推し活の規模感はどれくらいですか?」
箕浦「国内消費で年間1兆円に迫る勢いです。 当然海外を含めればその何倍にもなるでしょう」
ダン飯「現状でそれか……小さくないね。 そしてそれらを生み出す投稿やリポストは途方もない数になるんだろうね」
箕浦「さすがダン飯さん、ポイントが分かってますね」
ダン飯「因みにキリヤさんのインプレッションはどの位出るのですか」
キリヤ「媒体と投稿内容にもよるけど、Xで通常1投稿数万~数十万くらいかな。 バズればもっと数十~数百倍は伸びる」
ダン飯「ヤバいね、後でフォローします、フォロバ宜しく!」
キリヤ「了解です」
自分はキリヤにブロックこそ解除されたものの、未だにフォローされていない……
烏山「私みたいな筆だけ握ってた漫画家には小難しい話だな、雰囲気でしかわからん」
箕浦「烏山さん、まだ前提です、話はここからです」
岡口「まあ烏山さんには烏山にしかできない役割がありますから」
箕浦「と、ここまでは現状の話です。 これらは裏を返せば広告という導線に過ぎません。 その意味では、従来と広告手段こそ変われど、未だWeb2.0と呼ばれる現在のネット社会の延長線上になります。 先に話した目的から逆算して日本アニメの進むべき道を考えた時、終着点はもっと先の未来へと続いているはずです。 かと言って、現在地が土台となる事には変わりありませんが。 そこで、もう一つの鍵、通貨です」
箕浦「ですよね、サトシさん? あれ、楽しめてる?」
サトシ「へ? あ、はい、ですかね」
楽しめてねーよ! てか、急に話振るなし──
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