第35話 過去2

2人で会うようになって、すぐにキスをされた。

少し強引な人だったけれど、「好きだよ。佑香が大好きなんだ」と言われることが、嬉しかった。



「朝までずっと一緒にいたい」

そんな言葉で、初めて外泊をした。

どこかのホテルだった。

想像していたみたいに優しくされなくて、途中で泣いてしまったのに、やめてはくれなかった。

それでも、何度も好きだと言われたから我慢した。きっとみんなもこうなんだって。



雄介さんは、わたしから「会いたい」と言うと不機嫌になることがあった。

「佑香、そんなに会いたいとか言われても、こっちは仕事してるんだから困るよ」

「あんまり、無理言うなよ」


それでもまたすぐに欲しかった言葉をくれる。

「オレだって会いたいのをどれだけ我慢してるか、わかってないだろ?」

「佑香だけなんだ」


友達にも誰にも2人のことを言わないように、何度も釘を刺された。

「もし会社の人に自分が大学生の子と付き合っているのがバレたら、立場が悪くなるんだよ」

「佑香が大学卒業したら、言ってもいいよ」

そんなふうに言われて、2人の写真も撮ったりしなかった。

でも、誰にも教えていないアカウントでSNSに、匂わせってやつ?そんな写真を雄介さんにも内緒でアップしていた。どこの誰かはわからないけれど、2人は付き合っているんだとわかるような写真を。



一緒に手をつないで映画を見に行ったり、買い物に行ったりしたかったけど、ドライブが好きだと言って、いつも遊びに行くのは遠くだった。


そして、だんだん当たり前のように、会うたびに外泊をするようになっていった。

「佑香をオレだけのものだと思いたいんだ」

「会えなかった時間の分だけそばにいて」



そんな言葉に愛されてるんだなんて思っていた。

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